感想:アニメ「五等分の花嫁」第6話「積み上げたもの」

五等分の気持ち

TVアニメ「五等分の花嫁」公式ホームページ|TBSテレビ http://www.tbs.co.jp/anime/5hanayome/
放送 BS-TBS

【※以下ネタバレ】
 

第6話 積み上げたもの

 

あらすじ

 風太郎は一花との関係が良くなり、家庭教師の仕事がそれなりに軌道に乗って来た。しかし早くも中間試験が迫ってきており、五つ子の成績を考えると気が気ではない。一花・三玖・四葉はそこそこ真面目に勉強に取り組む姿勢を見せていたものの、中間試験については赤点でも落第するわけではないと、あまりに真剣に考えているようには見えなかった。

 また五月は独学で真面目に頑張っていたものの、風太郎とのわだかまりが有り、意地でも風太郎から勉強を教わろうとしなかった。

 そんなとき、五姉妹の父親から風太郎に連絡が入り、中間試験で娘のうち誰か一人でも赤点を取った場合は、風太郎は能力不足という事で解雇、ということになってしまう。慌てた風太郎は五月に対し、自分に勉強を教わるように命じるが、その言葉に五月はますます意固地になってしまう。

 一花は三玖が風太郎が好きなことに気が付いており、何かと三玖と風太郎が接する機会を作って応援する。そして風太郎が勉強を教える時間が足りないと焦っているのを知ると、風太郎が泊まり込みで勉強を教えるように話を持っていく。

 二乃は、風太郎と五月の間がギクシャクしているのを見て、五月のふりをして風太郎から「五人のうち一人でも赤点の場合、風太郎はクビ」という事を聞き出す。二乃はもともと風太郎を追い出したくて仕方ないので、これ幸いと全く勉強しないという手に出る。

 夜。三玖が一花と一緒に寝ることにして、風太郎は三玖の部屋のベッドを借りることになった。ところが深夜寝ぼけた三玖が自室に戻ってしまい、朝風太郎が起きると隣に三玖が寝ていた。


シナリオ:大知慶一郎 絵コンテ:桑原智 演出:森田侑希 
総作画監督:中村路之将、斉藤圭太、氏家章雄、清水健一、齊藤格、中村深雪

感想

 今回の話はまずまずのレベル。四葉のアホっぷりは平常運転でしたが、三玖が恋する乙女キュンキュンモードに突入してかわいらしいこと。そして五つ子の声優に売れっ子を総動員(?)したのがいよいよ効果を発揮してきました。

 ところで五月って眼鏡っ娘だったのね。全然萌えないけど。
 
 
C95 五等分の花嫁 タペストリー
「五等分の花嫁」キャラクターソング ミニアルバム
 
 
 

【数学】「すべての素数の積は、なぜ40未満なのですか?」←そもそも質問の意味が解りますか……?

素数入門―計算しながら理解できる (ブルーバックス)

すべての素数の積は、なぜ40未満なのですか? - 数学・算数 締切済み| 【OKWAVE
https://okwave.jp/qa/q9266576.html

 
 私、数学は苦手でしたが数学周りの雑談みたいなのは好きなので「素数」とかそういう話で時々検索してみるのですが、時たま見るのが「素数を全部かけると4×πの二乗になる」という答え。普通に計算すると答えが39.4……、となってしまい、「んなアホな」と全く納得できないのですが、それについてのわりと解りやすい説明が有って嬉しくて。

正の整数すべての和を
1+2+3+...=-1/12
などと書いている人がいます。もちろんこれも間違いですが、
ζ(n)=1/1^n+1/2^n+1/3^n+...
が正の整数nについて成り立つことと
ζ(-1)=-1/12
から、
1+2+3+...=-1/12
と書きたくなる根拠はあるわけです。
2*3*5*7*...=4π^2
という計算は、形式的な変形でこうもできるというものですが、実際は(※)みたいなもので、数学的には間違いです。そして、Γ関数やζ関数を用いたような正当化もできていません。だから、この式は現在数学的にはそもそも成り立たないわけです。

 
 ふう、そうだよね、こんな計算成り立たないよね。
 

しかしながら、数学界の巨人も含めて、なにか正当化する根拠がいずれみつかるのではと考える人がいるのは事実です。ひょっとしたら将来正当化できるような根拠が見つかり、0!=1のような書き方と同様に正しくなくとも理解される時は来るのかもしれません。

 
 ……、そうなの?
 
