感想:NHK番組「コズミックフロント☆NEXT」「反物質 宇宙のロストワールド」(2015年10月8日(木)放送)


 NHK番組「コズミックフロント☆NEXT」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてあります。ネタバレにご注意ください)

コズミックフロント☆NEXT | NHK宇宙チャンネル
http://www.nhk.or.jp/space/cfn/

 NHK BSプレミアムでの視聴です(放送:毎週木曜 22:00〜23:00)。

■今回の内容

10月8日の放送


反物質 宇宙のロストワールド


私たちはなぜ存在するのか?この究極の謎をひもとくカギが「反物質」だ。人体や地球、星などは「物質」でできているが、理論上は物質を鏡に映したような「反物質」も同じだけ存在するという。しかし、科学者たちの懸命な捜索にも関わらず、いまだに見つからない。反物質とは一体なにか?宇宙のどこにあるのか?2015年のノーベル物理学賞の受賞理由となった「ニュートリノ振動」を用いた地下実験にも密着。究極の謎に迫る。

ディラックによる反物質の予言

 イギリスの物理学者ポール・ディラックは、20世紀初頭の最新理論だった「相対性理論」と「量子力学」を一つに統合することに成功した偉大な学者だった。ディラックは計算の際に、数式から「マイナスのエネルギーを持つ物質」が出てくることに悩み、最終的に「反物質」という概念にたどり着いた。普通の物質は「プラス電荷の陽子」と「マイナス電荷の電子」という組み合わせだが、全く逆の「マイナス電荷の陽子」と「プラス電荷の電子」という物質が有りうるとしたのである。


 当初はただの理論だけの話だと考えられていたが、1933年に宇宙線の観測中に通常の粒子と真反対の電荷を持つ粒子が観測され、反物質の存在が確認された。ディラックはその年ノーベル賞を受賞し、講演の中で、宇宙には正物質と反物質が同じ量だけ存在すると予言した。


反物質の星を求めて

 天文学者たちは反物質の星を見つけようと躍起になった。宇宙線を観測し反物質を捕らえようとしたが成果は上がらなかった。


反物質の精製に成功

 1995年、スイスの科学者チームは反物質の水素「反水素」を人工的に作り出すことに成功した。何も無い空間にエネルギーをかけると、「対生成」(ついせいせい)という現象で正物質と反物質が同じ量生まれる。チームは、量子加速器を使い、ほんの数個だが反水素を生み出したのである。


●何故反物質の星は見つからないのか?

 旧ソ連の科学者サハロフは、反物質の星が見つからない理由を追求し、ある結論にたどり着いた。宇宙誕生のビッグバンの瞬間、対生成により物質と反物質が生み出されたが、一種の突然変異的な現象により、正物質の方がほんの少しだけ多く生成された。その数は「正物質 10億1個」「反物質 10億個」。10億個の正物質・反物質対消滅で消えてしまったが、1個だけ正物質は残った。そしてこの宇宙は残ったその僅かな正物質で作られているので、反物質の星は見つからないのだという。


●「ニュートリノ振動」実験

 日本では、2015年のノーベル物理学賞の受賞理由となった「ニュートリノ振動」の実験をやってます。


■感想

 この手の宇宙物理学の話はワクワクしますねぇ。そうか、反物質宇宙というのは存在しないのか……


 そして、NHK仕事早い! 10/6(火)にノーベル物理学賞の受賞のニュースが出たら、10/8(木)の夜にはもうそれをコズミックフロントの番組内容に組み込んでいるとは。あらかじめ取材していて素材があっただろうにせよ、このスピード感は正直に感嘆しますわ。