ダークサイドミステリーE+ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/ZG5NQK3K3P/
放送 NHK Eテレ。毎週火曜夜10時45分~11時15分放送。
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【※以下ネタバレ】
他の回の内容・感想
驚きと感動の「闇」が、地上波に登場!
BSプレミアムでシーズン4が4月14日(木)スタートする話題の番組「ダークサイドミステリー」。その名作の数々が、コンパクト30分版に見やすくなってEテレに登場!
背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!
魔物が実在!? 不死身の野獣が村を襲った ~ジェヴォーダンの獣事件~ (2022年6月21日(火)放送)
内容
ダークサイドミステリーE+▽不死身の野獣が村を襲った~ジェヴォーダンの獣事件~
[Eテレ] 2022年06月21日 午後10:45 ~ 午後11:15 (30分)
フランス史上空前、謎の獣害事件!静かな山里を3年に渡り恐怖の野獣が襲撃。軍隊が!凄腕の猟師が!村人が!欲望と悲しみで深まるミステリー。現地取材で獣の正体に迫る!
伝説の魔物か?オオカミ男か?未知の怪物か?革命20年ほど前のフランス、静かな山里ジェヴォーダン地方を、謎の巨大野獣が襲撃!犠牲者100人以上!多くが女性や子ども!国王ルイ15世は軍隊を派遣するが、野獣はまるで超能力のような不死身ぶり。恐怖におびえる村に暗躍する黒幕が?必死に戦う村人たち!因縁の人間対立で深まるミステリー!そして野獣の正体は?今も謎だらけの怪事件を、現地での最新研究をふまえ徹底追及!
今回は「2020年6月18日放送回」のダイジェスト版。
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【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『魔物が実在!? 不死身の野獣が村を襲った ~ジェヴォーダンの獣事件~』(2020年6月18日(木)放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2020/06/20/233340
今回のテーマは、18世紀フランスで起きた「ジェヴォーダンの獣事件」。
●獣の出現
「ジェヴォーダンの獣」とは、フランス・ジェヴォーダン地方で1764年から三年間にわたり村人を虐殺した正体不明の獣の事。
1764年6月、山深いジェヴォーダン地方(現在のロゼール県の一部)で、謎の獣が人間を襲い始めた。14歳の少女が惨殺されたのを手始めに、次々と少女たちが殺害されていった。奇跡的に助かった少女は、見た事も無い獣に襲われたと証言した。獣は「ベート」(フランス語で狂暴な野獣の事)と称された。ベートは何故か家畜ではなく、女子供を狙って殺害した。
1764年9月6日。ベートは、なんとセリエ村の中に出現し36歳の女性を襲撃・殺害した。多数の村人によりベートが目撃されたが、体は子牛のように大きく、足には鋭いカギ爪、尻尾は異様に長く、背中には一筋の縞模様があった、という。
●国王ルイ15世、獣討伐に乗り出す
1764年10月。国王ルイ15世は、国の威信にかけて獣を討伐するため、軍の精鋭「竜騎兵(ドラゴン)」57人ををジェヴォーダンに派遣した。ベートが目撃された森を1000人の村人が包囲し、森の中に待ち構える竜騎兵が迎え撃つ、という作戦を取るが、全く成果が上がらなかった。猟犬を使わなかった上に、馬はジェヴォーダンのような地形で行動するのには全く向いていなかった。
成果が上がらないだけではなく、村人は無償で山狩りに駆り出されるうえに、竜騎兵たちの食事や寝床の世話までしなければならなかった。しかもその間にもベートの犠牲者は増え続けたのだった。竜騎兵が滞在中の四か月で20人の犠牲者がでた。
竜騎兵は、ベートが女子供を狙う性質を利用するため女装までしたが、全く成果は上がらず、結局、1765年2月に撤退した。
●増え続ける犠牲者
ルイ15世は次の手として、ベートに6000リーブル(現在の価値で約950万円)の懸賞金を懸けた。たちまちフランス各地から狩人たちがジェヴォーダンに集結し、さすがに狩りのプロたちだけに、ベートに何度も銃弾を撃ち込んだが、ベートは平気で逃げ去った。また、ベートは同じ日の午前と午後で50Kmも離れた別々の場所に出現することもあった。
マンドの司教は、この事件について、天罰だと切って捨てた。16世紀にはフランスはカトリックとプロテスタントの宗教戦争が発生し、敗北したプロテスタントは改宗を拒否しジェヴォーダンへと逃げ込み、村人たちは彼らを受け入れた。司教の態度はジェヴォーダンの村人を許さないという考えの表れだった。
ベート出現から一年が経ち、何の手掛かりも無いまま犠牲者は51人に達していた。
●ベートの正体は何か?
