【映画】感想:映画「007/ゴールデンアイ」(007シリーズ17作目)(1995年:イギリス)

007/ゴールデンアイ [Blu-ray]

BS-TBS|007シリーズ【吹替】 https://bs.tbs.co.jp/movie/007/
放送 BS-TBS。2022年2月26日(土)

【※以下ネタバレ】
 

007シリーズ第17弾。ピアース・ブロスナンが5代目ボンドとして華麗に登場!


ボンドは強奪された兵器「ゴールデンアイ」の追跡調査のためロシアに向かう。だが、そこには世界経済破壊計画を遂行する国際犯罪組織「ヤヌス」の陰謀が。しかもボンドを待ちかまえていたのは、任務遂行中に死んだはずの006だった…!

 

あらすじ

 007/ジェームズ・ボンドは、同僚006アレックと共に、ソ連化学兵器工場に破壊のために潜入したが、アレックはソ連兵に捕まって射殺されてしまう。ボンドは単身脱出すると仕掛けた爆弾で工場を破壊した。


 9年後。ボンドはロシアの犯罪組織ヤヌスのメンバーのゼニア・オナトップを監視していたが、ゼニアは電子戦対応のタイガー・ヘリコプターの試作機を強奪し姿を消す。そしてロシア軍のウルモフ将軍(9年前にボンドに基地を破壊された指揮官)と共に、ロシア・セヴェルナヤにある基地に乗り込む。

 セヴェルナヤ基地は、旧ソ連時代の人工衛星兵器「ゴールデンアイ」を管理する施設だったが、ウルモフたちはゴールデンアイをコントロールする装置を奪うと、基地に勤務していた人間を射殺してしまう。さらにセヴェルナヤに対してゴールデンアイを起動し、核爆発で発生した電磁パルスで基地一帯の電子機器は全て破壊されてしまう。しかし基地に勤務していたナターリア・シミョノヴァは、ただ一人、大虐殺とその後の基地の崩壊を生き延びていた。

 一方、イギリスはセヴェルナヤ基地に盗まれたタイガー・ヘリが着陸していたことから、異変にヤヌスが関わっていると知り、ボンドをロシアに調査に向かわせた。ボンドは元KGBの犯罪組織のボスと取引し、ヤヌスのボスと接触するが、その相手は9年前に死んだはずのアレックだった。

 アレックは第二次大戦中に反共産主義ナチスに協力した「リエンツ・コサック」の末裔だった。リエンツ・コサックは大戦終了後イギリスに亡命しようとしたが、イギリス政府は彼らをソ連に引き渡したため、アレックはソ連・イギリスのどちらも恨んでいた。しかしそれを隠してイギリスの諜報部員となったが、9年前死んだふりをして諜報部から脱走したのだった。

 ボンドはナターリア共々アレックに殺されそうになるがなんとか切り抜ける。ボンドはナターリアから、ウルモフがセヴェルナヤ基地の人間を虐殺したこと、ゴールデンアイはもう一基あること、等を聞き出す。ナターリアはハッキングでヤヌスの基地がキューバにあることを突き止める。

 ボンドとナターリアはキューバに飛び、ヤヌスの基地を捜索するが、アレックたちに捕まる。アレックは、ロンドンのイングランド銀行からハッキングで大金を引き出した後、二基目のゴールデンアイをロンドンに向けて使用し、電子機器を全て破壊することで犯罪の証拠を隠滅し、さらにイギリスを破滅させることを目論んでいた。

 しかしボンドとナターリアの活躍で、ヤヌス基地は炎上、ゴールデンアイは大気圏に突っ込んで消滅してしまい、さらにボンドはアレックとの一対一の対決でアレックを倒した。最後、二人がキューバに二人を迎えに来たアメリ海兵隊のヘリに乗り飛び去って行くシーンで〆。
 
 
 

感想

 評価は○(まあまあ)

 シリーズ16作目の「消されたライセンス」(1989年)に続く第17弾にして、主演がティモシー・ダルトンからピアース・ブロスナンにバトンタッチした記念すべき一作。評価としてはまあまあ。