 
素数とゼータ関数 (共立講座 数学の輝き)
 
 
 

【科学】感想:NHK番組「ガッテン!」『“新原因”発見! 衝撃の肩・首のこり改善SP』

NHKガッテン!  2019年 冬号

NHK ガッテン! 毎週水曜よる7時30分【総合】 http://www9.nhk.or.jp/gatten/
放送 NHK総合

【※以下ネタバレ】
 

“新原因”発見! 衝撃の肩・首のこり改善SP (2019年2月13日(水)放送)

 

内容

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190213/index.html
2019年2月13日(水)午後7時30分


芥川賞作家の羽田圭介も悩む「首のこり」。その原因となる筋肉を首の奥底で発見!奥にあるので普通に揉んでも届かないという。理学療法士直伝の簡単な体操で首こりを解消!


女性の7割、男性の4割が悩む「首のこり」。ひどいと頭痛まで引き起こす。今回、徹底取材で見つけた原因が、首の奥底に潜む小さな筋肉。悪い姿勢以外に、目の使いすぎでも凝り固まっちゃうので、いわば“現代病”。しかも、奥底にあるので普通に揉んでも届かないという厄介者。しかし!筋肉を知り尽くす理学療法士の世界にすご~い改善法を発見!自分でできる超簡単な体操の驚き効果に、芥川賞作家の羽田圭介がうなずきまくり!?


どうにも取れない、しつこ~い肩こり。もしかすると、その本当の原因は別の場所に潜んでいるかも!?それは首の奥の奥にある、とある小さな筋肉。いま、女性の7割、男性の4割が悩むという「首のこり」を引き起こす厄介者。果ては、そこから肩こりに移行しちゃっている人もいるというんです。何が厄介かというと、奥底にあるがゆえに普通に揉んでも、なかなか届かないため、こりを解消しにくい筋肉であること。しかし、ご安心。筋肉のことを知り尽くす理学療法士の世界に、ゴッドハンドとしか思えないすご~い改善法があったんです。お金をかけず、自分で改善できる方法を大公開!


【ゲスト】光浦靖子羽田圭介大島麻衣,【司会】立川志の輔小野文惠,【語り】山寺宏一

 

●肩こりと首こりは別!?原因は首の奥の筋肉!

 外国人は肩こりが無いというが、それは嘘。彼らも肩は凝る。それどころか「肩のこり」と「首のこり」を明確に区別している。

 実は日本人は首の周りが凝るのを「肩こり」の一言で雑に済ませているが、実は「肩のこり」と「首のこり」は全く別の物。だから『肩こり』を解消しようと背中の筋肉を揉んでも、首のこりは取れず、そのために「いつまでも『肩こり』が治らない」と嘆く羽目になる。

 肩こりの原因は首から背中に広がる「僧帽筋(そうぼうきん)」の凝り。ところが首こりは僧帽筋のさらに下にある、後頭部にある八つの小さな筋肉「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」が原因。この筋肉が凝って首の神経を圧迫するので、首こりになると頭痛や吐き気が起きる。

 首凝りは何故起きるのかというと、一つはやはり姿勢。無理な姿勢でパソコンの画面を見ていたりすると、首の後ろの後頭下筋群が凝ってしまう。

 もう一つは目の動き。目を細かく動かすと、それにつられて顔も微妙に動いてしまい、そのために首の筋肉が凝る。「スマホを見るならあんまり目は動かさないじゃん?」とか思うのは大間違い。画面は小さくても視線は常に微妙に動いているので、上下左右に顔が動くことになり、首が凝りまくる。



● 首こり改善運動

 首こり対策としては、後頭下筋群のこりをほぐす運動の3つがある。いずれも目を閉じて、首をゆっくり細かく動かすことで、後頭下筋群をほぐしていく。

決められた回数だけ軽めに行い、がんばらないことがコツです。3つのセットを1~3の順番で行ってください。

 

1.イヤイヤ運動

・後頭下筋群を横向きに伸縮させて血行を促し、こりをほぐす運動です。
仰向けに寝て目をつむり、楽にします。その状態でゆっくり首を左右に動かします。
動かす角度は小さめで45度を超えない程度。片側3秒ほどかけて動かします。
回数は20往復が1セットで、1日3セット行います。

 

