感想:小説「マイナス・ゼロ」(広瀬正)


 小説「マイナス・ゼロ」(広瀬正)の感想です。

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■データ(公式)
http://www.amazon.co.jp/dp/4087463249/
マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫) [文庫]
広瀬 正 (著)
文庫: 520ページ
出版社: 集英社; 改訂新版版 (2008/7/18)
言語 日本語
ISBN-10: 4087463249
ISBN-13: 978-4087463248
発売日: 2008/7/18

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■データ(個人的補足)

 SF小説。日本SF界のタイムトラベル物で代表作の一つと呼ばれる作品。

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■あらすじ

 昭和20年5月。米軍の空襲の最中、浜田少年は、重傷を負い死ぬ間際の隣人から奇妙な頼み事をされる。それは18年後の今日、この場所に来て欲しいというものだった。そして昭和38年、成長した浜田はその約束を守り、かつての隣人宅があった場所を訪ねる。そこで浜田を待ち受けていたのは、あまりにも意外な出来事だった・・・

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■感想

 折込のチラシに「書店員さん大絶賛」と書かれ、賛美の言葉が並んでいるのですが、正直に言えば期待ハズレ。

 タイムマシンが現在と過去を行き来する事でひき起される循環の物語で、「現在起きたことの原因は過去にあり、その過去の出来事は現在が関わっていて」というタイムトラベル物の王道のストーリーが展開します。物語の因果が過去→現在→過去とグルグルと何周もする様な構成になっており、それらを解きほぐしていって、ラストで全てが見通せた時には、「良くこんなややこしい話を思いつくよなぁ」とは思いました。

 ただダイナミックさには欠けるというか、ページ数の割には起伏が乏しく、三分の一も読めば、凡その構成は大体見通せてしまい、それ以降は「やっぱりそうなっていくのか」という予想の確認作業に終始するという感じでした。さすがに結末までは見通せず、最後の一ひねりの部分で「ええっ、そうなの?」というところはありましたが、全体的にみるともっさりした作品でしたね。

 伝説的な小説だそうですが、私にはちょっと、でした。


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■評価

(5段階評価の)3点。

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マイナス・ゼロ (集英社文庫)

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

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