【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『魔物が実在!? 不死身の野獣が村を襲った ~ジェヴォーダンの獣事件~』(2020年6月18日(木)放送)

ジェヴォーダンの獣 (ヴィレッジブックス)

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇
背筋がザワザワ、心がドキドキ、怖いからこそ…見たくなる!
世界はそんなミステリーに満ちている。
未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史など、謎と恐怖の正体に迫ります!

 

魔物が実在!? 不死身の野獣が村を襲った ~ジェヴォーダンの獣事件~ (2020年6月18日(木)放送)

 

内容

ダークサイドミステリー「不死身の野獣が村を襲った~ジェヴォーダンの獣事件~」
[BSプレミアム]2020年6月18日(木) 午後9:00~午後10:00(60分)


フランス史上空前、謎の獣害事件!静かな山里を3年に渡り恐怖の野獣が襲撃。軍隊が!凄腕の猟師が!村人が!欲望と悲しみで深まるミステリー。現地取材で獣の正体に迫る!


伝説の魔物か?オオカミ男か?未知の怪物か?革命20年ほど前のフランス、静かな山里ジェヴォーダン地方を、謎の巨大野獣が襲撃!犠牲者100人以上!多くが女性や子ども!国王ルイ15世は軍隊を派遣するが、野獣はまるで超能力のような不死身ぶり。恐怖におびえる村に暗躍する黒幕が?必死に戦う女性たち!因縁の人間対立で深まるミステリー!そして野獣の正体は?今も謎だらけの怪事件を、現地での最新研究をふまえ徹底追及!


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】今泉忠明佐々木真,【語り】中田譲治,【アナウンサー】青井実

 
 今回のテーマは、18世紀フランスで起きた「ジェヴォーダンの獣事件」。


●獣の出現

 「ジェヴォーダンの獣」とは、フランス・ジェヴォーダン地方で1764年から三年間にわたり村人を虐殺した正体不明の獣の事。

 1764年6月、山深いジェヴォーダン地方(現在のロゼール県の一部)で、謎の獣が人間を襲い始めた。14歳の少女が惨殺されたのを手始めに、次々と少女たちが殺害されていった。奇跡的に助かった少女は、見た事も無い獣に襲われたと証言した。獣は「ベート」(フランス語で狂暴な野獣の事)と称された。ベートは6月から9月までの僅か四か月で八人も殺害、しかも殺されたのは女性か子供だけだった。

 1764年9月6日。ベートは、なんとセリエ村の中に出現し36歳の女性を襲撃・殺害した。多数の村人によりベートが目撃されたが、体は子牛のように大きく、足には鋭いカギ爪、尻尾は異様に長く、背中には一筋の縞模様があった、という。


●国王、獣の討伐に乗り出す

 1764年10月。国王ルイ15世は、国の威信にかけて獣を討伐するため、軍の精鋭「竜騎兵(ドラゴン)」57人ををジェヴォーダンに派遣した。ベートが目撃された森を1000人の村人が包囲し、森の中に待ち構える竜騎兵が迎え撃つ、という作戦を取るが、全く成果が上がらなかった。猟犬を使わなかった上に、馬はジェヴォーダンのような地形で行動するのには全く向いていなかった。

 成果が上がらないだけではなく、村人は無償で山狩りに駆り出されるうえに、竜騎兵たちの食事や寝床の世話までしなければならなかった。しかもその間にもベートの犠牲者は増え続けたのだった。竜騎兵が滞在中の四か月で20人の犠牲者がでた。

 竜騎兵は、ベートが女子供を狙う性質を利用するため、女装までしたが、全く成果は上がらず、結局、1765年2月に撤退した。


●不死身の獣

 ルイ15世は次の手として、ベートに6000リーブル(現在の価値で約950万円)の懸賞金を懸けた。たちまちフランス各地から狩人たちがジェヴォーダンに集結し、さすがに狩りのプロたちだけに、ベートに何度も銃弾を撃ち込んだが、ベートは平気で逃げ去った。ベートは住民の槍で刺されても平気なうえに、同じ日の午前と午後で50Kmも離れた別々の場所に出現するなど、動物の常識を超えていた。

 マンドの司教は、この事件について、天罰だと切って捨てた。16世紀にはフランスはカトリックプロテスタント宗教戦争が発生し、敗北したプロテスタントは改宗を拒否しジェヴォーダンへと逃げ込み、村人たちは彼らを受け入れた。司教の態度はジェヴォーダンの村人を許さないという考えの表れだった。

 ベート出現から一年が経ち、何の手掛かりも無いまま犠牲者は51人に達していた。


●ベートの正体は何か?

