感想：ゲーム評論「次世代RPGはこーなる!」(1995年)(多摩豊)

　「次世代RPGはこーなる!」(1995年)(多摩豊)の感想です。

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■データ（公式）
http://www.amazon.co.jp/dp/4073034561/
次世代RPGはこーなる! (電撃ゲーム文庫) [文庫]
多摩豊 (著)
文庫: 223ページ
出版社: メディアワークス (1995/08)
ISBN-10: 4073034561
ISBN-13: 978-4073034568
発売日： 1995/08

＞次々に発表される「ハイパフォーマンスゲームマシン」。そのポテンシャルはかなり高い。ソフトの開発はハードを追いかける形で進んでいる現在、次に出てくるRPGはいったいどのようなものになっていくのか、ゲームファンならずとも気になるところだ。『ゲームデザイナー教本』の名著をもつゲーム評論家にしてデザイナーである多摩豊が、RPGを築いてきた先人たちがどのような道を歩んできたのかをなぞりながら次のRPGの未来をさぐる、書き下ろしゲーム評論集。次代を担うゲームデザイナー、およびゲームファン必携の書。

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■データ（個人的補足）

　作者の多摩豊氏は、1980〜1990年代に、ボードSLG・TRPG・コンピューターゲームの制作に携わり、ゲームブック＆TRPG専門ゲーム誌「ウォーロック」誌の編集長を務められるなど、当時TRPG・コンピューターゲームをプレイしたなら一度は名前を耳にしただろう有名な方でした。1997年に35歳で亡くなられました。

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■内容

　タイトルの「RPG」とはコンピューターゲームのRPGの事です。1995年の視点で、TRPGの始まりとその発展を皮切りに、最初期のコンピューターRPG的なゲーム（ゾーク等のテキストアドベンチャー）、そこからの発展（アカラベス、ウルティマ、ウィザードリィ）、そして日本人に馴染み深いドラゴンクエストや天外魔境を経て、ハードの進化によって実現される未来のRPGを予測しています（「マルチメディアスタイルRPG」「リアルタイム3DRPG」「RPG＋アドベンチャー」「シネマティックRPG」「世界志向RPG」「人工生命RPG」など）

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■感想

　TRPGについて調べていくうちに行き当った本です。TRPG本かと思っていて購入したので、コンピューターRPG本だったのはちょっと思惑違いでしたが、内容は抜群の面白さ。

　TRPGについては、D&Dの誕生（元となったウォーゲーム・チェインメイルも含む）から始まり、第二世代のトラベラー・ルーンクエストなどを経て、第三世代は「キャラクターは固定・プロットも固まっていて終着点も明示的に定まっているRPG」と定義しています（その例はスターウォーズ RPGなど）。この言葉、今のFEAR系TRPGの大氾濫を見て書いたのかと思うくらいに、今風のTRPGの特徴を挙げていますねぇ。

　コンピューターRPGについては、ゾークなど各ゲームの製作者がどのような状況で何を目指してどういったゲームを作ったのか、を丁寧に説明しています。この部分は「歴史」を語っている部分だけに17年経っても資料的価値は失われていません、というかこういう歴史をこんなにみっちりこってり書いている文章には初めて触れました。

　未来のRPGの推測は「マルチメディア」「ポリゴン」という今は聞かなくなった単語が多用されているところに古さを感じるものの、「世界を作りこんでその中を自由に行動するRPG」とか結構実現していますね。

　という事で、「コンピューターゲームテーマ」の「17年前」の本にもかかわらず、現時点でも十分に面白く読めます。特にゾークとかウルティマとかウィザードリィとかあの頃のゲームの資料としては一級品では無いでしょうか。

☆おまけ

　TRPGの章の説明が実に味わい深いものが…

・TRPGとは遊び方を決めて生まれてきたものではない
・そして時代と共に遊び方は変化してきた
・どの遊び方が正しいとか優れているとかは無い

　etc。

　1990年代末期に「TRPGはゲームだから演技系の遊び方は間違っている！」とかの論争が起きて、というか今でもゲーム派と演技派が多分争っているのだと思いますが、多摩先生のこの言葉を噛み締めて欲しいものです。

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■評価

（5段階評価の）5点

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