【映画】感想:映画「007/私を愛したスパイ」(007シリーズ10作目)(1977年:イギリス)

007/私を愛したスパイ [Blu-ray]

BS-TBS|007シリーズ【吹替】 https://bs.tbs.co.jp/movie/007/
放送 BS-TBS。2022年1月29日(土)

【※以下ネタバレ】
 

007シリーズ第10弾。世界中で大ヒットを記録したボンド映画でも屈指の超人気作!


英ソの原子力潜水艦が行方不明になるという怪事件が頻発。早速調査に向かったボンドは、ソ連から派遣された女スパイのアニヤと遭遇。やがて2人は、海運王ストロンバーグの世界制覇の野望が一連の事件を引き起こしたことを知る……。

 

あらすじ

 イギリス海軍原子力潜水艦が突如行方不明になり、Mは007/ジェームズ・ボンドに調査を命じる。一方、ソビエトでも全く同様に原潜が所在不明となっており、KGBはトップ諜報員「トリプルエックス」ことアニヤ・アマソワ少佐を調査に投入した。

 同じタイミングで、正体不明の何者かが、海中を航行する原潜の位置を人工衛星から探知するという機器を、東西両陣営に売り込んできた。ボンドはこれが原潜消失に関係あると見て交渉場所のエジプト・カイロに向かい、同じ目的のアニヤと出会う。

 装置の売り手は、殺し屋ジョーズに殺害され、装置の設計図を収めたマイクロフィルムジョーズに持ち去られるが、ボンドとアニヤは共闘の形でマイクロフィルムを取り戻す。しかしボンドは隙をつかれて眠らされ、マイクロフィルムはアニヤに奪われてしまう。

 ボンドはエジプトにあるイギリス情報部の拠点に向かうが、そこにはアニヤと彼女の上司のゴゴール将軍が待っており、Mからは今回の事件は英ソ共同で対応することを知らされる。マイクロフィルムを分析すると、肝心の部分は収められていない不完全な物だったが、フィルムには世界一の富豪ストロンバーグの海洋研究所のマークが映りこんでいた。

 ボンドとアニヤは海洋学者とその妻という設定でイタリアにあるストロンバーグの研究所「アトランティス」に向かい、途中のジョーズの襲撃も切り抜ける。しかしボンドたちはアトランティスでストロンバーグに面会した直後、ジョーズたちストロンバーグ一味に襲撃され、危機一髪で脱出する。

 ボンドたちはストロンバーグが所有する超巨大タンカー・リパラス号が、9か月前に完成して以来一度も陸地に立ち寄っていないという不可思議な事実を突き止める。ボンドとアニヤはアメリカの潜水艦に乗ってリパラス号に近づくが、突如潜水艦の動力が失われ、緊急浮上したところを、リパラス号の船首から飲み込まれてしまう。

 リパラス号の中は巨大なドックとなっており、英ソの潜水艦が拿捕されていた。ストロンバーグはこの二隻から核ミサイルを発射してニューヨークとモスクワを破壊して地上の文明を一掃し、理想の海底都市のみを生き残らせるつもりだった。

 アニヤはストロンバーグにアトランティスに連れていかれるが、ボンドはすぐさま捕らわれていた潜水艦の乗員たちを解放し、リパラス号を制圧した。そしてすでに出撃していた原潜二隻にミサイルで互いを攻撃しあうように指示を送り、両艦を共倒れさせた。

 米原潜はアトランティス破壊の命令を受けるが、ボンドはアニヤ救出のため艦長に攻撃を延期してもらい、単身アトランティスに乗り込む。そしてストロンバーグを倒し、爆発するアトランティスからアニヤを連れ出して救命カプセルで脱出した。

 最後、海上を漂うカプセルが軍艦に回収され、Mやゴゴール将軍が中を覗き込むと、ボンドとアニヤが裸でいるのが見えるが、ボンドは「任務遂行中」ととぼけて窓のカーテンを下ろしておしまい。

 
 

感想

 評価は○(ロジャー・ムーア007の完成形)

