感想:アニメ「スカーレッドライダーゼクス」第12話(最終回)「LAST GIG」:男子が見ても面白いヒーロー物アニメで大満足

TVアニメ「 スカーレッドライダーゼクス 」オープニングテーマ「 青と紅のフォルツァート 」

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TVアニメ「スカーレッドライダーゼクス」公式サイト http://scared-rider-xechs.com/
放送 AT-X。全12話。

【※以下ネタバレ】

第12話(最終回) 『Track.12 LAST GIG』

 

あらすじ

 地球は「紅の世界」に飲み込まれ始めていた。ライダーたちはナイトフライオノートを蹴散らしタクトと対決するが、その間にも「紅の世界」と「青の世界」は接近を続け、アキラはこのままでは両方の世界が共に消滅することを悟る。アキラはアンカーを自分に撃ち込ませ、自分が死ぬことで状況を一番最初に巻き戻そうとするが、ヨウスケは砲撃を防ぎアキラに諦めるなと励ます。そしてアキラは選択を下した。

 場面は一転して、平和な琉球が映し出される。人間とナイトフライオノートは共存し、タクトも生き返っていた(ただしアキラは見当たらない)。そして最後、ヨウスケたちが画面のほうを向いてニッコリ笑うシーンで〆。


脚本:永川成基 絵コンテ:小森秀人/永居慎平 演出:小森秀人/永居慎平 総作画監督:羽田浩二/嘉手苅睦 作画監督:小森秀人/植田羊一/長坂寛治/鯉川慎平/宮西多麻子/森山悠二郎/出野喜則


感想

 評価は○。

 結局「ヒロインの決断が世界の行く末を決める」という、セカイ系というか、感動系ゲームのシナリオみたいというか、の内容でしたが、こういう展開は結構好きなので問題ナッシングだったよ(カズキ風に)。しかし死んだはずのタクトが敵になって帰ってきたいきさつは最後まで説明が無かったなぁ。

 第一話で、アキラが「死ねば良いのに」とつぶやいたのは、別にヨースケをDISっていたわけではなく、自分自身に言っていた、ということが解ってすっきりしました。

 まぁ、色々曖昧な点も有りましたが、まずまず手堅くまとまった最終回でしたね。


総括

 評価は○(まずまず面白かった)。

 原作はコンシューマーの女性向けゲームということで、視聴前は正直何の期待もしておらず、冷やかし半分で見ただけだったのですが、これが予想外の当たりでビックリ。しかも最後まで良い感じにテンションを保っていて、この夏のアニメの当たりの一つでした。アニメはホント何が「来る」か解らないものですよね。


 人間の世界「青の世界」は、異世界「紅(あか)の世界」から侵攻して来る生物「ナイトフライオノート」の脅威にさらされていた。ナイトフライオノートに対抗できるのは、「スカーレットライダー」と呼ばれる特殊な戦士たちのみ。それゆえライダーたちの部隊は過去5度全滅しながらも、新たに第六のライダーたちのの部隊「第六戦闘ユニット」が編成されていた。そして、部隊の指揮官兼教官として、17歳の少女「麻黄アキラ」が赴任してくる。そして彼女の着任を待っていたかのように、ナイトフライオノートの侵略が再開されるのだった……

 と、このように、美少女一人とそれを守る五人の美形戦士たちという構図なのですが、しかし乙女ゲーム系作品にありがちな甘い雰囲気は皆無で、男が視聴しても何の抵抗も無い作品というのが意外でした。というか、ライダーたちは気合を入れながら変身するし、特製のバイクで戦場を駆け抜けるし、巨大母艦が用意されていて発進シークエンスもあるし、敵の幹部怪人とバトルを繰り広げるし、と、ごく普通のヒーロー物と言っても良いくらいで、最初見たときは驚きましたね。しかもご丁寧に、戦隊物の定番展開同様、ストーリー中盤で六人目の戦士が新規加入するし(笑)

 また、第一話から、ライダーたちの軽妙なやり取りの他に、「侵略を誘発する可能性がある」とか「索敵を続行中」とか、どう考えても男のミリタリー心をくすぐる台詞がちりばめられてて、これは行けそうだなと予感させてくれました。

