【SF小説】感想「瓦礫の騎兵」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 553巻)(2017年9月21日発売)


瓦礫の騎兵 (宇宙英雄ローダン・シリーズ553)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150121419
瓦礫の騎兵 (宇宙英雄ローダン・シリーズ553) (日本語) 文庫 2017/9/21
H・G・エーヴェルス (著), クルト・マール (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
文庫: 272ページ
出版社: 早川書房 (2017/9/21)
発売日: 2017/9/21

【※以下ネタバレ】
 

銀河系船団は、無限アルマダ艦隊に包囲された! ローダンらは宇宙の瓦礫を操り、封じこめ艦隊を突破する作戦を決行することに!


スタックと呼ばれる成就の地をもとめて《バジス》を去ったエリック・ウェイデンバーンとその支持者たちだったが、途中で無限アルマダのロボットに捕まり、アルマダ中枢へ向かう輸送機《ゴロ=オ=ソク》に拉致されてしまった。絶望に駆られた男女は、拉致の責任はエリックにあるといって非難し、かれを葬り去ろうとする。シグリド人艦隊の司令官ジェルシゲール・アンが《ゴロ=オ=ソク》をめざしたのはそのときだった!

 

あらすじ

◇1105話 印章船(H・G・エーヴェルス)(訳者:渡辺 広佐)

 シグリド人に捕まった十万人のウェイデンバーン主義者たちは、事態の責任はウェイデンバーンに有ると言って非難し、彼を殺そうとする。しかしアルマダ中枢はウェイデンバーンの命を助け、さらに彼にアルマディストの身分証のアルマダ炎を授けるため『アルマダ印章船』へと連れていった。しかし、その目的は、ウェイデンバーンがアルマダ炎を受領可能か調べ、可能なら銀河系船団を丸ごと無限アルマダに統合する、というものだった。(時期:不明。NGZ426年4月頃)

※初出キーワード=アルマダ印章船、クオウォック、スケンダー



◇1106話 瓦礫の騎兵(クルト・マール)(訳者:渡辺 広佐)

 銀河系船団はアルマダ四種族の合計二十五万隻の艦隊にほぼ包囲され、逃げ道はフルストルービンの方向だけだった。ローダンはフロストルービンを覆う「瓦礫フィールド」の瓦礫を利用して包囲艦隊を攪乱しておき、その隙に銀河系船団を包囲網から脱出させた。しかし包囲艦隊はすぐに瓦礫フィールドに先回りして行く手をふさぎ、アルマダ中枢はローダンに使者を送ると通告してきた。(時期:不明。NGZ426年4月頃)

※初出キーワード=リンガ・フランカ(アルマダ共通語)


あとがきにかえて

 箱根の強羅に宿泊した話。


感想

 表紙の女性はニッキ・フリッケル。シリーズには女性キャラがとにかく少ないので、女性が出て来ると新鮮です。


 前半。エリック・ウェイデンバーンがアルマダ印章船に連れていかれる話。しかしそれでは間が持たないので(?)、遺伝子改造の失敗で子孫が作れなくなった種族クオウォックが、アルマダ印章船に他種族の子供を攫いに行き、それにウェイデンバーンが巻き込まれる、という本筋とは全く無関係なエピソードが展開されます。無限アルマダサイクルに入ってから、この手の水増しが多いような……


 後半。銀河系船団が瓦礫を利用した決死作戦を決行する話と並行して、無限アルマダの包囲艦隊側の話が展開されるのですが、これがめっぽう面白い。

 四種族からなる包囲艦隊の最高司令官の座を狙って、シグリド人のターツァレル・オプが「名無し」という種族の司令官の元に交渉に行くのですが、相手が一つの宇宙船全体に繁殖する巨大植物生命体という異質な存在で、何を考えているのかさっぱり分からないため、ホラーの様な雰囲気になっていて先が気になって仕方ありませんでした。さらに終盤、実はライバル種族サルコ=11が先回りしていたとかの展開も意表を突き、本来必要のないサブエピソードなのに、本編顔負けの読み応えでした。
 
 

550巻~600巻(「無限アルマダ」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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