【ゲーム】感想「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」[Nintendo Switch](2023年)【クリア】

パラノマサイト FILE23 本所七不思議 オリジナル・サウンドトラック
パラノマサイト FILE23 本所七不思議 オリジナル・サウンドトラック

パラノマサイト FILE 23 本所七不思議 公式サイト | SQUARE ENIX
https://www.jp.square-enix.com/paranormasight/

www.jp.square-enix.com
★★【以下ネタバレ】★★
 

パラノマサイト FILE23 本所七不思議 ダウンロード版
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000060827.html


スクウェア・エニックスが贈る、本格謎解きホラーアドベンチャー
実在する怪談「本所七不思議」の伝説――


昭和後期の日本、墨田区を舞台にしたホラー・ミステリーアドベンチャーゲーム
呪いによって翻弄される個性的なキャラクター達、
それぞれの思惑が絡み合い展開する物語は、あなた自身の手で結末へと導かれる。

 

概要

 2023年にスクウェア・エニックスから発売されたホラーミステリーアドベンチャーゲーム。ダウンロード専用ソフト。


あらすじ(序盤)

 昭和末期。会社員「興家彰吾」(おきいえ・しょうご)は、深夜にオカルト好きの知人「福永葉子」(ふくなが・ヨーコ)に呼び出され、江戸時代から練馬区に伝わる怪談「本所七不思議」の調査に付き合わされる。葉子によれば、本所七不思議には死んだ者を蘇らせる「蘇りの秘術」の秘密が隠されているという。彰吾は半信半疑で葉子に付き合うが、やがて「本所七不思議」に関する恐ろしい事態に巻き込まれてしまう……


ゲームジャンル/システムなど

 アドベンチャーゲーム

 操作は画面上にカーソルを当てて対象物を指定しクリックして反応させていくタイプ。例えば人の顔を指し示すと「話す」になり、何かの物を対象にすれば「調べる」になる、というもの。またコマンド選択形式も併用しており、会話を広げる際に画面上に「○○について」といった複数の選択肢のコマンドが表示されることもある。

 セーブは完全自動で、手動セーブも用意されているが使用する必要は無し。

 ゲーム中の用語をまとめた「データベース」が存在し、随時参照可能で、ストーリーが進行し新事実が判明するたびに内容が最新のものに更新されていく。

 複数の主人公の物語が並行して進行するマルチストーリーとなっており、ストーリーの進行と共に、ストーリーの流れをビジュアル化した「ストーリーチャート」が作成される。チャートには場面が表示されており、それらを選択することで、ストーリーのどの個所からでも始める(つまりロードする)ことができる。


感想

 評価は○(なかなかの好作品)

 プレイ時間:約12時間。

 本作品は「AVG好きに好評」という評判だけを知って、内容をほとんど知らないまま購入+プレイしたのですが、税込み1,980円というミニゲーム価格の作品にも拘わらず、内容は非常に充実しており、なかなかに満足できる一作でした。


 とはいえ、プレイの序盤はいきなりロクな説明もないまま「昭和末期にオカルト好きの知人に呼び出された主人公が、恐るべき呪殺合戦に巻き込まれた挙句、自分も殺されてしまう」という怒涛の展開を見せるため、正直訳が分からず、当然さっぱりノレませんでした。

 し・か・し、主人公と思っていた彰吾が呪殺されてあっけに取られていると、今度はいきなり「津詰&襟尾」「約子&ミヲ」「春恵&利飛太」のストーリーが始まり、それによって話の全体像が見えてきてからは一気に面白くなり、以後のめりこんでプレイしました(※つかみはもうちょっと工夫する余地があったかもしれません)。


 正直、プレイ前は、公式サイトの説明文から本作を「呪いの力を手に入れた男女九人が、究極の目標『蘇りの秘術』を巡り、三つ巴四つ巴で殺し合うデスゲーム物」と予想しており、デスゲーム嫌いとしてはかなり警戒していたのですが、プレイしてみると全然方向性が違うのに驚きました。

 血みどろの壮絶な呪術合戦が息つく間もなく展開される……、のかと思いきや、意外にも呪主(かしりぬし)たちは呪いのキーアイテムの呪詛珠を簡単に手放してしまうし、ならば、根島史周が計画する大量殺戮を阻止するサスペンスに持って行くのかと思ったら今度は根島が簡単に殺されてしまうし、と、いちいち良い感じに予想外の方向に話が展開していくので、先の展開が楽しみで夢中でプレイすることになりました。


