【コミック】感想:NHK番組「ボクらと少年ジャンプの50年」

週刊少年ジャンプ(34) 2018年 8/6 号 [雑誌]

BS1スペシャル http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/
放送 NHK BS1。2018年7月8日(日) 22:00~23:50。

【※以下ネタバレ】
 

http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2018-07-08/11/12161/2637528/
NHKBS1
7月8日(日) 午後10時00分
BS1スペシャル「ボクらと少年ジャンプの50年」


7月に50周年を迎える「週刊少年ジャンプ」。創刊当初は後発のため人気作家に描いてもらえず苦戦したが、その後「キン肉マン」「キャプテン翼」「ドラゴンボール」「ONE PIECE」など次々にヒット作を生み出して少年誌のトップに立った。その強さの秘密は何か?歴代編集長やヒット作家たちが今だから語る!また現在の編集部に密着取材。次の連載を決める運命の「連載会議」で連載を勝ち取ったのは…?


【出演】秋本治,江口寿史,桂正和,許斐剛,小林よしのり,ゆでたまご嶋田隆司,高橋陽一,つの丸,永井豪,平松伸二,北条司,松井優征,本宮ひろ志,森田まさのり,後藤広喜,堀江信彦,鳥嶋和彦,【語り】佐藤健,大原さやか

 

内容

 2018年7月で創刊50周年を迎えた週刊少年ジャンプの歴史。


 創刊は1968年。最初は月二回発売。既に週刊少年マガジン、サンデーが先行しており、有名作家に仕事を依頼したがすべて断られた。そこで、開き直って新人に描かせる事にした。漫画家がいないので、創刊号から新人賞を募集して才能を募った。こういう試みをやったのはジャンプが初。


 やがて永井豪の「ハレンチ学園」が世間に叩かれつつも大ヒット。続いて本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」がヒット。若手重視の方針が大成功で、1973年には先行していたマガジン・サンデーを抜き去る。


 ジャンプ編集部の方針は「新人発掘」「作家の育成」「アンケート主義」。若い才能を次々と見つけて育てる。ただし人気は読者アンケートで決め、若手でもベテランでも区別しない。


 1980年の「ドクタースランプ」のヒットで雑誌の雰囲気が微妙に変化。男くさい漫画雑誌だったジャンプに「キャッツアイ」「ウイングマン」といった連載が出現。


 しかし80年代前半、サンデーはラブコメ「タッチ」が大ヒット。ジャンプ編集部もラブコメをやろうという雰囲気になるが、当時の西村編集長が「うちはあくまで男路線で行く」と決定。そして1983年の「北斗の拳」が爆発的ヒット。


 1990年代前半にジャンプは絶頂期を迎え、1994年に653万部という雑誌史上の最高記録を打ち立てた。その原動力の一つが「ドラゴンボール」。だが誕生秘話は意外な物。鳥山明のその前の連載「ドクタースランプ」はギャグなので、一部分を直すと全体の書き直しが必要になり、手間がかかるので止めたがっていた。当時の編集長にドクタースランプより面白い物を描いたら止めさせてやる、と言われて、好きなカンフー映画をベースに描いたのがドラゴンボールだったという。


 しかし90年代後半になり、ドラゴンボールスラムダンクといった超人気作が終了すると、ジャンプの部数は落ち始めた。編集長の鳥山氏は創刊当時の編集長が掲げた「新人発掘」「作家の育成」「アンケート主義」に回帰。その流れの中でスタートしたのが、大人気作「ワンピース」。その後「ナルト」「ハンターハンター」「ブリーチ」「ヒカルの碁」などのヒット作で盛り返し、現在に至る。


 新連載を決める「編集会議」は、編集長、副編集長4人、班長4人、が、漫画家と共に作り上げた下書き(ネーム)を持ち寄って決定する。


 江口寿史は「ストップひばり君」の連載がヒットしたものの、描くのが週刊に間に合わないので、途中で逃げた。そのためテレビアニメがスタートした途端に原作漫画が終了するという珍事となった。

感想

 ジャンプ50年の歴史をひも解くドキュメンタリー。この手の仕事に豊富な経験を持つNHKの番組なので安心して見ていられました。しかも前後編合わせて100分の大ボリュームなので見ごたえも抜群。質の高い番組でした。

 そしてこの手の番組なら、現役編集者や歴代編集長が登場するのは至極当然ですが、さらに節目節目となるヒット作を描いた漫画家へもインタビューしているのが凄い。

 ハレンチ学園永井豪先生からスタートし、本宮ひろ志秋本治平松伸二小林よしのりゆでたまご嶋田隆司)、高橋陽一江口寿史北条司森田まさのり桂正和許斐剛つの丸松井優征、といった面々が次々と登場して色々と秘話を語ってくれました。そうか、今は単に面倒くさい漫画家のイメージしかない小林よしのりも、昔はジャンプでギャグを描いていたんだよなぁ。

 まあなんにせよ、結構面白い番組でした。
 
さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 (幻冬舎文庫)