感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第148話(シーズン6 第21話)「カジノ規制法」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第148話 カジノ規制法 Casino (シーズン6 第21話)

 

あらすじ

莫大な利益を上げるカジノを取り締まろうと、捜査当局がギャンブル規制法を通過させようとしている。法案成立に必要な裏付けを入手するため、チームは組織内の勢力争いに目を付け、一味を破滅に追い込む。

※DVD版のタイトルは「シンジケートからきた男」。
 
 
【今回の指令】
 オリン・ケラー(Orin Kerr)は、シンジケートの事業の一つとして、アメリカ西部で屈指の賭博場を経営している。州議会で地方ギャンブル規制法案が通過すれば賭博場の浄化が可能であるが、潜入捜査員シンプソン(Mel Simpson)は証拠を入手しようとして殺害された。IMFは賭博場のデータを入手し、法案通過を確実なものにしなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内・西部の州


【作戦】
 冒頭。潜入捜査員のシンプソンがシンジケートのメンバーのキャメロンに捕まり、ケラーはシンプソンを射殺する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 シンジケートのメンバーでカジノに派遣されているキャメロンは、ケラーのオフィスに盗聴器を仕掛け、部下に会話をチェックさせている。IMFはそれを逆手に取り、盗聴器のケーブルに細工をして、盗聴者に自分たちに都合の良い会話を聞かせられるようにする。

 バーニーはシンジケートとは別組織「カリビアン一家」の幹部としてケラーを訪問し、適当な会話をするが、IMFは盗聴者にはケラーがバーニーに大金を渡すという約束をしている偽の会話内容を聞かせる。

 ケイシーは客としてカジノで遊んで大損をしたあと、ケラーに清算を迫られるが、友人のフェルプスを呼んで代わりに払ってもらう。ケラーはIMFが用意した偽の新聞記事を読んで、フェルプスが強盗で12年間服役し、先日仮釈放されたばかりの男だと信じ込む。IMFはまた盗聴者に、ケラーとフェルプスが何かの強盗計画を企んでいるような偽の会話を聞かせる。それを聞いたキャメロンは、ケラーがバーニーやフェルプスと組んでシンジケートを裏切ろうとしていると思い込む。

 ケラーは、フェルプスが盗んだまま未発見の70万ドルを横取りしようと、フェルプスに金を貸してギャンブルを勧めたあと、大負けさせてから負け分を払う様に迫る。フェルプスは2時間で払うと言って、人の住んでいない無人の街に向かい、ケラーはそれを尾行する。

 一方バーニーはカジノの金庫室の床に穴を開けて紙幣を全て吸い込んで盗んでから逃げ出し、一足先に無人の街にたどり着き金を隠す。そこにフェルプスが現れ、その金をいかにも自分が12年前に盗んだ金の様に扱っているところにケラーが現れ金を奪おうとする。

 キャメロンはカジノの金庫が空であることを発見し、ケラーを追って現れ、ケラーがシンジケートを裏切ってカジノの金を盗もうとしたと決めつける。キャメロンはこれはフェルプスが12年前に盗んだ金だと否定するが、紙幣の発行年が数年前の新しい紙幣ばかりなので驚く。

 そこにバーニーがカリビアン一家の幹部役で現れ、ケラーを連れ出すが、その前に(IMFが連れてきた)州検事が現れシンジケートとの関係を証言するように勧める。観念したケラーは検事に協力を申し出て、最後にIMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: レザ・S・バディイ
脚本: ウォルター・ブロウ&ハワード・バーク


感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 カジノを舞台としたエピソードで、過去に放映されたエピソード同様に痛快なイカサマなどが展開されるかと思いきや、シナリオがイマイチで完全に期待外れだった。

 まず今回は指令のテープの内容があいまいで、「悪のデータを入手せよ」と言われても、視聴者としてはIMFがどのようなデータを入手すれば任務成功なのか見当がつかなかった。そのため、IMFが最後にケラーを検事に引き渡し、シンジケートについての証言を引き出せることになっても、「それで任務は成功なのか?」と騙されたような気持になってしまって、何時もの様な任務達成時の爽快さが感じられなかった。

 視聴後も納得がいかなかったため、改めて英語のサイトでこのエピソードを調べてみたところ、任務の内容は正確には「ケラーの賭博場がシンジケートと関係している証拠を入手せよ」というものだと判明した。なるほど、これなら当事者のケラーが検事に対して証言してくれれば大成功なわけで、IMFはすべきことはきっちり達成していたという事になる。こうなると、日本語翻訳スタッフには、もう少し丁寧に翻訳をして欲しかったというところではある。

 また今回の話は、スタート時点で背景設定の説明が上手く出来ていないのも問題である。フェルプスは、最初の打ち合わせの際、ケラーが「カリビアン一家」なる組織とも接近しようとしている、と説明するが、このカリビアン一家が何者なのかは最後まで明かされない。そのため、「ケラーは何故カリビアン一家と接近しようとしたのか?」や「カリビアン一家とシンジケートはどういう関係に有るのか?」も謎のままで、視聴者は最後まで腑に落ちない気分のまま視聴しなければならなかった。

 まあ、このように話の骨格部分に問題はありつつも、IMFの作戦における騙しのテクニックの描写はなかなか面白く、ケラーの部屋が盗聴されていることを逆手に取り、実際の会話とは全く違う内容を盗聴者に聞かせてみたり、金の入った小型金庫に偽装したリモコンメカを金庫室に送り込み、バーニーが遠隔で破壊活動をしてみたり、という一連のシーンはほどほどには楽しめた。

 もっとも、バーニーは金庫室の床に穴をあけてパイプで札束を吸いだしたので、リモコンメカを送り込んで何らかの破壊活動をしたのは全く意味が無かったようにも見えるのだが、あれは一体なんだったのだろうか……

 クライマックスで、IMFがカジノの金庫から盗み出した金を、12年前の強盗の時から隠していた金であるように偽装しケラーを引っ掛けるシーンも、それなりには楽しかった。ということで、もう少し話の内容を整理して、カリビアン一家云々の辺りを綿密に設定していれば、より楽しめるエピソードになったと思われ、惜しい回だったという感が強かった。

 今回のゲストのケラーを演じたのはジャック・キャシディ(Jack Cassidy)で、日本人には「刑事コロンボ」の犯人役で一番知られている俳優だと思われる。ちなみに刑事コロンボでは「構想の死角」「第三の終章」「魔術師の幻想」の三回も犯人を演じている。

 今回のサブタイトルの原題「Casino」は、もちろん賭博場のカジノのことである。完全に直球なタイトルである。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプス灯台の屋上まで登り、床に置いてある金属製の箱の南京錠を外して蓋を開き、中から大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。その後、フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。(※第131話(シーズン6の第4話)「殺し屋製造工場」のシーンの使いまわし)

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。その男オリン・ケラーは、シンジケートの事業の一環として、西部でも屈指の賭博場を経営し、年間何百万ドルという金を吸い上げている。地方ギャンブル規制法案が州議会を通過すれば、賭博場の浄化が可能であるが、賭博場に潜入したシンプソンは成功寸前に殺されてしまった。

 そこで君の使命だが、その悪のデータを入手し、法案の通過を助けることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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