【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」『緊急報告! “死の山”ミステリー ディアトロフ峠事件』(2019年8月29日(木)放送)

ディアトロフ・インシデント [Blu-ray]

ダークサイドミステリー NHK https://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史…。こうした事件の数々を徹底再検証!


人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

緊急報告! “死の山”ミステリー ディアトロフ峠事件 (2019年8月29日(木)放送)

 

内容

https://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2019-08-29/10/12956/2292008/
8月29日木曜
NHKBSプレミアム 午後9時00分~ 午後10時00分
ダークサイドミステリー「緊急報告!“死の山”ディアトロフ峠事件」


世界最大ミステリー!通称“死の山”ロシアの雪山での、若者9人原因不明の死亡事件。いったい何が起きたのか?真相究明への驚きの最新展開を緊急報告!謎の真相に迫る。


近年話題の、世界最大ミステリーに急展開!1959年、“死の山”と呼ばれるロシアの雪山で、若者9人が異様な遺体で発見された遭難事件。頭蓋骨やろっ骨が骨折、目や舌が消失、さらにマイナス30度の吹雪の中、謎の下着姿。衣類から放射線が検出され、謎の光球の目撃などオカルトなウワサも飛び交い、原因に75説も出る異常事態に。今年、真相究明に向けた驚きの発表が相次ぎ、その最新情報を交えながら、事件の真相に迫る!


【出演】栗山千明,廣瀬陽子,松閣オルタ,【語り】中田譲治,【アナウンサー】片山千恵子

 
 今回のテーマは「ディアトロフ峠事件」


●謎の遭難事件

 1980年代末、ソビエト連邦が崩壊すると、それまで知られていなかった奇怪な事件が西側諸国にも知られるようになった。それが通称「ディアトロフ峠事件」。

 1959年1月末、スヴェルドロフスク州内のウラル山脈オトルテン山を目指して9人の若者(男性7人・女性2人)がトレッキングに旅立った。彼らはウラル工科大学の学生やOBで、全員雪山の経験豊富な者たち。特にリーダーのディアトロフは沈着冷静な頼れる隊長として、仲間たちの信頼も厚かった。

 2月16日。隊が下山予定を3日過ぎても戻ってこないため、家族が捜索願を出し、大規模な捜索隊がウラル山脈に向かった。

 そして2月26日。ついにディアトロフ隊のテントが発見されるが、それは目的地のオトルテン山ではなく、そこから南に10キロ離れたホラート・シャフイル山の斜面に立っていた。ホラート・シャフイル山は先住民からは「死の山」と呼ばれていた。

 テントは雪に潰されていたが、ボールはしっかりと立っていて雪崩に流された形跡は無かった。テント内には人はおらず、靴が残されており、内部から切り裂かれた形跡があった。

 2月27日。テントの側の足跡をたどると、下り坂を1.5キロ下ったところでディアトロフ以下五人の死体が見つかった。彼らは靴をはかず薄着、中には肌着と裸足という者すらいた。また側には服が脱ぎ捨てられていた。そして全員が凍死していた。

 2か月後。5月4日。雪が溶けだした頃、残りの四人の死体が、先に見つかった五人の死体からさらに下に75メートル下ったところで見つかった。彼らは薄着というのはディアトロフたちと共通だったが、それ以外は大きく違っていた。あるものは頭部に陥没骨折、あるものはろっ骨が折れて内臓に突き刺さり大量出血、あるものはろっ骨骨折の上眼球と舌が無くなっていた。しかも二人からは強い放射線が検出された。



●何が起きたのか?

 ディアトロフ隊にいったい何が起きたのか。現在までに「真相」として75もの説が挙げられている。例えば以下のようなものである。


・獣害説
 ウラル山脈に生息する狼やクマなどに襲われた


・マンシ族襲撃説
 地元に住む先住民「マンシ族」に、聖地と崇める山に踏み込んだことで怒りを買い殺された


・スパイ暗殺説
 隊員の中に外国のスパイがいて、ソビエト当局がそのスパイを始末する際に巻き添えとなった


・人間関係のもつれ説
 恋愛沙汰で人間関係がもつれ、隊員同士で争った


・雪男“メンク”の襲撃説
 地元の伝説に語られる雪男「メンク」に襲われた


 しかし遺体には動物の牙や刃物などの痕跡が無い事から、これらの説の可能性は低いとされる。


 ところでこの地方には謎の光球が飛びまわっているのが良く目撃されており、実際に捜索隊のメンバーも目撃したとされる。そのため「ミサイル実験のトラブル説」や、果ては「UFOの襲撃説」まで飛び出す有様となっている。



●検察局の報告書

 一次資料となる、地元検察局の報告書を確認してみる。


 ディアトロフたちは食事後6時間から8時間後に死んでいた。そのため死んだのは2月1日深夜から2日明け方と推測される。

 「何故9人はテントを離れたのか?」については「強風説」が挙げられている。現地は風が強い所で、『深夜強風でテントが飛ばされそうになり、慌ててナイフでテントを切り裂き脱出、しかし風で隊員が吹き飛ばされてしまい、結局全員が猛吹雪に吹き飛ばされてさまよい、マイナス30度の中で凍死していった』と推測されている。