2.うなずき運動

・後頭下筋群を縦向きに伸縮させて、こりをほぐす運動です。
枕を使って仰向けに寝ます。目をつむってアゴを上げる方向に動かし、うなずくように戻します。少し上向きのうなずきで、首の後ろの筋肉を伸縮させるイメージです。
一回3秒くらいのゆっくりしたスピードで、20往復で1セット。1日3セット行います。

 

3.アゴ引き運動 ・首の後ろの筋肉を伸ばすストレッチです。

・枕を使って仰向けに寝て目をつむり、アゴを引くように動かします。
1回に3秒ほどのゆっくりしたスピードで、10回1セット。1日3セット行います。

 

※3つの運動は仰向けに寝て行うと頭の重さで後頭下筋群に負担をかけないで済むので理想的ですが、イスに腰掛けて行っても効果は期待できます。

 
 

感想

 まあ特に「首こり」という言葉を意識していたわけではないですが、体感的に「肩甲骨の辺りが凝る」という症状と「首の後ろの辺りが凝る」という症状は、それはそれで別の場所の筋肉の問題であって、それぞれ別にほぐさなきゃだめだよね、とは考えていました。

 よって「うぉぉぉぉ、首が凝るなら首をほぐさなきゃならんのか?! 驚いた! こんな事実初耳やんけ?!」ではなく、なんとなくわかっていたことに理論的裏付けが得られたという感じです。あと「目の使い過ぎで肩(首)がこる理由」というのがようやく解りましたし。

 幸いにも最近は酷い凝りとは縁がないのですが、対策も解って一安心ですね。


蛇足

 その昔酷いコリで整形外科に行って、医者に「目の使い過ぎが肩に来たんじゃないかと思うのですが……?」と言ったら「目と首が関係あるわけないだろ」と鼻で笑われました。その時に不信感を抱いて以後そこの病院には二度と行っていませんが、嫌なことを思い出したなぁ。
 
 
首こりは治る!
 
 
 

【ゲームブック】感想:ゲームブック「恐竜探検」(デイヴィッド・ビショッフ/1985年)【クリア済】

新版 恐竜の世界 DVD付 (学研の図鑑)

http://www.amazon.co.jp/dp/4576850210
恐竜探検―アドベンチャー・ゲーム (サラ・ブックス―タイムマシン・アドベンチャー) 新書 1985/4
デイヴィッド・ビショッフ (著), 田村 源二 (翻訳)
新書: 198ページ
出版社: 二見書房 (1985/04)
発売日: 1985/04

【※以下ネタバレ】
 

タイムマシンを操作して──
1億5000万年前の太古へ旅立ち
きみは恐竜時代へタイム・トラベルして、与えられた使命を遂行できるか!?
それとも、時の流れのなかをあてどもなくさまようことになるか……

 

概要

 1985年に二見書房から発売された新書サイズのゲームブック。「タイムマシン・アドベンチャー」シリーズの第一弾。


あらすじ

 君は「中央時間管理局」(Central Time Administration)の特別捜査官である。今回の君の使命は始祖鳥(アーケオプテリクス)と呼ばれる鳥の祖先の写真を撮影してくることである。始祖鳥は化石しか発見されておらず、研究が行き詰ってしまっているためだ。


ゲームシステムなど

 パラグラフ数は50前後(※)。「パラメーター」「サイコロ振り」といった概念は無く、選択肢を辿るだけで進めることができる分岐小説タイプ。

※各パラグラフには番号は無く、選択肢は「○○する … XXページへ」の様にページで飛び先を指定しているため正確なパラグラフ数は不明。パラグラフのボリュームと総ページ数から推定して50程度だと思われる。


感想

 評価は○(並)。プレイ時間:約1時間。

 子供向けだが、ジュブナイル小説ノリでそこそこには楽しめた作品。


 二見書房の小説でおなじみの新書サイズで、見た目は大人向けだが、内容は完全に児童書で、文章のレベルから見て小学生高学年程度を対象にしていると思われ、外見と対象とするターゲットの間に齟齬が見受けられる。

 ストーリーは「始祖鳥の写真を撮ってくる」というのんびりした目的からも分かる通り、命を懸けたシリアスなタイムトラベルSFではなく、観光客気分で恐竜の時代を見て回る少年の冒険物語になっている。命を落とすようなデッドエンドは存在せず、危機に陥った場合も「最初からやり直せ」と言われるだけである。ちなみに最終ページに「中央時間管理局」によるテストが有り、やり直した回数等が少ないほど優秀な捜査官ということになっている。


