感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン6」第14話「月曜の朝」


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■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン6 http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
放送 Dlife。全22話。

【※以下ネタバレ】


※シーズン6の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン6」あらすじ・感想まとめ

第14話 月曜の朝 MONDAY

あらすじ

http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s6/
EP14 月曜の朝
ある朝、モルダーはウォーターベッドの水漏れが原因で会議に出られないまま、大家への弁償代を入金しに銀行へ行く。そこで、バーナードという男による強盗事件が発生する。

 お題は「時間ループ」。


◆冒頭

 冒頭。銀行に強盗が立てこもり、人質の中にモルダーとスカリーがいるが、モルダーは撃たれて虫の息である。そこに警官隊が突入してくるが、犯人は体に爆弾をまいており、それを爆発させて銀行は吹き飛ぶ。


◆1周目

 月曜の朝。モルダーの寝ていたウォーターベッドが破けて部屋は水浸しになり、被害は階下まで及んでいた。さらに目覚まし時計が水で故障しており、モルダーは会議に遅刻してしまう。モルダーはアパートの大家に修理代金を振り込むため、銀行に行く。一方、バーナードという男が恋人(多分)のパムを車に残して銀行に入り、銃を振り回して金を要求する。そこにモルダーを探しにスカリーがやって来る。結局モルダーは撃たれ、警官隊の突入と共に銀行は爆発する。


◆2周目

 月曜の朝。モルダーはアパートの修理代金を払うため銀行に行こうとするが、スカリーが代わりを申し出たため、小切手を渡す。しかし間違えて控えを渡した事に気がついて後を追うと、知らない女性(パム)が帰れという。そこに銃声が聞こえたので銀行に飛び込むと、スカリーと強盗が対峙しており、バーナードは通報された事を知り爆弾のスイッチをいれ、結局銀行は爆発する。


◆3周目

 月曜の朝。スカリーはFBI本部で見知らぬ女性(パム)から、モルダーが銀行に行けば二人とも死ぬので止めろと警告される。スカリーはモルダーから銀行に行くと聞いて、その話をしたので、モルダーはATMで手続きする事にした。ところがATMは故障していたので銀行に行こうとするが、そこにパムが現われ、過去に何度も同じ月曜が繰り返されていて、今までモルダーと同じ内容を何度も話したといわれる。モルダーは半信半疑ながら引き返して会議に参加するが、スカリーがモルダーを探しに銀行に行ったと聞き、後を追う。すると、スカリーと強盗が対峙しており、モルダーはバーナードを撃つが、倒れたバーナードが爆弾のスイッチをいれ、結局銀行は爆発する


◆4周目

 月曜の朝。モルダーは銀行に行くと、ある男が気になり、爆弾という言葉が頭に浮かぶ。そしてスカリーに電話して銀行の前にいるパムを連れて来てもらう一方、銃を出す前のバーナードにこのまま出て行けば見逃すという。バーナードは逆上して銃を振り回すが、弾がパムに当たり彼女は死ぬ。バーナードはそのまま強盗未遂で逮捕される。


 そして翌日火曜日。モルダーの家にスカリーから連絡が入り、モルダーがすぐ行くと答える。


監督 キム・マナーズ
脚本 ヴィンス・ギリガン&ジョン・シバン

感想

 評価は○。


 最近(2016年時点)では、ラノベ・ゲーム・漫画など、フィクションの一ジャンルとしてすっかり定着した「時間ループ」物エピソード。シーズン4・第19話「凍結」と同様、超常現象というよりSF系の話ではあるが、こういう話も無理なくシリーズに組み込めてしまうのがX-ファイルの柔軟さだといえる。


 このエピソードでは、時間ループの事実に気がついているのは、ただ一人ゲストキャラのパムだけで、その他にモルダーが多少過去のループの事をデジャブのようにぼんやり記憶しているくらい。パムの台詞によれば、ループを抜けるため、パーナードの行動を妨害したり、モルダーたちを銀行に行かせない様にしたり、様々な行動を試したという。それに比べて主役のモルダーは、最後に過去(?)のぼんやりした記憶を元に、多少アクションを起こしたくらいである。最後の悲劇的な死も含めて、今回の話の主役はパムだったと言えよう。


 時間ループは実に様々なバリエーションが開発されており、思いつくだけでも、

・「タイムトリッパーが、悲劇的な歴史(恋人の死、他)を回避するため、何度も時間改変を試みる」型
・「主人公が死ぬと、生存中の特定の時点まで舞い戻る」型
・「何故か特定の期間が何度も繰り返される」型

 などがあるが、今回は「期間繰り返し」型で、とある月曜日が果てしなく延々と繰り返され、たった一人以外はそれに気がついていない、というタイプ。この場合は、ループを引き起こす何らかの原因が有るはずだが、劇中ではそれは解明されずに終わった。すっきりしないという感も有るが、この方が不条理感が強調されて印象が強い、と言えるかもしれない。

 想像を逞しくすれば、パムがバーナードの死を受け入れられず、彼の死をなんとか回避しようとして同じ日を繰り返させていた、という可能性も考えられる。パムはループを脱するにはモルダーたちを銀行に近寄らせなければ良い、と考えていたが、ループから脱出するためのキーとなるイベントはパムの死だった事を思うと、それほど見当外れとも思えない。


 ところで、モルダーの部屋を水浸しにしたウォーターベッドだが、以前(第5話「ドリームランド Part2」)にモルダーの肉体が別人モリス・フレッチャーの精神に乗っ取られた際に、モリスが買い込んできたもので、時空の歪みがうまく元に戻らず、そのままモルダーの部屋に残っていたものである。