感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第54話(シーズン3 第1話)「プリンセスの帰還」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第54話 プリンセスの帰還 The Heir Apparent (シーズン3 第1話)

 

あらすじ

王が逝去したポビア国に、幼少時に行方不明となっていた王女が帰ってきた!王女に扮したシナモン(バーバラ・ベイン)は、将軍のクーデター計画を阻止することができるか!?

※DVD版のタイトルは「甦ったプリンセス」。


【今回の指令】
 ポビア国(Povia)では、先日国王が世継ぎを残さぬまま世を去ったため、大司教ジェルバスが将来的に王位を継承する事になる摂政を指名することになった。ところがカゼッテ将軍(General Envir Qaisette)という男は、大司教に対し、自らを摂政に指名しなければクーデターを起こして強引に王位を奪い取ると脅迫している。このままではポビアは独裁国家に変貌してしまう。IMFはカゼッテの野望を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 ポビア国


【作戦】
 IMFはまず、ポビア国内に、その昔に行方不明になった先々王の娘セリーヌ王女が戻ってくる、という噂を流す。そしてフェルプスは、わざとカゼッテたちに怪しまれる行動を取って捕まり、自分たちが偽のセリーヌ王女(シナモン)を連れてきて一儲けしようとしている詐欺師であると白状する。フェルプスは、この偽セリーヌは記憶喪失の素性不明の女性にそれらしい演技を付けただけ、と説明する。

 カゼッテはフェルプスから取り上げた資料から、本物のセリーヌはたとえ生きていても、骨折のため右腕が不自由である、という事実をつかむ。そしてそのことを証言できる老医師(ローラン)を手元に置いておく。

 カゼッテはフェルプスに対し、このまま偽セリーヌを本物だと言って大司教の前に連れて行くようにと取引を持ちかける。カゼッテは、大司教が偽セリーヌを本物と認めた後、偽物であるという証拠をぶちまけることで、大司教の権威を失墜させようと企んでいた。

 大司教が開いた査問会で、シナモンは次々と昔の知り合いについて語り、参加者たちは彼女こそ本物のセリーヌだと認める。カゼッテは、本物のセリーヌしか開けることにできない「パズルボックス」という細工箱を持ち出して開けるように命じるが、箱はあらかじめバーニーたちが開け方を調べて点字形式で印をつけておいたため、シナモンはこれも開けてしまう。

 カゼッテは動揺し、このセリーヌ王女は真っ赤な偽物だと叫ぶが、証人として待機させていた老医師(ローラン)はこっそり変装を解いて素顔になってしまっていたため見つけられない。さらにシナモンはパズルボックスの中から、先々王の日記だという本を取り出し、その中には王の側近だったカゼッテ少佐が反乱を起こした、と記されていた。カゼッテは半狂乱になり、自分自身が王宮に火をつけたのであの大火からは誰も逃げられたはずがない、と口走り、近衛兵たちに取り押さえられる。

 騒ぎの後、大司教はシナモンが偽物であることを察しつつ、即位してくれるように頼む。しかしシナモンは皆の前で、老いて健康でもなく目を病んでいる自分は王にはふさわしくないと断り、大司教がもっとふさわしい人物を王にすることを望んでいる、と言う。そして国民たちに見守られながら、車で立ち去っていくのだった。


監督: アレクサンダー・シンガー
脚本: ロバート・E・トンプソン


感想

 評価は◎。

 シーズン3の幕開けとなるエピソード。過去の2シーズンも一話目には力の入ったエピソードを持ってきていたが、今回もまた大傑作だった。


 今回はシナモンが事実上の主役で、老いたセリーヌ王女役を担当していたが、いつもの華やかな姿とは違い、白髪のかつらと老けメイクでの老女役を見事に演じていた。

 カゼッテ将軍が、査問会で大司教をはめてやろうとフェルプスたちを利用しようとする段階で、もう後から因果応報のしっぺ返しを食らうのは目に見えていたのだが、クライマックスはその時の予想以上に盛り上がった。パズルボックスを開けてしまえば課題はクリア、という流れかと思っていたのだが、その後に突然先々王の日記帳なるものが出てきて、カゼッテが数十年前の反乱騒ぎの主犯だと暴かれるシーンは実に痛快だった。

 この反乱云々は劇中でもはっきり説明されておらず、セリーヌが行方不明になるきっかけとなった出来事としか語られていなかったため、視聴者は最後に意外な真相に驚かされることになったわけである。まあ日記帳自体はIMFのでっち上げた偽物と思われるが、カゼッテが反乱に関与していたこと自体は本当だったようなので、多分アメリカの情報機関は当時から真相を知っていたものの、ここぞというときに利用しようと対外的には伏せていたのであろう。

 さて、ちょっと気になるのは、問題の反乱はいつ発生したかという事である。当時少佐だったカゼッテが国内の相当の権力者に上り詰めていることから、まあ最大で30年前くらいと見当をつけてみたが、するとその当時少女だったらしいシナモンは今45~50歳くらいということになる。とすると想定される年齢よりかなり老けている気もするが、反乱で王宮から逃げて今までどこかで暮らしていたとなると、苦労の連続だったはずなので、実際よりも老けこんでしまってあの外見になっている、という意外と深い設定だったのかもしれない。

 クライマックスの査問会では、スパイ大作戦のテーマ曲のパイプオルガンバージョンが演奏され、その演奏に合わせてシナモン演じる王女が車で立ち去っていく。実に荘厳な雰囲気のシーンで、まさかスパイ大作戦のオチで感動することになるとは思いもしなかった。

 ちなみに原題「The Heir Apparent」とは「推定相続人」の意味。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園的な場所の道端の公衆電話に近寄り、故障中の札を外してからコインを投入し、さらに電話機の下の蓋を鍵を差し込んで開くと、中には封筒と超小型のオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して(電話をかけているふりをしながら)指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。ポビアの大司教ジェルヴァスは、先頃世継ぎを残さずに王がこの世を去ったため、やがて王位を継ぐべき摂政を五日後に指名することになっている。ところでこの男カゼッテ将軍は、もし自分を摂政に指名しなければクーデターをもって王位を手中に収めると言明、これが実現せんか、自由立憲君主国ポビアは独裁国に変貌する。

 そこで君の使命だが、このカゼッテ将軍の野望を阻止することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