 この作品はゲームブックであるにも関わらず、選択できる行動は非常に限定されている。まず主人公は特に理由も無く過去のどこかの時代にタイムトラベルし、その時代の生物と接触するなどちょっとイベントをこなした後、「ここに始祖鳥はいなさそうだ」→「XX万年未来へジャンプする … ○ページへ」「◇◇万年過去へジャンプする … △ページへ」で別の時代へ移動し、また最初から同じことを繰り返して……、とひたすら時間旅行をしているだけである、というか基本的に選択肢は時間移動ばかりで、その他の選択肢は殆ど無いと言ってよい。

 また時間ジャンプも、結構頻繁に「○年後へジャンプ … □ページへ」という一本道で移動させられるため、思うがままに時間を飛び回るわけにもいかず、意外と冒険は制限されている。

 という事で、ゲーム中の自由度は低いものの、プレイ自体はそれなりには面白い。というのは、一つのパラグラフの文章量がかなり多く、最低でも1ページ分、多い時には7~8ページ分もあるので、各パラグラフだけで小説のひとつの章くらいの分量が有り、起きたイベントを読んでいるだけでもそれなりに楽しいのである。

 粗悪なゲームブックの中には、無意味に迷路を登場させ、主人公をさまよわせてページ稼ぎするような作品も見受けられるが、そういった作品に比べれば余程良心的であると言えよう。

 パラグラフの文章量が多く、選択肢は少ない、ということで、難易度は低く、割と簡単に結末までたどり着くことが出来た。しかしうっかりすると文字通りの時間ループに突入してしまい、延々と同じパラグラフの組み合わせを周回する羽目に陥ってしまうので、一応フローチャートは書いておいた方がプレイの効率は良さそうである。

 選択肢の数は少なく、またどの選択肢を選んでも大してゲームの展開が変わるわけでもないので、ゲームブックとしての質はそれほど高いとは言えないが、児童向けSF小説のちょっと変わった物、という風に考えると悪くない作品だと言えよう。


余談

 作品の冒頭で、主人公は「時間管理局の捜査官」だと言われるが、この作品のどこにも「時間管理局」についての描写は無く、この組織が一体どのようなものなのか全く不明である。というか、そもそもこの作品の主人公「きみ」は、捜査官どころか、ただの少年が過去に移動しただけの様にしか見えないのだが……

 また主人公は作品中で自由自在に時間と空間を移動するにも拘わらず、別にタイムマシンに乗り込んだり、またはそれに該当するような機器を操作している描写はない。そしてその謎は「P102→P64」のパラグラフで明かされるのだが、驚くことに、主人公が使用しているタイムマシンとは、普通に本屋で売っている「恐竜探検」という本(つまりこのゲームブックそのもの)だった、というオチがつく。

 確かに本の冒頭を読むと「この本はタイム・マシンである」と書かれているのだが、この文章は当然読者向けの比喩だと思っていたのだが、実際(?)には言葉通り本当に本がタイムマシンだったのである(笑) いわゆるメタフィクションという訳であるが、このあたりはさすが二見書房の本だと思わずにはいられなかった(笑)
 
 

2019年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 
恐竜 (ポプラディア大図鑑WONDA (7))
 
 
 
 
 

【推理小説】感想:小説「模倣の殺意」(中町信/2004年)

模倣の殺意 (創元推理文庫)

http://www.amazon.co.jp/dp/4488449018
模倣の殺意 (創元推理文庫) 文庫 2004/8/13
中町 信 (著)
文庫: 327ページ
出版社: 東京創元社 (2004/8/13)
発売日: 2004/8/13

【※以下ネタバレ】
 

七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。


一方、ルポライター津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。


著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。

 

あらすじ

 七月七日午後七時。東京のとあるアパートで駆け出しの推理作家・坂井正夫が青酸カリを飲んで死亡した。警察は自殺として処理するが、坂井の恋人・中田秋子は他殺ではないかと疑い、個人的に調査を始める。そして坂井の知人・遠賀野律子が大金を巡って坂井を殺す動機が有ったことを突き止める。しかし律子には事件の直前に石川県にいたというアリバイがあった。

 一方、ルポライター津久見伸助は、同人仲間の坂井の死を記事にしようと調査する内、坂井を憎む編集者・柳沢による犯行ではないかと疑うようになる。直後、坂井が新人賞受賞後、一年後にようやく発表した作品は、高名な作家・瀬川恒太郎の遺作に酷似しているという事実が発覚する。

