【映画】感想:映画「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(007シリーズ19作目)(1999年:イギリス)

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BS-TBS|007シリーズ【吹替】 https://bs.tbs.co.jp/movie/007/
放送 BS-TBS。2022年3月19日(土)

【※以下ネタバレ】
 

007シリーズ第19弾。愛か? 罠か? ボンドvs.ボンドガールの火花散る対決が熱い!


イギリスの石油王がMI6で爆死する事件が発生。ボンドは彼の娘エレクトラを警護するために、カスピ海へ飛ぶ。そこでボンドはテロ組織のリーダー、レナードがロシアの核基地から核弾頭を奪い、巨大パイプラインを破壊しようとする計画を知る。ボンドは才色兼備の核エキスパート、ジョーンズ博士の協力のもと、遂に反撃に出た!

 

あらすじ

 007/ジェームズ・ボンドは、スペインでスイスの銀行家と接触し、イギリスの富豪ロバート・キングが盗まれた機密書類を取り戻すために支払った大金を回収した。ボンドは銀行家から犯人を聞き出そうとするが、そこに何者かの銃撃が行われ、結局ボンドは大金を回収するだけで終わる。

 ボンドはMI6本部まで金を持ち帰るが、紙幣には爆発する薬物が仕込んであり、金を受け取りに来たキングを巻き込んで大爆発を起こす。ボンドは犯人と思しい女を見つけてテムズ川を追跡するものの、女は逃げ切れないと悟ると自決してしまった。

 MI6は一連の事件の黒幕は、元KGBエージェントのビクター・ゾカス、通称「レナード」だと睨む。かつてレナードはキングの娘エレクトラを誘拐して身代金を要求したものの、MI6はテロリストとは取引しないという方針から金の引き渡しを拒否させ、結局エレクトラは自力で脱出していた。この事件の際、MI6はレナードを狙撃し、頭部に銃弾が命中したものの、弾は延髄にとどまり、レナードは痛覚を失ったものの奇跡的に命を取り留めていた。

 Mはレナードはキングの次にエレクトラを狙うと見て、ボンドに護衛を命じる。エレクトラはバクーの製油所からアゼルバイジャンなどを経由して欧州に石油を運ぶ長大なパイプラインを建設していた。Mの危惧通りエレクトラは何者かに狙われるが、ボンドの活躍で危機を脱する。

 ボンドはエレクトラの部下の怪しい動きに気が付き、アゼルバイジャンにある核ミサイル基地にたどり着く。そこではレナードが核ミサイルの弾頭を取り外して持ち去ろうとしていた。ボンドは格闘の末にレナードを取り逃がす。以後、ボンドは核物質処理の専門家クリスマス・ジョーンズと行動を共にする。

 エレクトラはMにボンドがいなくなったので代わりに来てほしいと要請する。そしてエレクトラはMの前で正体を現し、自分がレナードと繋がっていることを明かす。エレクトラは誘拐されていた際に、父親とMI6が自分を見捨てたことを知り、レナードの仲間になり、父とMI6に復讐を誓ったのだった。

 エレクトラとレナードの狙いは、盗んだ弾頭のプルトニウムをロシアの潜水艦の原子炉に使って爆発させ、黒海を汚染する事だった。それにより黒海を経由して石油を輸送するルートを潰し、エレクトラが建設するパイプラインを唯一の石油の輸送ルートににするつもりだった。

 ボンドはエレクトラを射殺し、さらに潜水艦に乗り込んでレナードを倒して原子炉破壊を阻止した。最後ボンドがクリスマスとイチャイチャするシーンで〆。
 
 

感想

 評価は○(シリアス過ぎてイマイチ)

 シリーズ18作目の「トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997年)に続く第18弾にして「ピアース・ブロスナン007」の二年ぶりの3本目。アクションシーン満載だった前作とは一転、シリアスな設定・暗めのストーリーに徹しており、評価はイマイチ。


 結局のところ、この映画はボンドが悪女にひたすら振り回されるだけのお話で、途中まで観客を騙すためストーリーはやたら複雑難解な物になっており、ボンドはその場その場で危険をしのいでいるだけ。話が複雑な割に、というか、複雑だから、いつまで経っても映画は盛り上がらずで、正直サッパリ面白くなかったです。

 でまあ、エレクトラが黒幕と解っても別になんだという話だし、荒事シーンの主役となるべきレナードはとにかく影が薄く、ラストの潜水艦の原子炉近辺での殴り合いでちょっと見せ場を作った程度で、いてもいなくても良いような存在だったし。

 「冷戦が終わった後の世界はテロリストとの戦いがメインになる」という着眼点は悪くなかったのですが、肝心のお話が爽快感が無さ過ぎ。007映画は荒唐無稽と感じるくらいが丁度良いのであって、変にシリアスに徹しすぎると、醒めて「ならばこんな銃をバリバリ撃ちまくるスパイなんて現実にいないだろ」と感じてしまう訳で……

 今回はソフィー・マルソーがボンドを翻弄する悪女役で大活躍しますが、結局途中で撃ち殺されるし、生き残る方のボンドガールのクリスマス・ジョーンズはあんまり存在感無いし……、なんかチグハグ。

 本作は、毎回ボンドのために秘密兵器を用意してくれていたシリーズの名物キャラ「Q」を演じた俳優デスモンド・リュウェリンの引退作となっており、そのため、Qが自分の後継者(仮称:R)をボンドに紹介し、またエレベーターです~っと下がって画面から姿を消すなど、一種の花道的な場面がありました。ちなみに、その後任のRを演じたのがモンティ・パイソンで有名なジョン・クリーズで、モンティ・パイソンの時並みにボケ演技をやっていたのはフッと笑いましたねぇ(笑)


 というちょっと面白いところはあったものの、複雑で理解しずらいお話、盛り上がらないクライマックス、見せ場なくあっさり壊れるボンドカー、影の薄いテロリスト、悪女に手玉に取られた上最後まで肩の負傷を気にしている不死身じゃないボンド、等々、「これじゃないんだよなぁ……」感が強い007映画でした。これなら前作「トゥモロー~」の『話は薄いけどアクション映画としては最高!』みたいな路線の方がよほど良かった。
 
 

https://bs.tbs.co.jp/movie/007worldisnotenough/
007/ワールド・イズ・ノット・イナフ【吹替】


2022/3/19(土)
よる9:00~11:24


◆キャスト
ピアース・ブロスナンロバート・カーライルソフィー・マルソー、デニス・リチャーズ


◆スタッフ
原題:WORLD IS NOT ENOUGH, THE
1999年/イギリス
監督:マイケル・アプテッド

 

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