【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『永遠の命!?吸血鬼伝説の真相~人類は天敵に勝てるのか?~』(2019年7月18日(木)放送)

ドラキュラ: Dracula, Japanese edition

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

永遠の命!?吸血鬼伝説の真相~人類は天敵に勝てるのか?~ (2019年7月18日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-07-18/10/14179/2292009/
7月18日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分


ダークサイドミステリー「永遠の命!?吸血鬼伝説の真相~人類VS天敵~」


人類の天敵・吸血鬼は実在した?実際の襲撃事件の実態は?“女帝”VS吸血鬼、戦いの行方は?「フランケンシュタイン」との驚きの秘話!永遠の命と死の恐怖の秘密とは?


永遠に若く美しく…。人間の血で死を超越する魔物・吸血鬼。マンガや映画のイメージと異なり、東ヨーロッパでは本当に吸血鬼が人を襲う事件が続発、記録に残っていた!墓場からよみがえり、人々に死をまきちらす「生きている死体」。立ち向かったのはマリー・アントワネットの母、“女帝”マリア・テレジア。「フランケンシュタイン」とドラキュラ誕生、意外な秘話とは?現代まで続く人類と天敵との長き戦いに、終わりは来るのか?


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】森田秀二,森口大地,【語り】中田譲治,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「吸血鬼」


●実在した吸血鬼

 フィクションの世界で有名な吸血鬼。ところが現実に吸血鬼は存在したことが記録に残されている。


 1725年7月。大国オーストリアの首都ウィーンに、セルビアのキソロヴァという小村から奇怪な報告が届いた。村人が8日間で9人も怪死し、しかも全員が死ぬ間際に「10週間前に死んだ男に首を絞められた」と証言したという内容だった。そして犯人はバンピール、つまりバンパイアという怪物だというのである。

 セルビアは長くオスマン帝国の勢力下にあったが、この時期戦争でオーストリアの領土となった、いうなれば辺境の未知の土地だった。

 また別の記録では、1726年にセルビア南部メドヴェギア村で村人4人が怪死。全員が一か月前に死んだ男に首を絞められたと証言。村人が墓を掘り起こすと、死体は全く腐っておらず、目鼻耳口から血が流れ、爪が生え変わっていた。村人は男がバンパイアになったと考え、胸に杭を打ち込むと、男は断末魔の叫び声をあげたという。最後に村人は犠牲者にも杭を打ち死体を燃やし感染を防ごうとしたが、さらにその後三か月間に17人も死人が出た。村人はパニックとなり、死体を暴いて胸に杭を打つばかりか、死体を灰にしてさらに川に流したと言う。


 この二件の事件は西ヨーロッパに「バンパイア」という未知の怪物を知らしめた。哲学者・医学者たちは単なる迷信だと考えたが、神学者は悪魔の仕業かもと否定はしなかった。


 バンパイアは東ヨーロッパで広く信じられていた「生きている死体」。生前に乱暴狼藉を働いていた物や無残な死に方をした者が帰って来ると考えられていた。またバンパイアに襲われた者もまたバンパイアになる、とされた。



●「生きた死体」の正体

 18世紀の事件で墓を掘り起こしたところ、死体が腐敗していないなどの奇怪な現象が確認されている。しかし医学に詳しい人物によると、それらは全て科学的に説明が付くという。

・死体が腐っていない→死体が腐るには空気が必要。そのため、素人のイメージとは異なり、地中に埋められた死体の方が、空気中に放置された死体より8倍も腐敗が遅い。

・死後に髪の毛や髭、爪が伸びている→心臓が停止しても全ての細胞が一斉に死ぬわけではない。そのため死体の髪の毛などが伸びることは実際に観測されている。

・口などから血が出ていた→肺の中にあった血が口などから染み出してきた可能性が高い。

・胸に杭を打つと叫び声をあげた→腐敗時に発生したガスが、肺や消化管の中にたまり、それが杭を打ったタイミングで声帯を通って声を挙げたように見えたのではないか

 また墓の下から手が飛び出していたりすることがあるが、それが墓から狼や野犬が死体を掘り起こそうとしたためと推測される。



●土着信仰

 実は「死体が生き返る」という考えはヨーロッパ各地の土着信仰として広く信じられていた。しかしカトリックが広がるにつれ、西ヨーロッパではそういう考えは消えていく。しかし東ヨーロッパはギリシャ正教が信じられた地域で、正教には中央的な権威が無かったこと、またオスマン帝国は支配地域の宗教に干渉しなかったこと、から、土着信仰がずっと生き残っていたのだった。



●バンパイア対スーパー女帝

 バンパイアの存在を知り、人々はパンバイアがいるのかいないのか議論を始めていた。フランスの哲学者ヴォルテールは、18世紀になったのに人はバンパイアのような迷信を信じていると嘆いている。そんなバンパイア論争に政治面から立ち向かったのが、当時の実質的なオーストリアの女帝だったマリア・テレジアである。

 広大なハプスブルグ帝国の支配者であったマリア・テレジアは、官僚制度で国家を統治するために、吸血鬼の様な迷信は排除する必要があった。そのため1755年にモラヴィア地方に吸血鬼調査隊を派遣、それを指揮したのは医学者でマリア・テレジアの侍医だったゲラルト・ファン・スウィーテンだった。

 スウィーテンは死体を掘り起こして調査を行い、地中では死体の腐敗は地上よりはるかに遅いことを突き止めた。また吸血鬼の犠牲者が「首を絞められた」と証言していることに注目し、犠牲者は胸の病気だったのではないかと推測した。

 当時は様々な伝染病で人々は原因も解らないまま死んでおり、それを吸血鬼の仕業にしていたのだった。

 スウィーテンは「人は原因の解らない現象に接すると、超自然の力のせいだと考えがちである」と報告した。マリア・テレジアはその報告をもとに、1755年、バンパイアなどの迷信に基づく行為を禁止する法令を出した。

 やがて19世紀に入り科学が発展すると、死体が生き返るというバンパイアは人々の心から消えていった。



●吸血鬼の大復活

 しかし、19世紀、バンパイアは別の形で蘇ってきた。

 1816年。スイス・ジュネーブ。詩人バイロンは知人たちにそれぞれ小説を書こうと提案する。当時は科学重視の啓蒙主義の反動で、人の感情を重視するロマン主義が流行し、そのため恐怖やサスペンスなどを扱うゴシック小説が流行っていた。

 そして参加者の一人メアリー・シェリーは、1818年に科学者が死体に命を吹き込む「フランケンシュタイン」を書き上げ、バイロンの主治医ジョン・ポリドリはバイロンをモデルにして「ザ・バンパイア」という作品を発表した。

 吸血鬼はその後フィクションの世界で進化を遂げ、そして1897年にブラム・ストーカーによる吸血鬼小説の決定版「ドラキュラ」が発表され、大ベストセラーとなる。識者によれば、小説のヒットは当時の世相を反映しているという。当時の大英帝国は衰退期に有り、「今まで支配していた相手が、自分たち以上の力を持って攻めて来るのでは?」という不安が、トランシルバニアから来たドラキュラ伯爵に反映されているという。


感想

 フィクションの世界で大人気のバンパイアのお話。バンパイアが土着宗教として実際に信じられていたという話は、今回初めて詳しく知ったのですんごく面白かった。また、それだけで終わらせず、フィクション世界でのバンパイアの進化についても触れていたのはナイスな構成でした。
 
 

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出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
吸血鬼ドラキュラ
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