感想:アニメ「エガオノダイカ」第12話(最終回)「笑顔の代価」:意外に満足度が高かった予想外の好作品

エガオノカナタ

TVアニメ「エガオノダイカ」公式サイト http://egaonodaika.com/
放送 AT-X

【※以下ネタバレ】
 

第12話(最終回) 笑顔の代価

 

あらすじ

 ビュルガー分隊は敵を取り逃がすが、敵の車両の中にユウキ王女がいたことを知り驚く。参謀長のアイネ・フリートはその知らせを受け取り、ユウキたちが旧ベルデ皇国の実験施設を目指していると正しく推測し、阻止を命じる。一方で対峙しているソレイユ軍との決戦を指示する。

 ユウキたちは犠牲を出しつつも、ついに実験施設にたどり着き、機器の起動の準備を始める。そこにステラたちが突撃してきたが、既に機器の起動準備は完了していた。レイラは目の前の帝国兵士が12年前に死んだと思っていた娘だと気が付くが、直後崩壊してきた天井からステラを救うため犠牲になり、ユウキを助けけて欲しいと言い残してこと切れた。

 ステラはユウキの元にたどり着き、ユウキが惑星中の全クラルスを停止させようとしていることを知る。ステラはクラルスが使えなくなってもおそらく人は戦争を止めようとはしないし、クラルス停止で戦争とは無関係の人々の日常生活も困難になると非難する。しかし、それでも戦争を止めたいというユウキの思いに共感し、二人で装置の起動ボタンを押す。

 そして惑星中のクラルスは完全に停止した。兵器が動力を喪失し戦闘が行えなくなったため、帝国と王国は停戦した。

 季節が廻り夏が来た。人々はクラルスを失った後、クラルス以前の動力を使うことでなんとか生活していた。。最後にユウキがステラと再会し、二人で咲き誇るヒマワリを見ているシーンで〆。


脚本 猪爪慎一
絵コンテ 稲垣隆行、武内宣之
演出 田中洋聡
作画監督 徳田夢之介、大野勉、丸山修二、下川寿士


感想

 最終回まで顔を合わせる事すらなかったダブルヒロインが、ようやく邂逅。二人で一緒にクラルス停止ボタンを押すという流れは、結構納得の展開でありました。まあ、ボタンが『二人で押せるようにめちゃくちゃ大きい』ことにはちょっと笑いましたが……

 ラスト。それまで人々が生活の全てを依存していたクラルスを喪失したのに、結構みんな元気に暮らしているとか、かなり都合が良すぎるという気がしましたが、まあリアル志向のSFではなく、半分おとぎ話のような物だと思えば良いかなぁと前向きに解釈しました。

 最初の頃のエピソードで王宮でヒマワリが育たないとしつこく繰り返していたのは、結局別の星だから環境が違うという事ではなく、クラルスのせいだったと。で、クラルスを止めて環境問題が解決してヒマワリが咲いてめでたしめでたし。うん、これもかなりご都合主義的なオチだと思いますが、まあリアル志向のSFではなく……(以下略)

 まあ、全12話で上手く話をまとめていたし、ほどほどには良かったんじゃないでしょうか。


総括

 評価は○(まずまず面白かった)。

 「エガオノダイカ」という怪しげなタイトルと、タツノコ製作という事で、全く期待もしていなかった作品でしたが、≪思っていたよりは≫面白くて、最終的にはそれなりに楽しませてもらいました。


 舞台はその昔人類が植民したとある惑星。大国の一つソレイユ王国では、王女ユウキの12歳の誕生日が盛大に祝われていた。ユウキは12年前事故で両親である国王夫妻を亡くしていたが、幼馴染みで兄妹のように育った騎士団員ヨシュアや、教師役であるレイラ、近衛騎士団総長ハロルドたちに囲まれ、立派な統治者を目指していた。だがユウキには伏せられていたが、国境地帯では隣国であるグランディーガ帝国との武力衝突が勃発していた……


