【科学】感想:科学番組「コズミックフロント☆NEXT」『月の裏にサンタクロースがいた!? アポロ8号 決死のミッション』

Apollo 8: Christmas at the Moon [DVD] [Import]

コズミックフロント☆NEXT http://www4.nhk.or.jp/cosmic/
放送 NHK BSプレミアム(毎週木曜 22:00~23:00)。

【※以下ネタバレ】
 

月の裏にサンタクロースがいた!? アポロ8号 決死のミッション (2018年12月27日(木)放送)

 

今回の内容

www4.nhk.or.jp

http://www4.nhk.or.jp/cosmic/x/2018-12-27/10/27804/2120236/
[BSプレミアム]
2018年12月27日(木) 午後10:00~午後11:00(60分)
コズミック フロント☆NEXT「アポロ8号 決死のミッション」


 今から50年前、人類史上初めて月を周回したアポロ8号。成功の確率はわずかに3分の1。多くの困難を乗り越え、歴史的偉業を成し遂げた挑戦者たちのドラマに迫る。


 今から50年前、人類史上初めて月を周回したアポロ8号。歴史的偉業の裏には、想像を超える困難があった。タイムリミットが迫る中、技術者たちが挑んだ強力エンジンの開発、コンピューターの小型化。そして、月を目指す飛行士たちを待ち受けていた数々の危機。飛行士が発した謎の言葉、「月の裏側でサンタクロースに会ったよ。」の意味とは?成功の確率はわずか3分の1。アポロ8号の知られざるミッションの全貌を解き明かす。


【語り】萩原聖人中條誠子,【声】玄田哲章園部啓一植竹香菜,佐々木啓夫,金光宣明

 
●アポロ8号

 今から50年前の1968年12月、アポロ8号は人類史上初めて月まで飛行し、その周囲を周回した宇宙船となった。しかし、そこに至るまでには数々の困難が存在した。



●月への遠い道のり

 1950年代、アメリカとソ連は世界の覇権を争う冷戦の真っただ中にあったが、ソ連は1957年に人類初の人工衛星スプートニク1号を成功させ、さらに1961年には人類を初めて宇宙に送り出すなど、科学技術面でアメリカの先を行っていた。1961年にケネディ大統領は、1960年代中に人間を月に送ると宣言する。アメリカの威信をかけたアポロ計画の始まりだった。

 しかし、1967年1月、アポロ1号で訓練中の三人の宇宙飛行士が、発生した火災により全員死亡するという悲劇が発生した。直ちに事故原因の調査が始まり、時間が無い中作られた宇宙船には多数の問題が有ることが明らかになった。

 電線の配線はコードが剥きだしでそこから火花が散って発火した。船内は可燃物だらけで、さらに船内に満たされていたのは燃えやすい純粋酸素だった。また出入り口のハッチは内側に開くようになっており、内部から爆発した際、内側から圧力がかかったため、飛行士たちは扉を開くこともできなかった。

 NASAの計画は後退を余儀なくされ、以後の宇宙船は無人で打ち上げられた。事故から一年半後の1968年夏になって、ようやくアポロ8号を有人で打ち上げることが決まり、地球周回飛行を行うことになった。



●突然の計画変更

 ところがこの計画は突然変更を余儀なくされる。CIAはソ連が月に人類を送り込む計画を進めていることを察知したというのである。NASAは急遽計画を変更し、アポロ8号は月を周回して帰ってくる事になった。

 しかしこの変更には無数の問題が有った。まず飛行中のロケットの点火は正確に行わなければならないため、コンピューターがコントロールすることになったが、当時の真空管を使用するコンピューターはとても宇宙船には収まらない。しかし技術者たちは、当時の最新の技術であるIC(集積回路)を使ってコンピューターを30センチ四方のスペースに収めることに成功した。

 しかし軍隊で戦闘機のパイロットだった宇宙飛行士は、コンピューターに宇宙船の制御を任せることに猛反発した。そのため人間がコンピューターに指令を与えて宇宙船を操作する、というシステムが考えられたが、飛行士たちにコンピューターの複雑な操作を教える時間が無かった。そのため、「ディスプレイキーボード」(ディスキー)という操作システムが考案された。それは実行したいことを特定の意味を持つ数字を入力することで実現するものだった。例えば「点火する(22)」+「ロケット(35)」という具合である。

