【アニメ】感想:アニメ「ゴジラS.P」第13話(最終回)「はじまりのふたり」:最後の最後でコケてしまった……

CGWORLD (シージーワールド) 2021年 06月号 vol.274 (特集:TVアニメ『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』)

完全新作TVアニメシリーズ「ゴジラ シンギュラポイント Godzilla Singular Point」公式サイト https://godzilla-sp.jp/
放送 BS11。全13話。

godzilla-sp.jp
【※以下ネタバレ】
 

第13話(最終回) はじまりのふたり

 

あらすじ

 銘・BB・リーナはペロ2から、シヴァの中に、50年前に葦原が残した実行を中断したタスクがあることを知らされる。銘たちはこれがオーソゴナル・ダイアゴナライザーの起動コードの計算だと考え、ペロ2にタスクを再開させる。やがて怪獣サルンガがシヴァを襲い、銘たちはペロ2を残して避難するが、ペロ2から起動コードは存在しなかったという結果を知らされる。直後、どこからかまた子守唄が鳴り響き、銘はこれが自分たちにあてたメッセージだと考えペロ2に調べさせる。


 ユンはプロペラを取り付けて飛行可能となったジェットジャガーと共に、東京駅上空に向かった。しかしジェットジャガーラドンの群れに襲撃されて墜落し、しかも予告された時刻には何も起きなかった。


 シヴァの中をさまようペロ2はある事実に気が付く。


 墜落したジェットジャガーは突如再起動し、自分がジェットジャガーとペロ2の末裔であると語り、ゴジラと戦い始める。ジェットジャガーは最初から全てを知っていたと言い、オーソゴナル・ダイアゴナライザーを起動させる。紅塵は全て消え去り、世界の破局も回避された。全てが終わって落ち着いた後、ユンと銘は初めて日本で顔を合わせた。

 最後。スティーブン、海建宏、葦原が、ゴジラの骨に外装を取り付けているシーンで〆。


感想

 最後の最後でコケた……、というと語弊がありますが、期待値に全く届かない拍子抜けの最終回でした。

 開始から18分過ぎまで「コードが見つからない/届かない」というシチュエーションでダラダラ引っ張った挙句、実はペロ2が過去からメッセージを送ってくれていた、という真相が明かされますが、ここまでダラダラしすぎたので、その真相が「あっと驚く」になっていなくて……

 あらすじ的には「なんと!?」と驚くべきところなのですが、見せ方が悪いので全然盛り上がらなかった……、なんでよりによって最終回という大事なところで演出に失敗しちゃったのか……?


 あと、私のおつむでは理解できないのですが、ペロ2は「オーソゴナル・ダイアゴナライザーの起動コードは見つからなかった」と言ったのに、実際はクライマックスで起動コードを使用したわけですが、どういう事になっているのか? さっぱりわからん! あとジェットジャガーゴジラと取っ組み合いするシーンで巨大化してませんか? 特撮映画「ゴジラ対メカゴジラ」へのオマージュ的なアレですか?

 ということで、ムッチャクチャ期待していたのに、最後の最後で空振ってしまった……


総括

 評価は△(最後の最後で失敗した……)。

 「ゴジラ」というタイトルを付けつつ、実は破滅物SFであり時間SFであり、謎を解き明かしていくミステリーであり、と、好みのストライクゾーンをつきまくる楽しそうなアニメだったのですが……


 2030年。零細町工場オオタキファクトリーに勤める有川(ありかわ)ユンは、謎めいた廃屋で不思議な音楽を耳にする。一方大学院生の神野銘(かみの・めい)は、教授の代理で「ミサキオク」と呼ばれる古びた電波観測所に呼び出され、やはり同じ音楽を耳にした……


 以後、二人の主人公の別々の物語が並行して進んでいくのですが、これがとても面白くて。ユン側では、日本をはじめとして世界各地に翼竜ラドン」を皮切りに様々な怪獣が出現し、ユンは血気盛んな所長の大滝に付き合わされて怪獣退治に振り回されることになっていきます。

 一方、銘側では、自分の研究を論文としてネットで発表したところ、高名な科学者の目に止まり、その縁で「アーキタイプ」という現実的にはあり得ない不可思議な人工物質に関わることになります。そしてこのアーキタイプと世界中に出現し始めた怪獣たちは何らかの関係があるらしい……