 とりあえず「巨大ロボット物」ジャンルらしいので視聴してみたら、正直ロボットの活躍は殆ど描かれませんでしたが、それなりには面白かったです。


 ユウキの周りの人間がとにかく善人だけで構成されていたり、世間知らずの王女がちょっと勉強しただけで優秀な司令官になったり、とかいうところは大甘で、色々と思うところも有りましたが、


・ユウキの幼馴染みのヨシュアが二話でいきなり戦死・退場
・レイラさんにめっちゃ暗い過去が有った
・クラルスがナノマシンを消耗させて環境を破壊しているという驚き設定
・主要キャラが割ときっちり死亡
・実はステラはレイラさんの娘でした

 などなど、それなりに頑張っているところもあり、結構好感が持てました。


 ダブルヒロインのユウキとステラの話をきっちり分け、ユウキの登場回ではステラは全く出てこず、逆にステラ回ではユウキたちは描かれない、という、マルチサイト構成にしていたのはちょっと目新しかったですね。それ自体は特に斬新な発想という訳でもありませんでしたが、二人のエピソードが完全に分けられていたために、最終回での二人の邂逅が結構印象に残るものとなりました。

 ユウキがクラルスを止めれば戦争は終わると主張するのに対し、ちゃんとステラの口から「クラルス無しでも戦争は可能」「一般人の生活を破壊する」という事を言わせていたのは良心的。ユウキが、惑星中の人間が迷惑をこうむることを正義として押し通したままだったなら、納得できないラストだったでしょう。


 全体的な雰囲気としては、21世紀作品とはとても思えなくて、大昔、1990年代前半頃のコンピューターゲームで有ったかもしれないような雰囲気・お話の作品でした。でもまあ最終的には平和なところに落ち着いたし、思ったよりも悪くない作品でしたね。
 
 

エガオノダイカ


地球より遥かかなたの星にある、笑顔に溢れた王国。
王女のユウキは十二歳、そろそろ多感なお年頃。
毎日泣き、笑い、時にはときめいたり…?しながら、王宮で楽しく暮らしている。
日々を彩るのは、忠実な家臣たち。
教育役のレイラ、政治を補佐するイザナ、騎士団総長ハロルド、
そして……幼馴染の側近、ヨシュア
「ユウキ!気合と根性さえあれば、何だってできる!」
「……もうっ。またそれ~!?ヨシュア、もっと貴族らしくしてっ!」


ステラは十七歳、有能かつクールな軍人。けれど微笑みはいつも絶やさない……
笑顔は生きるためには、欠かせないから。


これは、遠い星に生まれた、二人の少女の物語。



制作会社
タツノコプロ


スタッフ情報
【原作】タツノコプロ
【原案】湯浅光、のぶし(NOB-C)
【キャラクター原案】のぶし(NOB-C)
【監督】鈴木利正
【シリーズ構成】猪爪慎一
【キャラクターデザイン】中村直人
【ソレイユ王国メカニックデザイン】渭原敏明
【グランディーガ帝国メカニックデザイン柳瀬敬之
【音響監督】たなかかずや
【音楽】伊藤翼



音楽
【OP】Chiho feat. majiko「エガオノカナタ」
【ED】キミノオルフェ「この世界に花束を」


キャスト
ユウキ・ソレイユ:花守ゆみり
ステラ・シャイニング:早見沙織
ヨシュアイングラム松岡禎丞
レイラ・エトワール:佐藤利奈
ハロルド・ミラー:神奈延年
イザナ・ラングフォード:置鮎龍太郎
ユニ・ヴァンキッシュ小市眞琴
ルネ・ヴァンキッシュ榎木淳弥
ゲイル・オーウェンズ:松山鷹志
リリィ・エアハート:長久友紀
ヒューイ・マルサス増田俊樹
ピアース・ソーン:石谷春貴
ブレイク・ボイヤー:白石稔

 
この世界に花束を