 周囲は坂井が瀬川の作品を盗んだと考えるが、津久見は逆に才能が枯渇していた晩年の瀬川の方が坂井の未発表作品を盗作したのではないかと思いつく。そして坂井はその事実を世に訴えるため旧作をあえて発表し、瀬川を敬愛する柳沢が坂井の口をふさぐために殺したのではないか、と推測する。しかし柳沢は、瀬川による盗作説に同意するものの、坂井殺しは断固として否定する。

 秋子は調査の末、律子のアリバイを崩し、律子が当日飛行機で東京まで移動して坂井を殺害したと確信する。ところがその飛行機は当日は事故で飛んでおらず、律子に坂井殺害は不可能だった。やがて律子は交通事故で死に、また坂井の遺書が見つかり、坂井は覚悟の自殺だったと解る。

 津久見は調査を進めるうち、坂井正夫の死の丁度一年前の七月七日に、「駆け出し推理作家の坂井正夫という男が、東京のアパートで青酸カリで服毒自殺をした」という、そっくりの事件が起きていたことを知り驚愕する。また坂井には中田秋子という恋人がおり、秋子は瀬川恒太郎の娘、という事実も判明する。
(※以後、一年前に死んだ方を「坂井A」、津久見の知り合いを「坂井B」とする)。

 津久見の考えでは、坂井Bは偶然から坂井Aが書いた推理小説の原稿を手に入れ、それを自分の新作として発表した。ところがそれに先んじて、やはり老作家・瀬川も別ルートで坂井Aの原稿を手に入れ、盗作して自作として発表した。そのために坂井Bの作品が瀬川の遺作の盗作に見えた、というのが真相のようだった。

 エピローグ。秋子は坂井Aの死後、坂井Bに接触し恋人となっていた。それは父親・瀬川が、かつての恋人・坂井Aの原稿を盗作した事実をもみ消すため、今は坂井Bに渡った原稿をどうにかするためだった。しかし坂井Bがそれを自作として編集部に送ってしまったため、坂井Bに毒を飲ませて殺す。そうすれば、坂井Bが瀬川の原稿を盗作した挙句、罪の意識で自殺したように見えるからだった。

感想

 評価は○(まずまず)

 叙述トリック物。文体に昭和的古臭さを感じたものの、すいすいと読み進められる文章と、それなりに驚かされる結末で、まずまずの満足度の作品だった。

 本作品は「複数の主人公の物語が交互に語られ」、「同じ出来事を相互につながりのない二人が別の視点から体験しているのかと思いきや」、「実は全く時期が違う二つの話を並行して進めていた」、という仕掛けでビックリさせるのが骨子。

 実のところ、この叙述トリックは、過去に読んだ「某推理作家の某作品」でそっくりそのまま使われていたため、仕掛けを知っても特に衝撃は受けず「またか」という気にしかならなかった。ただし、本作品は1972年(昭和47年)に発表されており、その某作品よりも遥か先にこの世の中に出ていることを考えれば、「また」というのは失礼な話かもしれない。この作品の方を先に読んでいれば、小説一冊をかけて騙されていた、という事実にショックを受けたろうことは間違いない。

 二人の主人公・秋子と津久見が、それぞれ探偵役となり、自分が容疑者と見込んだ相手のアリバイを崩そうとする過程はなかなか面白く、終盤直前まで結構引き込まれた。

 しかし、終盤の「坂井正夫という死んだ作家が実は二人いた」というどんでん返しの部分がもたつき気味で、今一つキレが無いため、意外な真相に衝撃を受けたという程でも無かった。そもそも同姓同名の人物が二人いた、ならまだしも、その二人のどちらも駆け出しの推理作家だった、という設定がかなり無理があるというか、いかにも作り物感がにじみ出ていて、今一つ感心できなかった。

 この終盤の種明かし部分がもっと上手く書かれており、何の不満も無く一気にラストまで読ませてもらえたなら、例え知っている類のトリックであっても、もっとインパクトが有ったと思う。そういう意味では惜しい作品だった気がする。

 しかし、探偵役の秋子が殺人者だった、というオチはそれなりに余韻を残す結末であり、作品の評価としてはまずまずというところである。

余談

 この作品は、あちこちで本になるたびにコロコロタイトルが変わっているそうで、そのあたりが妙に面白かった。

作者による当初タイトル「そして死が訪れる」
1972年 雑誌連載時「模倣の殺意」
1973年 双葉社版「新人賞殺人事件」
1987年 徳間文庫版「新人文学賞殺人事件」
2004年 創元推理文庫版「模倣の殺意」(本書)