当時、ベートの正体は何かを巡り「シマハイエナ説」「ライオン説」、さらには「狼男説」まで飛び出していた。
さらに「人間が黒幕説」も挙げられていた。ベートが一日の内に長距離を移動していたのは人間が運んだから、と考えられた。その黒幕候補として挙げられていたのが、森に住む猟師のジャン・シャステルで、彼はマスティフという闘犬を何匹も飼っていたという。
●ベートの死、そして復活
1765年6月。ルイ15世はベート退治の第三の手段として、フランス一の射撃の名手で狩りの名人である貴族アントワーヌ・ド・ボーテルヌをジェヴォーダンに派遣した。ボーテルヌは三ヵ月かけてベートの行動パターンなどを徹底的に調べ上げた。
1765年9月20日、ボーテルヌはベートを待ち伏せして見事仕留めてみせた。ベートの正体は、全長1.7m・体重65Kgの巨大オオカミだったが、しかし、このオオカミはベートの特徴である背中の縞模様は無かった。それでも、それからベートの犠牲者は出なくなり、村人たちは安堵した。
ところが、三か月後の1765年12月2日、ジェヴォーダンで少年二人が獣に襲われ、一人は獣の背中に縞模様があったと証言した。つまりベートは死んでいなかったのである。現在では、ボーテルヌが射殺したのは、ボーテルヌがあらかじめ用意していたオオカミだったとも言われている。
●ベートの最期
村人たちは王にまたベートの被害が出たことを訴えたが、王からは既に獣は死んだので、今出ているのはただの狼に過ぎない、という返事しか来なかった。政府の公式見解ではベート事件は既に終わっており、仕留めそこなったという事を認める訳はいかなかったのてある。
見捨てられた村人たちは自分たちでベートに対抗せざるを得なくなった。そして1767年6月19日に村人は山狩りを決行。その中には、ベート事件の黒幕とも噂されたジャン・シャステルもいた。シャステルはべートに遭遇したが、ベートはシャステルを見つめたまま動こうとしなかったという。シャステルはベートを銃撃し、ベートは首を撃たれて死んだ。死体の背中には縞模様があった。
こうして三年に渡ったベート事件はようやく終焉を迎えた。ベートの犠牲者は最終的には100人以上に登ったとされる。
ベートの死骸は剥製にされてパリに送られたが、ルイ15世は見るのも嫌がり、死体はパリのどこかに埋められたとされる。
●事件の真相は?
この事件の真相はどういうものだったのか?
・シャステルの自作自演説 … 自分が飼っていた獣を自分で射殺した
・黒幕の存在説 … 貴族が裏にいてベートを運んだりしていた。シャステルはその手先
・ベートは複数いた?説
等が提唱されている。
フランス国立公文書館には、シャステルがベートを射殺した翌日に書かれたベートの検視の書類が収納されていた。この書類にはベートの体のサイズが正確に記録されており、全長は尻尾も含め1.9m、首の幅は24.2Cm、歯の数は42本(イヌ科の特徴)。
このデータをもとに、2016年にベートの復元模型が作成された。ベートとはオオカミの犬との交配種だったのか、はたまた、品種改良された狩猟犬だったのか? ベートを生み出したのは人間だったのかもしれない。