 また

「津詰 徹生&襟尾 純」
  吉見肇殺しの捜査→吉見は土御門晴曼の子孫だった。また白石美智代と面識があった。


「逆崎 約子&黒鈴 ミヲ」
  白石美智代の自殺の真相を探る→春恵の一人息子の誘拐殺人事件と繋がっていた


「志岐間 春恵&櫂 利飛太」
  春恵の一人息子の死の真相を追う→白石美智代が事件に関係していた


と、当初全くバラバラだった三組のストーリーが、実は深いところでつながっていて一つの大きな真相が見えてくるという展開は実にワクワクさせられましたね。


 さらに、ゲームのシステムが実に素晴らしかったのも印象的でした。オートセーブですのでいつセーブするかや残りスロット数などを気にする必要もなし、ストーリーチャートが自動的に作成されるので、もし話をさかのぼってやり直したいなら好きな個所を選択すれば良し、フラグを立て損ねている場面ではサムネイルが明るいままなのでそこに分岐があって別展開に進めるとはっきりわかる、ゲーム内設定のデータベースがあるので登場キャラ名や独自設定などもいつでも確認可能、と至れり尽くせりでした。

 基本的には人の顔をクリックして会話していればストーリーが進んでいくノベル作品の様な手軽さでしたが、所々でキーワードを入力しないと先に進めないように作っており、「何も考えずにクリックしているだけでは終わらせない」という工夫があったのも好印象でした。


 あと、ちょっと笑ったのは、「蝶崎麻由」が閉じ込められた場所から脱出するため、「春恵&利飛太」にファックスで連絡を取るため、頻繁に両方のストーリーを切り替えなければならない展開で、これは本作品の様なマルチ展開ストーリーAVGの始祖的作品(あえて名は秘す)に激似のシーンがあったので、それを思い出してしまいちょっとウケました。この場面は、本作品のスタッフがあの名作にささげたオマージュじゃないでしょうか?(深読みし過ぎかな)


 それにしても、結末については本当に意表を付かれました。一番最後に聞かれる「蘇った土御門晴曼は誰だ?」の答えに全く見当がつかなかったので、総当たりで登場人物全ての名前を入力してもすべて拒否されてしまい途方にくれたのですが…… 必死に考え込んでいるうちに「そういえば一番最初に自身の名前を入力させられたな……?」と思い出して入力したらそれが正解だったという……、いやはや、この仕掛けは凄い。心底感服しましたね。


 完全ラストでは時間が巻き戻って全ての事件は無かったことになりめでたしめでたし、とさわやかな結末で、後味もばっちりでしたね。


 まあ、惜しむらくは、この設定とストーリーならば、もっと話を膨らませて超大作に出来たのでは、と思わせるところですね。山森ナツヱやヒハク社は設定があるにもかかわらずほとんど活用されなかったし、津詰の上司とかも名前だけで終わってしまうなど、設定がまるで活用されなかったところがあり、そのあたりは拍子抜けでした。まあ1980円の作品ですからあまり無理を言ってもいけないのでしょうどね。


 オカルトホラーでありながら、複雑に絡まった謎を解き明かしていく推理物の楽しみがあり、またキャラクターの描写もうまく(「津詰&襟尾」コンビの面白楽しい会話や利飛太のとぼけた言動、女子高生約子&ミヲの名コンビぶり、など)、プレイして楽しい物でした。本作品はシリーズ化の構想があるようですが、同じスタッフの手掛けたものが作られたなら、それも是非プレイしてみたいですね。
 
 
 

あらすじ(完全ネタバレ)

 昭和末期(恐らく1980年代初頭頃)。会社員「興家彰吾」(おきいえ・しょうご)は、深夜にオカルト好きの知人「福永葉子」(ふくなが・ようこ)に呼び出され、江戸時代から練馬区に伝わる怪談「本所七不思議」の調査に付き合わされる。葉子によれば、本所七不思議には死んだ者を蘇らせる「蘇りの秘術」の秘密が隠されているという。