 9作目「黄金銃を持つ男」(1974年)に続く「ロジャー・ムーア007」の三年ぶりの三本目。全体的にとても明るく軽いのですが、それがロジャー・ムーアという俳優のキャラクターとピッタリマッチしていていて、とてもいい感じの一作。製作スタッフが、ついに「ロジャー・ムーアが主演の007映画」の完成形を見つけた感があり、娯楽映画として大成功の作品です。


 この映画のあらすじをみると、「東西両陣営どちらにも属さない第三勢力が、両勢力の機密を奪取し、最終的に世界戦争で漁夫の利的な勝利を狙う」という流れが、5作目「007は二度死ぬ」(1967年)とよく似ています。よく見ると監督は「二度死ぬ」も本作もルイス・ギルバートということで、一種のセルフオマージュ的な物が有ったのかもしれません。

 そう考えると、「原潜が巨大タンカーに飲み込まれる」というシチュエーションも、終盤にタンカー内(の巨大セット)で兵士たちが悪党一味と大銃撃戦を展開してバタバタ死んでいくという場面も、どちらも「二度死ぬ」に似たような場面があり、そう思うとなかなかに既視感がありました。


 まあ、本作は、そういう深読みとか予備知識などは関係無く楽しめるように出来ていて、海中から浮上してくる超巨大基地アトランティスとか、原潜を飲み込む巨大タンカーとか、水中も自在に活動できるボンドカーとか、そういう要素を見るともう「空想科学映画」の範疇に入っているような気がしますが、しかしそれらがムーアのボンドと絶妙にマッチしていて愉快に楽しめました。

 冒頭の、アルプスで敵に追われるボンドがスキーで逃走するものの崖から転落、しかし、しばらくすると例のテーマ曲と共にばっとパラシュートが開く(しかもパラシュートには英国国旗があしらわれている)という場面は、知っていても掴みがばっちりでした。しかし、これ、当然CGとかではなくリアルの人間がやったスタントなわけです。昔の人は凄いことするよなぁ(感心)

 悪の首領ストロンバーグはあまりにも存在感(というか出番)が無くて、クルト・ユルゲンスも演じ甲斐が無かっただろうなぁと思いましたが、その代わりとして、殺し屋ジョーズのキャラクターが最高(笑) 怪力と金属製の歯が主武器で、エジプトでは自分で工事現場の柱を倒して落下物の下敷きになるとか、列車から放り出されたり車ごと崖から転落しても、背広の汚れをちょっと振り払うだけでそのままスタスタ歩み去るとか、とぼけた感じが実に良かった。

 久しぶりに登場のボンドカー「ロータスエスプリ」は、地上でのカーアクションも派手で見栄えがしましたが、さらに海中に飛び込むとそのまま潜水艇に変身してしまうという夢のようなギミック(笑) 何故か水中用の装備の方が充実していて、真上に発射するミサイルとか、魚雷とか、海底に置く爆弾とか、目くらまし用の墨とか、地上を走る方がおまけなのかと思うようなメカでした。

 そして、それらのパーツをまとめ上げるムーアの演じる軽妙なボンドが実にピッタリ。過去二作品「死ぬのは奴らだ」(1973年)、「黄金銃を持つ男」(1974年)、は、ショーン・コネリーと共に作られたボンド世界をロジャー・ムーア仕様に作り直そうと四苦八苦した感じがありましたが、本作は実に見事に「ムーアのボンド」世界が作られていました。

 まあ、コネリー時代のボンドと比較するとひたすら軽くなってしまいましたが、「これがムーアのボンド映画だ!」という物が作られており、これはこれでエンタメムービーとして楽しめる一作てした。
 
 

https://www.bs-tbs.co.jp/movie/007thespywholovedme/
007/私を愛したスパイ【吹替】


2022/1/29(土)
よる9:00~11:24


◆キャスト
ジェームズ・ボンドロジャー・ムーア広川太一郎
アマソワ…バーバラ・バック安藤麻吹
ストロンバーグ…クルト・ユルゲンス麦人
M…バーナード・リー藤本譲
Q…デスモンド・リュウェリン(白熊寛嗣)
マネーペニー…ロイス・マクスウェル(泉裕子)
ナオミ…キャロライン・マンロー松下こみな


◆スタッフ
1977年/イギリス
監督:ルイス・ギルバート

 

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