 宇宙空間で、宇宙船の位置を知る方法も問題だった。そのため「慣性計測ユニット」という、方向を測る装置と加速度計の組み合わせによって現在位置を確認する装置が開発された。また「宇宙六分儀」という、地球と特定の星を元に位置を把握する機械も作られ、慣性計測ユニットのデータの誤差を修正するために使われた。

 ロケットも問題だった。サターンVロケットに搭載されるF1エンジンは何度テストしても大爆発を起こして実用化の目途が立たなかった。しかし第二次大戦でドイツが使用したV2ロケットを参考に、燃料を供給するインジェクターを工夫することで問題を解決した。



●月へ向けて

 こうして準備が整い、アポロ8号は1968年12月21日に月に向かって飛び立った。搭乗していたのは、フランク・ボーマン(船長)、ジム・ラベル、ビル・アンダースの三人。打ち上げ、地球周回は無事に成功し、そのあとアポロ8号は人類初の月への飛行を開始した。

 そして宇宙船は12月24日に月に到着したものの、月周回軌道に乗るためには、逆噴射を行わなければならず、失敗すればそのまま宇宙の彼方に飛び去ってしまうか、月に墜落してしまう。しかし点火のタイミングは宇宙船が丁度月の裏側にいる時点で、地上からはコントロールできない。しかしこの最初の難関は見事にクリアする。宇宙船は無事月周回軌道に乗り、乗員三人は人類史上初めて月の裏側を見た人間となった。



●月からの中継

 アポロ8号の月周回の際、飛行士たちは地球に向けてテレビ中継をすることになっていた。そしてその日はちょうどクリスマスイブだったため、上からは「クリスマスに相応しい事」をするようにと言われていたが、何をするかは自分たちが考えなければならなかった。そして飛行士たちが選んだのは、旧約聖書の第一章「創世記」の朗読だった。またこの時、あまりにも有名な「地球の出」の写真が撮影された。



●月からの離脱

 そして12月25日、地球への帰還のためロケットの点火が行われることになった。しかしエンジンは太陽が当たる際には摂氏250度の高温となり、逆に影ではマイナス250度に冷やされる、という過酷な環境に置かれていたため、正常に動作するのか誰にも保証できなかった。

 今回も点火は宇宙船が月の裏側にいるときに行われ、地上との交信が可能になると、飛行士たちは点火の成功を「月の裏にサンタクロースがいた」と表現したという。点火できたのはサンタの贈り物、という意味だった。



●突然のトラブル

 地球への帰途の途中で予想外のトラブルが発生した。ジム・ラベルはディスキーを操作して宇宙船のコースの微調整を行っていたが、操作ミスで「01」と入力するつもりが「P01」と打ち込んでしまう。これは宇宙船を待機状態にするコマンドで、つまり位置情報データが全て初期化されてしまったのである。宇宙船は現在どこにいるか全く分からなくなってしまったのだった。

 しかし9時間後に地上に保存されていた位置データを宇宙船に送信することで、なんとか危機を切り抜けた。



●地球への帰還

 1968年12月27日、アポロ8号は無事地球に帰還した。その7か月後、1969年7月20日アポロ11号は月着陸に成功し、ケネディ大統領の宣言は実現したのである。


感想

 アポロ計画と言うと、11号があまりにも有名で、その他はほとんど知られていませんが、丁度50年前に初めて月まで行って帰って来た8号のお話です。漠然とそういうミッションが有ったことは知っていましたが、具体的な号数とかは初めて知りました。後、超有名な「地球の出」写真はこの8号から撮影されたんですねぇ。物知りになりましたよ。
 
 
To the Moon!: The True Story of the American Heroes on the Apollo 8 Spaceship
 
コズミックフロント
NHK-DVD「コズミック フロント」DVD-BOX(DVD5枚+特典CD付)