 変わり過ぎである。
 
 

2019年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

新人文学賞殺人事件 (徳間文庫) 文庫 1987/2/1
新人文学賞殺人事件 (徳間文庫)
 
 
 

【読書】2019年読書・感想一覧

スイス時計の謎 (講談社文庫)
 
 

読了日作品名作者発表年ジャンル評価
2019/01/01 スイス時計の謎有栖川有栖2003推理
2019/01/06 生首に聞いてみろ法月綸太郎2004推理
2019/01/11 ハサミ男殊能将之1999推理
2019/01/15 改訂完全版 異邦の騎士島田荘司1998推理
2019/01/20 妖盗S79号泡坂妻夫1987推理
2019/01/29 ブラックアウト (文庫版)渡辺浩弐1999SF
2019/02/01 8の殺人我孫子武丸1989推理
2019/02/03 福家警部補の挨拶大倉崇裕2008推理
2019/02/09 大きな森の小さな密室小林泰三2011推理
2019/02/13 模倣の殺意中町信2004推理
2019/02/15 恐竜探検デイヴィッド・ビショッフ1985ゲームブック
 

前年(2018年)の読書の感想一覧はこちら

perry-r.hatenablog.com
 
 
 
 
福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)
 
 

【読書】2018年読書・感想一覧

あなたが名探偵 (創元推理文庫)
 

読了日作品名作者発表年ジャンル評価
2018/12/13 気分は名探偵 犯人当てアンソロジー有栖川有栖、他2006推理
2018/12/18 あなたが名探偵泡坂妻夫ほか2005推理
2018/12/23 どんどん橋、落ちた綾辻行人1999推理
 

次の年(2019年)の読書の感想一覧はこちら

perry-r.hatenablog.com
 
 
どんどん橋、落ちた (講談社文庫)
 
 
 

感想:アニメ「エガオノダイカ」第6話「運命の岐路」

エガオノカナタ

TVアニメ「エガオノダイカ」公式サイト http://egaonodaika.com/
放送 AT-X

【※以下ネタバレ】
 

第6話 運命の岐路

 

あらすじ

 グランディーガ帝国軍はソレイユ王国の首都ハリアント目前まで迫り、王国軍は最終防衛線を構築して守りを固める一方、首都の住民の疎開を開始した。ハロルドは自らテウルギア(ロボット兵器)のパイロットとして前線に出陣することを決意する。

 そしてついに戦端が開かれるが、兵力で圧倒的に劣る王国軍は物量差で押しまくられ、次々と戦力を失っていく。戦闘を見ていたユウキは、戦場となっている台地がもろい事に思い当たり、味方を撤退させたあと、仕掛けた地雷を遠隔で爆破することで台地に大穴を開け、敵の侵攻を一時的に食い止める。

 しかし、ユウキはこれ以上の戦闘継続を望まず、軍を武装解除し、降伏勧告を受け入れることを決める。そのため、イザナがハリアントに残り、ユウキは降伏の受諾のためハロルドたちと帝国大本営に向かうことになった。

 ところがユウキを乗せた戦艦は帝国へは向かわず、避難民の疎開先の南部州に進路を取る。激高したユウキは進路変更を命じるが、ハロルドたちはユウキを死なせるわけにはいかないと言って命令を聞こうとはしなかった。


脚本 猪爪慎一
絵コンテ 稲垣隆行
演出 格子縞佐世郎
作画監督 青木真理子、丸山修二、大野勉、服部憲知


感想

 今回は王国サイドエピソード。

 今回ユウキが唐突に軍事的才能に目覚めて戦争をひっくり返すのかと思いましたが、さすがにそんな無粋な真似はしなかった。良かった(笑)

 日本人的感覚からすると「首都占領→もうゲームセット」と無意識に思い込んでいたわけですが、暫定首都に移動して徹底抗戦という手もあったか。そういえば第一次大戦の頃のフランスのクレマンソー首相は、ドイツ軍がパリに迫った時には、勇ましく「パリの前と中と後ろで戦う。(中略) 最後にピレネー山脈にまで後退してでも戦う」云々と言っていたのを思い出した。

 王国の首脳陣て、ここぞというところで王女を騙すよね。いやまあ善意から来ている行動だけど。
 
 
この世界に花束を