【小説】感想:SF雑誌「キャプテン・フューチャー・ハンドブック S-Fマガジン1983年7月臨時増刊号」(1983年)

S-Fマガジン 1983年07月号 臨時増刊 (通巻302号)

https://www.amazon.co.jp/dp/B00FGNY9OE
S-Fマガジン 1983年07月号 臨時増刊 (通巻302号) 雑誌 古書, 1983/5/25
出版社:早川書房 (1983/5/25)
発売日:1983/5/25
雑誌:368ページ

★★【以下ネタバレ】★★
 

■■■■■■ 1983年07月臨時増刊号(通巻302号)キャプテン・フューチャー・ハンドブック ■■■■■■


野田昌宏 宇宙軍大元帥よりごあいさつ
・"破壊王"ふたたび
  構成 井上博明・園山靖輔
  イラスト・文 綿織正宣・青井邦夫・田中晴美
野田昌宏 風前の灯火!冥王星ドーム都市
エドモンド・ハミルトン 久志本克己+野田昌宏 訳 太陽の子供たち
エドモンド・ハミルトン 久志本克己+野田昌宏 訳 忘れじの月


■ スタートリンク誌復刻 ■
・Edmond Hamilton Pardon My Iron Nerves (鉄の神経お許しを)
野田昌宏 キャプテン・フューチャーを原書で読んでみよう!


エドモンド・ハミルトン 山本孝一+野田昌宏 訳 <物質生成の場>の秘密
エドモンド・ハミルトン 川合康雄+野田昌宏キャプテン・フューチャーの帰還
エドモンド・ハミルトン 北野喜樹+野田昌宏 訳 もう地球人では……
エドモンド・ハミルトン 野田昌宏 訳 (待望のリバイバル) 衛星チタンの<歌い鳥>


・他 記事多数!

 

内容

 1983年に発売されたS-Fマガジンの増刊号。SF小説キャプテン・フューチャー」の特集号。1982年にハヤカワ文庫でシリーズ全作品の翻訳が終了した記念に刊行された物。


野田昌宏 宇宙軍大元帥よりごあいさつ


●小説
野田昌宏 風前の灯火!冥王星ドーム都市

 シリーズ翻訳者の野田昌宏が作者ハミルトンの遺族の了解を得て執筆した日本オリジナル作品。文庫本一冊分のボリューム。


エドモンド・ハミルトン 久志本克己+野田昌宏 訳 太陽の子供たち
エドモンド・ハミルトン 久志本克己+野田昌宏 訳 忘れじの月
エドモンド・ハミルトン 山本孝一+野田昌宏 訳 <物質生成の場>の秘密
エドモンド・ハミルトン 川合康雄+野田昌宏キャプテン・フューチャーの帰還
エドモンド・ハミルトン 北野喜樹+野田昌宏 訳 もう地球人では……
エドモンド・ハミルトン 野田昌宏 訳 (待望のリバイバル) 衛星チタンの<歌い鳥>

 中編。ハヤカワ文庫版に収録されず未訳だった作品+αを一挙収録。



リーダーズ・ガイド
 
 ハミルトン作品「星間パトロール/銀河大戦」「スターウルフ・シリーズ」「虚空の遺産」の紹介。



●"破壊王"ふたたび 構成 井上博明・園山靖輔 イラスト・文 綿織正宣・青井邦夫・田中晴美

 32ページ。見開きイラストに多少の文章を加えた絵物語。カーティスたちが「破壊王」復活のニュースを聞き調査に出動するものの……、という内容。



●Who's Who

 シリーズの登場人物事典。


●イラスト・ギャラリィ

 アメリカのパルプ雑誌キャプテン・フューチャーの表紙絵をカラーで収録。



シミュレーションゲーム「太陽系一周レース」

 シリーズ作品「謎の宇宙船強奪団」で描かれた太陽系一周レースを再現したゲーム。折込の紙の裏表にヘクス・マップが書かれているのでそれをコピーして貼り合わせ、ルールに従ってコマを動かし、太陽系一周を競う。デザイナーは岡田厚利氏。



野田昌宏 キャプテン・フューチャーを原書で読んでみよう!
 スタートリンク誌復刻 Edmond Hamilton Pardon My Iron Nerves (鉄の神経お許しを)

 短編「Edmond Hamilton Pardon My Iron Nerves」を雑誌に掲載されたままで完全復刻。原書のイラストや広告まで載っている。


感想

 いやー、懐かしい一冊です。

 今を去ること40年前の1983年にS-Fマガジンの増刊として発売され当然速攻購入したのですが(その頃はまだXX歳の若者だった……(遠い目))、いつの間にか捨ててしまっており、その後ゼロ年代には東京創元社からキャプテン・フューチャー全集が発売されて、収録作品がすべて再刊行されたので、もう特に未練もなかったのですが……

 ところが今年に入って、この増刊に「シミュレーションゲーム」がついていたのを発見し、このゲームは復刻される可能性ゼロだと思ったので、頑張って再入手してみました。店によっては結構なお値段がついていたのですが、根気よく探し回って2000円以下で入手できたのでラッキーでした。(^_^)v


 冒頭の故・野田氏の挨拶(40年前!)から当時の空気が伝わってきて、凄く懐かしかったですね。

 お目当てのシミュレーションゲーム「太陽系一周レース」は、デザイナーが当時ツクダホビーのウォーゲームを一杯デザインしていた岡田厚利氏だと知ってちょっとビックリ! まあ内容は「ゲーム板がヘクスマップ」で、さらに「ユニットの置き方がどうの」「旋回の方法がどうの」と予想通りのガチガチのシミュレーション。いかにも岡田厚利風味でした(笑)

 まあ当時のウォーゲームとしてはごく普通の内容ですが、ボードゲームが発達した現在からみると「当時はこんなややこしい方法でしかキャプテン・フューチャー世界を表現する手段が無かったんだな……」と物悲しい気持ちになりましたね(ちょっと大げさ)


 あと面白いのか絵物語「"破壊王"ふたたび」。カーティスたちが復活した破壊王を追ってみるとその正体は……、というストーリーで、正直大したものではないのですが、表紙に「新聞」が載っていて破壊王復活を知らせる記事が小さな字で掲載されていまして……

 ここは、執筆者が字が小さくて読めないと思っていたのか適当な文章で埋め尽くされており、そこに太陽系主席ダニエル・クルーの談話が載っていて「破壊王が復活したらしいが、どうせ《ジュニア》とか《パート2》とかが付いている手合いに違いない。こっちにはキャプテン・フューチャーという強ェ味方、不沈空母がついてんだ 【主席問題発言】」とべえらんめぇ口調で語っているのが笑えました。これよこれ、このバカ記事が読みたくて40年ぶりに買ったんだよ(笑) (さっきと言っている事が違う)

 まあ殆どの内容は創元SF文庫の全集に収録されているので正直希少性は低いのですが、私は読んでいるうちに若い頃の思い出が蘇ってきてしまい、結構良い買い物したなぁって思いました。マル。