 その後も、敵との戦いで、ライダーたちが敵にダメージを与えた後、最後は指揮官のアキラが巨大砲を発射して敵にとどめを刺す、という流れが、カードキャプターさくらで最後にさくらがカードを封印するシーンに通じるものを感じたりして、そのあたりもなんだか微妙に好みに合致していて嬉しかったりしました。

 ところで、「大量に出現した怪物を、指揮官一人+数人の精鋭の戦士たちで迎え撃つ」という構図は、「サクラ大戦」の設定の男女をひっくり返しただけだなぁ、と思っていたのですが、あとから、このアニメの原作を作ったのは、サクラ大戦と同じ「レッド・エンタテインメント」だと気がついて、なるほど、と思った次第です。

 この手の作品で男子たちがカッコいいのはデフォルトなのですが、女性キャラも男から見て実に可愛い、というのが非常に良かったですね。ヒロインのアキラが万人に好かれるように可愛くて良い子なのはまあ普通ですが、アキラの同僚のハコがこれまた実に魅力的。一見、明るく楽しいキャラですが、実はスパイで冷酷な面もあり、さらに終盤自分が何者かを悟っておかしくなりかけるものの、最後はアキラを助けるために自分を犠牲にする、というキャラ設定がもうたまりませんでした。終盤、アキラを逃がすために一人で後に残って、岡崎監察官と対決して死ぬシーンは、この作品屈指の名場面でした。

 終盤になると、予想されたとおりに「隠された世界の真実」が明らかになり、アキラが人間ではなくて「黄金の女神」で二つの世界の運命を一人で背負い込んでいるとか、過去には世界の破滅を避けるため何度も死んではまた蘇っている、とか、とんでもない事を言い出したものの、この手の話は(感動系ゲームで)何度も見てきて大好物だったのでむしろ大歓迎というかで文句無しで受け入れられましたね。ラストは二つの世界を両方存続させてハッピーエンド、とか、甘いところに落ち着きましたが、まあそれはそれで悪くなかったから良しとしましょう。

 ということで、乙女系ゲームでありながら、男子向けヒーロー物の要素をふんだんに取り込んだ作風で、最後まで楽しめた美味しいアニメでした。


スカーレッドライダーゼクス(通常版)


スタッフ情報
【原作】レッド・エンタテインメントスカーレッドライダーゼクス
【キャラクター原案】pako
【監督】小森秀人
【助監督】森山悠二郎
【シリーズ構成】永川成基(ストーリーライダーズ)
【脚本】永川成基、熊谷純(シナリオ工房 月光)、福島直浩
【キャラクターデザイン・総作画監督】羽田浩二
【サブキャラクターデザイン・総作画監督】嘉手苅睦
【エフェクトコンセプト・エフェクト作画監督橋本敬史
メカニカルデザイン柳瀬敬之
【スカーレッドライダー・ナイトフライオノートデザイン】植田羊一
色彩設計】小針裕子
【音響監督】森下広人
【音楽】阿保剛、原田ナオ
【音楽制作】5pb. Records
【アニメーション制作】サテライト



音楽
【OP】駒江クリストフ・ヨウスケ(CV:鈴木達央)、霧澤タクト(CV:宮野真守)「青と紅のフォルツァート」
【ED】無月ヒジリ(CV:KENN)「old revelation」



キャスト
麻黄アキラ:清水彩香
駒江クリストフ・ヨウスケ:鈴木達央
霧澤タクト:宮野真守
津賀ユゥジ:近藤隆
鞍馬ヒロ:下野紘
錫木カズキ:高橋広樹
無月ヒジリ:KENN
フェルナンデス:竹本英史
レスポール浪川大輔
ディバイザー:小山力也
デュセンバーグ:高橋直純
リッケンバッカー岡本信彦
エピフォン:藤原祐
甘粕ソーイチロウ:遊佐浩二
石寺ハヤト:上別府仁資
佐倉サロメ・ハコ:明坂聡美
グランバッハ:安元洋貴