【SF小説】感想「致死線の彼方」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 554巻)(2017年10月5日発売)

致死線の彼方 (宇宙英雄ローダン・シリーズ554)

http://www.amazon.co.jp/dp/415012146X
致死線の彼方 (宇宙英雄ローダン・シリーズ554) (日本語) 文庫 2017/10/5
クルト・マール (著), ウィリアム・フォルツ (著), 新朗 恵 (翻訳), 星谷 馨 (翻訳)
文庫: 268ページ
出版社: 早川書房 (2017/10/5)
発売日: 2017/10/5

【※以下ネタバレ】
 

アルマダ中枢は銀河系船団に彼らの一部隊になるよう提案する。ローダンは交渉を拒否して、フロストルービンへの突入を決断した!


無限アルマダが数百万年にわたって捜索してきた聖なる存在"トリイクル9"とは、フロストルービンのことだった。それが何者かに悪用されたことに気づいた無限アルマダは、銀河系船団の責任だと考えて、罪を償わせようとする。交渉に向けたローダンの努力もむなしく、アルマダの司令本部にあたるアルマダ中枢から使者が送られてきた。銀河系船団を無限アルマダの構成部隊とし、全乗員をアルマディストにするというのだ!

 

あらすじ

◇1107話 致死線の彼方(クルト・マール)(訳者:新朗 恵(新規加入))

 アルマダ中枢は使者としてウェイデンバーンを送り込み、銀河系船団を無限アルマダ編入することを命令してきたが、ローダンは拒否する。ローダンは、フロストルービン内にセト=アポフィスが作ったM-82銀河への通路『無抵抗の道』を利用するため、船団をフロストルービンに突入させた。セト=アポフィスは、本拠地のM-82に船団が接近していることに気が付き、阻止しようとするが失敗する。そして無限アルマダも銀河系船団を追ってフロストルービンに突入した。(時期:不明。NGZ426年4月頃)

※初出キーワード=なし



◇1108話 エネルギー圃場の危機(ウィリアム・フォルツ)(訳者:星谷 馨)

 《バジス》はM-82銀河に到着するが、周囲には無限アルマダの艦船しか存在せず、直後シグリド人の旗艦と衝突してしまう。しかも《バジス》は、無限アルマダブラックホールを利用してエネルギーを生産する『エネルギー圃場(ほじょう)』内に出現して、ブラックホールに転落しつつあった。《バジス》はシグリド人と協力してエネルギー圃場を脱出するが、銀河系船団・無限アルマダの全ての船がM-82中にバラバラに実体化したらしいと気が付く。同じころ、アラスカはカビン断片を失い、セト=アポフィスは無数の宇宙船の出現の衝撃で失神し、M-82外縁には《ソルセル=2》を始めとするクラン艦隊が到着していた。(時期:不明。NGZ426年4月頃)

※初出キーワード=エネルギー圃場、紙吹雪現象、グーン・エネルギー、挫折者、アルマダ工兵、アルマダ年代記アルマダ工廠


あとがきにかえて

 新しく翻訳チームに参加した新朗 恵(あろう・めぐみ)氏の自己紹介。


感想

 前半。銀河系船団が脱出のためフロストルービンに突入する展開は、アフィリーサイクルで《ソル》がバラインダガル銀河から脱出するためブラックホールに飛び込むくだりを思い出して、凄く懐かしかったです。またかつてセト=アポフィスに操られていたブルーク・トーセンがまさかの再登場。操られていたころは精神錯乱ばかりのキャラという印象しかありませんでしたが、死んで意識だけの存在となると妙に冷静なキャラに変貌していて、その辺りが妙に心に残りました。

 ところで、ニッキ・フリッケルと仲間二人(ナークトル、ウィド・ヘフリッチ)は、まとめてローダンから「三銃士」と呼ばれているみたいで、ちょっと笑いました。


 後半。舞台をM-82銀河に移しての新展開。作家チームのリーダー格のフォルツの書くエピソードなので、アラスカのカビン断片は消えてなくなる、セト=アポフィスは失神してしまう、クラン人艦隊がM-82に到着する、無限アルマダの支配を狙う謎の勢力が姿を現す、と、盛沢山すぎる展開でした。

 ブラックホールに不要な物を放り込んでその際にエネルギーを生み出す「エネルギー圃場」というシステムは、原理はよくわかりませんが、何となく魅力的な設定ではありました。
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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