 何故服を脱いでいたのか。それについては「矛盾脱衣」という現象で説明が付く。人間は体温が34度以下に下がると、内臓の有る体の中心に血液を集中させる。しかしそのために暑いと錯覚してしまい、酷寒の中で服を脱いでしまうのである。

 骨折したりしていた死体については、死体が水につかっていたことから眼球や舌は腐敗してしまったと推測している。また頭蓋骨の骨折は、強風で倒れた際に頭を打って骨折した、として、事件性は無いと結論付けている。

 しかし死体のうち二つは強烈な放射線を発していた事を記録している上、謎の光球が周囲を飛び回っていたことについても詳細に記載している。これらは自然災害では説明がつかない。


 そしてこの報告書は機密扱いとなり、公表されること無く封印されてしまった。



●60年目の再調査と疑惑

 2019年2月1日、ロシア検査庁が唐突にディアトロフ峠事件の再調査を発表した。「雪崩説」「雪嵐説」「暴風説」の3つに絞って調査するとしたのである。

 事件直後の報告書では、テントのポールがしっかり立っていたことから雪崩説は否定されていた。しかし近年、ディアトロフ隊の行動のせいで雪崩が起きた説が浮上している。隊はテントを設営するためなだらかな斜面を掘って平らな場所を作りそこにテントを立てた。しかしそのせいで雪の支えが無くなり、斜面の上の方から雪が滑り落ちて小雪崩が起きたのでは、というのである。

 また斜面に降り積もった雪が重みで板状になり、それがゆっくりと滑り落ちてきて隊のテントを押しつぶした、という説も提唱されている。

 さらに特殊な風の渦が原因という説もある。隊がテントを設営したのは半球状の小山の風下だった。風がこの山を通る時細かい渦が発生し、それが巨大や渦に成長する。その渦は超低周波を発生させ、人間に圧迫感・恐怖感をもたらす。そのせいで隊員たちはテントを飛び出し雪原をさまよう羽目になったのだという。


 ところが6月28日、ディアトロフ事件の遺族・友人・学者たちによる、事件の解決を目的とする「ディアトロフ財団」が記者会見を行い、検察庁の発表は大嘘だと非難した。彼らは事件は、政府による隠ぺいが有ると主張している。

 その根拠の一つが1959年の捜査報告書で、通常振られているはずの番号が記載されていない。これでは後から捏造資料を紛れ込ませても解らない、というのである。

 また1959年に捜索に加わった一人でテントの第一発見者とされていた人物は、案内人にテントの側に連れていかれたといい、既に誰かがテントを見つけていた筈だという。

 さらに、捜索が開始されたのは2月16日なのに、捜査報告書の捜査開始日付はは2月6日となっている。つまり捜索が行われる前から検察が動いていたことになる。



●世界最大のミステリー

 何故ディアトロフ峠事件は「世界最大のミステリー」と呼ばれるほどの事件となったのか?

 旧ソ連時代は厳しい情報統制が行われていたが、1980年代後半の東西冷戦の終結により、事件の情報が西側にようやく伝わった。そしてインターネット時代になり、事件はネットで大きな話題となり、西側はこの事件をテーマにした映画などを作ったりした。そしてそれがロシアに逆輸入され、地元で特番が作られて話題になっていったのだった。


 しかし、60年前にディアトロフ峠で何が起きたかは、未だに謎のままである。


感想

 今回のお題は、ここ10年くらいのうちにオカルト好きの間で話題に上がるようになった「ディアトロフ峠事件」。このテーマは、どっちかというと「歴史ミステリー」が守備範囲の当番組より、オカルト検証番組の「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」の方が扱うべきネタだと思うのですが……、まあまるまる一時間このネタでやってくれたから良いかぁ。

 とにかく一から十まで謎だらけで、そらみんな話題にしたがるのも解る、という事件でしたね。しかしタイトルだけちらっと見えた「悪魔説」って何なんだよ(笑)


 今回はゲストの一人として、オカルト系サイト「オカルト・クロニクル」の管理人の「松閣オルタ」氏が登場していたので、オカルトスキーとしては大ウケしました(笑) そうか、こんな感じの人だったのかぁ。凄いイケメンでした。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

出演者
栗山千明 (くりやま ちあき)
BIRTHDAY 1984年10月10日
BLOOD TYPE A型


ゲストトーク司会: 片山千恵子アナウンサー


テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”


語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『ゴールデンカムイ』(土方歳三)、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(タンクジョウ)、『宝石の国』(金剛先生)、『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fateシリーズ』(言峰綺礼

 
 
オカルト・クロニクル
オカルト・クロニクル
死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相