 という感じで、ユン側の怪獣退治話と、銘側の謎の物質についての謎解きミステリー、が同時並行で進んでいきます。


 面白いのはこの二人の主人公の接点が殆ど無い所。二人は一度を顔を合わせることも無く、ほぼ関係ない別々のストーリーを進んでいくので、ほぼ別の作品二つを同時に見ているような感覚になります。ただし、二人はチャットでは頻繁に会話しますし、やがて二人のストーリーは深い所で繋がっていることがわかっていきます。その辺りの進め方も上手かったですよね。


 ということで基本的にはSF要素がメインなのですが、一応「ゴジラ」というタイトルですから、ちゃんとゴジラも登場して、お約束通り、東京に上陸して、ビル群を火を噴いて破壊しまくって、というルーチンはこなします。もっとも、自衛隊とかとの激しいバトルというのは一切なしでしたけど。


 終盤になると、怪獣の出現のために人類が危機に陥る、というよりは、なんらかの「破局」が未来に待っており、その予兆として怪獣が暴れていることが解ってきます。怪獣が脅威のメインではなく、あくまで破局の先触れに過ぎない、という設定は実に斬新でした。


 と、凄く面白がっていただけに、最終回に突然テンションが落ちまくって「どうしちゃったの?」と思うようなつまらない話にしかなっていなかったのがもう残念で残念で仕方ないです。話の理屈としてはまあ解った(と思う)のですが、話として全然盛り上がらなかった……、今までがあんなに面白かったのにどうしてしまったのか。最後の最後の、ゴジラの骨を利用したメカゴジラ製造シーンも「なんじゃそりゃ」だったし……


 うーんうーん、気持ちよく最終回を迎えるはずだったのに、こんなモヤモヤした気持ちで締めくくることになろうとは……、やはりネットフリックスアニメは信用してはいけなかったのか……?
 

 
グルマンディーズ バンダイ ゴジラ S.P<シンギュラポイント> ICカードケース Bタイプ GZL-14B ホワイト
ゴジラS.P<シンギュラポイント>オリジナル・サウンドトラック

ゴジラ S.P<シンギュラポイント>


制作会社
ボンズ、オレンジ


スタッフ情報
【監督】高橋敦史
【シリーズ構成・脚本】円城塔
【キャラクターデザイン原案】加藤和恵
【キャラクターデザイン】石野聡
【怪獣デザイン】山森英司
【CGディレクター】池内隆一、越田祐史、鈴木正史
VFXディレクター】山本健介
【軍事考証】小柳啓伍
【美術デザイン】平澤晃弘
美術監督】横松紀彦
色彩設計】佐々木梓
【撮影監督】若林優
【編集】松原理恵
【音響監督】若林和弘
【音楽】沢田完
【製作】東宝


あらすじ
2030年、千葉県逃尾市。“何でも屋”な町工場「オオタキファクトリー」の有川ユンは、誰も住んでいないはずの洋館に気配がするということで調査へ。空想生物を研究する大学院生の神野銘は、旧嗣野地区管理局“ミサキオク”で受信された謎の信号の調査へ。まったく違う調査で、まったく違う場所を訪れた見知らぬ同士の2人は、それぞれの場所で同じ歌を耳にする。その歌は2人を繋げ、世界中を巻き込む想像を絶する戦いへと導いていく。孤高の研究者が残した謎、各国に出現する怪獣たち、紅く染められる世界。果たして2人は、人類に訪れる抗えない未来<ゴジラ>を覆せるのか―。


音楽
【OP】BiSH「in case...」
【ED】ポルカドットスティングレイ「青い」


キャスト
神野銘:宮本侑芽
有川ユン:石毛翔弥
ペロ2:久野美咲
ユング釘宮理恵
加藤侍:木内太郎
大滝吾郎:高木渉
金原さとみ:竹内絢子
佐藤隼也:阿座上洋平
山本常友:浦山迅
鹿子行江:小岩井ことり
海建宏:鈴村健一
李桂英:幸田夏穂
マキタ・K・中川:手塚ヒロミチ
ベイラ・バーン(BB):置鮎龍太郎
リーナ・バーン:小野寺瑠奈
マイケル・スティーブン:三宅健太
ティルダ・ミラー:磯辺万沙子
松原美保:志村知幸

 
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