 当時、ベートの正体は何かを巡り、「シマハイエナ説」「ライオン説」「トラ説」「ヒョウ説」などが挙げられた。当時の貴族たちの間では、外国の珍しい獣を飼うのが流行っており、それらが逃亡したのではないかという訳だった。また「二本足で歩いていた」「人の言葉を話した」という証言から「狼男説」も飛び出していた。

 さらに「人間が黒幕説」も挙げられていた。何度も怪我をしても死なないのは人間が治療しているから、一日の内に長距離を移動していたのは人間が運んだから、と考えられた。その黒幕候補として挙げられていたのが、森にすむ猟師のジャン・シャステル。彼はマスティフという闘犬を何匹も飼っていたという。


●ベートの死、そして復活

 1765年6月。ルイ15世はベート退治の第三の手段として、フランス一の射撃の名手で狩りの名人である貴族アントワーヌ・ド・ボーテルヌをジェヴォーダンに派遣した。ボーテルヌは仲間や猟犬を連れてジェヴォーダンに来ると、三ヵ月かけてベートの行動パターンなどを徹底的に調べ上げた。

 そして9月20日、ボーテルヌはベートを待ち伏せして見事仕留めて見せた。ベートの正体は、全長1.7m・体重65Kgの巨大オオカミだった。しかし、このオオカミは背中に縞模様は無かった。

 1765年12月2日。ジェヴォーダンで少年二人が獣に襲われ、一人は獣の背中に縞模様があったと証言した。ベートは死んでいなかったのである。現在では、ボーテルヌが射殺したのは、ボーテルヌがあらかじめ用意していたオオカミだったとも言われている。


●ベートの最期

 ベートの被害者は、判明しているだけで二年間で65人にも達した。村人は王にまたベートの被害が出たことを訴えたが、王からは既に獣は死んだので、今出ているのはただの狼に過ぎない、という返事しか来なかった。政府の公式見解ではベート事件は既に終わっていたのである。

 1767年3月~6月半ばまでの時期は、被害者は14人、うち13人は子供だった。


 1767年6月19日。村人は山狩りを決行。その中には、ベート事件の黒幕とも噂されたジャン・シャステルもいた。シャステルはべートに遭遇したが、ベートはシャステルを見つめたまま動こうとしなかったという。シャステルはベートを銃撃し、ベートは死んだ。死体の背中には縞模様があった。犠牲者は最終的には100人以上だったという。

 ベートの死骸は剥製にされてパリに送られたが、ルイ15世は見るのも嫌がり、死体はパリのどこかに埋められたとされる。


●事件の真相は……?

 いったいこの事件の真相はどういうものだったのか?

・ジャン・シャステル自作自演説 … 自分が飼っていた獣を自分で射殺した
・貴族黒幕説 … 貴族が裏にいてベートを運んだりしていた。シャステルはその手先
・ベート複数説 … ボーテルヌに殺されたオオカミも、シャステルが殺した獣も両方「ベート」だった

 1958年に重要な書類が見つかった。シャステルがベートを射殺した翌日、ベートの解剖書が書かれていたのである。体のサイズが正確に記録されており、全長は尻尾も含め1.9m、首の幅は24.2Cm、歯の数は42本(イヌ科の特徴)。このデータをもとに、2016年にジャーナリストが復元模型を作成させた。制作者はベートとは犬とオオカミの交配種だったと推測している。

 犬の品種改良の失敗作が捨てられて、人間を襲う様になった可能性もある。


感想

 今回のテーマは、いつのまにかオカルトマニアの間でも、ネッシーとかロズウェル事件並みにメジャーになっていたジェヴォーダンの獣事件

 以前2014年に「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」の方でも取り上げていたのですが、

perry-r.hatenablog.com
 

 その後の新展開も含めての再度番組化。


 復元模型をドーンと見せられると迫力に圧倒されましたが、ゲストの専門家が言っていた「品種改良された犬の失敗作が捨てられたもの」という説はなかなかに説得力がありました。しかしまあ、何度撃たれても平気だったとか、一日50Km移動したとか、の謎は残るわけですが……、すっきりと解決される日は来るのでしょうかね?
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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