 彰吾は半信半疑で葉子に付き合うが、突然葉子が急死し、さらに彰吾は死体のそばで見つけた根付「呪詛珠」(じゅそだま)に触れることで、全ての事情を理解する。呪詛珠を持つ者は「呪主」(かしりぬし)として本所七不思議の呪いのいずれかを使えるようになり、呪詛珠に呪い殺した相手の魂「滓魂」(さいこん)を溜めれば「蘇りの秘術」を発動させ死んだ者を生き返らせることができる様になる。

 彰吾は葉子を生き返らせるため呪詛珠を駆使し、他の呪主と思しき相手を手当たり次第に呪い殺していくが、最後には自らが何者かの呪いにより殺されてしまった。



 物語はその日の午前中に遡る。刑事の「津詰徹生」(つつみ・てつお)とその部下「襟尾純」(エリオ・じゅん)は警官殺しの事件の捜査に従事していた。高校生の「逆崎約子」(さかざき・やっこ)とその友人「黒鈴ミヲ」(くろすず・みを)は、約子の親友の自殺の真相を探ろうとしていた。有閑マダム「志岐間春恵」(しぎま・はるえ)は誘拐され殺された一人息子の事件の捜査を私立探偵の「櫂利飛太」(かい・りひた)に依頼していた。やがて津詰、約子、春恵は、それぞれが突然呪主となり、人を呪い殺す力を手に入れてしまう。

 彼らはやがて互いに知り合い、彼らが関わっていたことがすべて一つの線で繋がっていたことを知っていく。「蘇りの秘術」とは、江戸時代の陰陽師「土御門晴曼」(ツチミカド・セイマン)が作り出したものだったが、当時この術を狙う陰陽師「蘆乃」(アシノ)と晴曼の争いにより多くの命が奪われる恐ろしい事件「本所事変」が発生した。そしてこの事変の出来事にまつわる「本所七不思議」は、その内容が変化した形で現在に伝わっていたのだった。

 津詰たちは、黒幕ともいうべき何者か「蘇りの秘術」を復活させるために呪詛珠をばらまき呪主を生み出したことを知る。さらに、土御門晴曼が後世で「蘇りの秘術」に関する災いが起きた時、それを無効化するための方法を「禄命簿・陰の書」という書に記していたことを突き止め、この書を探し求めていく。


 ここでプレイヤーは、プレイヤー自身が「蘇りの秘術」の災いを食い止めるために蘇った土御門晴曼であることを知る。本作のプレイは、土御門晴曼が自身の記憶を取り戻していく一種のプロセスだった。


 晴曼の子孫である興家彰吾は、事件の黒幕であり蘆乃の子孫である葉子と対決しこれを倒した。そして「禄命簿・陰の書」の力により時が遡り、蘇りの秘術に関して発生したすべての災いは無かったことになり、街に平和が戻った。<完>
 
 

プラットフォーム
Nintendo Switch/SteamR/iOSAndroid ※いずれもダウンロード販売のみ


ジャンル
ホラーミステリーADV


発売日
2023年3月9日(木)


希望小売価格
1,980円(税込) ※iOSAndroid版は1,900円(税込)

パラノマサイト FILE23 本所七不思議 ダウンロード版
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000060827.html


【あらすじ】
ごく普通の会社員・興家彰吾は、友人の福永葉子とともに、
深夜の錦糸堀公園で、地元では有名な怪談、《本所七不思議》について調べていた。
《蘇りの秘術》と関係するという葉子の話を半信半疑で聞き流していた興家だったが、
目の前で次々と奇妙なことが起こり始める‥‥。
時を同じくして、《本所七不思議》を追う人々がいた。
連続変死事件を追う刑事、クラスメイトの自殺事件の真相を求める女子高生、そして失った息子の復讐を誓う母親。
本所七不思議を中心にそれぞれの思惑が絡みあい、物語は凄惨な呪い合いへと発展していく。


【特徴】
◆360°背景で表現された、臨場感のある昭和の日本
 墨田区観光課、郷土資料館、観光協会、商工会など全面協力のもと、360度カメラで撮影された「全天球背景デザイン」でリアルな街並みを再現。
◆呪われたキャラクター達による、息もつけない駆け引き
◆あなた自身の手で明かされる衝撃の真実

 
 

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