 ダルトン時代のボンド映画は、15作目「リビング・デイライツ」(1987年)も16作目「消されたライセンス」(1989年)も、シリアスさ、というより「暗さ」が強調された作風で、正直見ていて楽しさがあまりなかったのですが、本作では明るさを取り戻しており、なかなか楽しめた一作てした。

 主役交代に伴い、作風は派手さを復活させ、シリアスな雰囲気に終始しつつも、宇宙兵器を持ち出してのストーリーと、見ごたえのあるアクションシーンを組み合わせていて、見ていて楽しくなる娯楽作品として一級の仕上がりでした。


 新ボンドとなったピアース・ブロスナンは、アメリカのテレビドラマ「探偵レミントン・スティール」でのコメディのイメージが強かったのですが、本作ではシリアスなボンドを見事に演じており、ロシアに乗り込んだ時、連絡相手のCIA局員がふざけて合言葉を言わなかったとき、銃を突き付けて脅すシーンなど、なかなかのインパクトでした。

 ただし、この新ボンドは、ジュディ・デンチ演じる上司Mとの折り合いが良くなく、人間関係までシリアスにしなくても良いのに……感がありました。ショーン・コネリーとかロジャー・ムーア時代の頃の様に、Mとユーモアまじりのやり取りをしながら任務を受けるのがボンド映画の面白さの一つだと思っていたのですけどね……


 この作品の展開で面白いのが、ボンドとナターリアがダブル主人公的な扱いで、中盤まで二人のストーリーが独自に並行して進んでいくところ。そして共にヤヌスに捕まった二人が対面し、以後協力してヤヌスに挑んでいく事になる、という流れが、今までのボンド映画にない展開で新鮮でした。

 ナターリアは、クライマックスではゴールデンアイにログインするためのパスワードを書き換えて、ヤヌスの計画を妨害するなど、ボンドの相棒として活躍しており、今までのボンド映画に見られなかったボンドガールぶりが印象に残りました。


 007映画の常として本作もスタントシーンがすさまじく、冒頭からダムの上端から下に向けてバンジージャンプを敢行するという、見ていて身がすくむようなトンデモシーンを見せてくれています。このシーンはCGではなくスタントマンがリアルに飛び降りており、いやもうこの手の職業の人の命知らずぶりは底が無いみたい。

 カーアクションでは、逃走する悪党の車を追いかけるため、ボンドが戦車を持ち出す、という今までにないシチュエーションがあり、街中を戦車が疾走するシーンはシュールの一言。逃げる車が細い路地に入ってボンドを撒こうとしても、戦車がそのまま無造作に突っ込んで、建物の壁を破壊しながら強引に追いかけていく、という展開にはちょっと笑いました。それにしても、この一連のシーンの費用がいくらかかったのか知りたい…… あと、ここで登場した戦車は本物のソ連戦車だったそうです。マジかい。


 ところで、この映画、褒めるばかりではなく気になるところもありまして、今回のラスボスである犯罪組織ヤヌスのボス・アレックの立ち位置がイマイチ解らない。子供の頃からイギリスに恨みがあったのなら、何故9年前までイギリスの諜報部員を真面目にやっていたのか? そして9年前に何故唐突に裏切ったのか? その辺りの説明が全く無く、最後まで引っかかったままでした。そこがちょっと残念。


 しかしまあ、派手なストーリー、派手なアクション、クライマックスでボンドが祖国の危機を大立ち回りで阻止する、という007映画らしい展開で満足度は高く、新ボンドへのバトンタッチは見事に成功した一作でした。
 
 

https://www.bs-tbs.co.jp/movie/007goldeneye/
007/ゴールデンアイ【吹替】


2022/2/26(土)
よる9:00~11:24


◆キャスト
ピアース・ブロスナン(吹替:神谷明)、ショーン・ビーンイザベラ・スコルプコファムケ・ヤンセン


◆スタッフ
原題:Goldeneye
1995年/イギリス
監督:マーティン・キャンベル

 

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