【映画】感想:劇場アニメ「機動警察パトレイバー2 the Movie」(1993年:日本)

機動警察パトレイバー2 the Movie [Blu-ray]

機動警察パトレイバー公式サイト https://patlabor.tokyo/
放送 BS12。2021年10月31日(日)

【※以下ネタバレ】
 

世界が息を呑んだ<TOKYOウォーズ>!最初は誰もそれを信じなかった。
2002年冬。横浜ベイブリッジに謎のミサイル投下…!
報道はそれが自衛隊機であることを告げるが、該当する機体は存在しなかった。これを機に続発する不穏な事件は警察と自衛隊の対立を招き、事態を重く見た政府は遂に実戦部隊を治安出動させる!!東京に〈戦争〉を再現した恐るべきテロリストを追って、第2小隊最後の出撃が始まる!(オリジナルサウンド版)

 

あらすじ

 1999年。東南アジア某国。PKOとして派遣されていた自衛隊のレイバーが、反政府ゲリラの襲撃を受け、反撃も許可されないまま一方的に大打撃を受ける。


 冬。横浜ベイブリッジに爆弾を仕掛けたという予告が行われ、その直後橋は爆破される。事件は当初は爆弾テロと思われていたが、すぐにマスコミで自衛隊機がミサイルで橋を攻撃している映像が流され、世間は騒然となる。

 直後、後藤と南雲の前に自衛隊の荒川という男が現れ、ニュースの映像は改変されており、本当は攻撃したのはアメリカ軍機であると知らされる。荒川は、この件の裏には、日本の軍事力増強を狙うグルーブが絡んでおり、その首謀者は柘植行人(つげ・ゆきひと)という男であるとして、二人に内密に捜査への協力を依頼する。

 時を同じくして、自衛隊三沢基地の航空機が東京に接近し、迎撃のため自衛隊機が出撃するという緊急事態が発生した。しかし、接近しているはずの三沢からの機体は現実には存在しておらず、自衛隊のシステムが外部からハッキングされていただけだった。

 一連の事件を受け、警察は権力拡大を狙い、三沢基地の司令官を拘束し基地を封鎖するが、それに猛反発した各地の自衛隊基地が外部との接触を断ち籠城を開始した。政府はクーデターを恐れ、警察に事態の責任を擦り付けるとともに、治安維持のため一部信用できる自衛隊の部隊を首都圏に移動させる。

 やがて柘植の一派が戦闘用ヘリ三機まで持ち出しての都内でのテロを開始し、特車二課はヘリの攻撃を受けてレイバーは全て使用不能にされてしまう。さらに警視庁もヘリに襲撃され、また各種の通信設備は地下ケーブルも含めて破壊され通信網は寸断されてしまった。さらに都内上空には無人の飛行船が飛ばされ、内部には毒ガスが搭載されている可能性が高まり、もはや誰も手出しができなくなってしまう。

 後藤は荒川から、柘植が東京湾の埋め立て地に本部を設置して飛行船をコントロールしているとの知らせを受ける。しかも、柘植に関する情報は米軍経由で、米軍はこの事態に軍事介入するつもりだと知らされる。後藤は部下たちを招集し、柘植の逮捕を指示する。

 後藤は荒川が、元・柘植の一味で、途中でたもとを分かち、後藤たちを利用して柘植を始末しようとしていたことを看破して、荒川を逮捕する。一方、南雲に指揮されたレイバー隊は埋め立て地に突入し、南雲が柘植を逮捕した。<完>

感想

 評価は△(パトレイバーの名を借りたオリジナル作品)。

 1989年の1作目に続く押井守パトレイバー映画第二弾ですが、これ、パトレイバーじゃないな、と(笑)

 1989年映画は押井監督の個性を極力抑えた、あくまで「パトレイバー劇場スペシャル版」で収まっていましたが、こちらはもう押井カラー全開(笑) PKOがどうの、日本の戦後がどうの、テロがどうの、と、話の内容がもう「ああ、押井守が大好きな奴だ!」という雰囲気で埋め尽くされていて、少年サンデーのパトレイバーあたりしか知らなかったら、あまりの違いに腰を抜かす内容でした(笑)

 さらに、基本的に活躍するのは、後藤と南雲の管理職二人だけで、残りの若い連中、泉野明とか篠原遊馬は完全に脇役、いてもいなくても話が成立するレベルの出番しかない(笑) 

 また、そもそも「パトレイバー」でありながら、我らがイングラムは殆ど活躍しない(笑) 中盤まで存在が忘れられているレベルで姿を見せず、中盤にやっと姿を見せたと思ったら、格納庫にいるところを軍事用ヘリに攻撃されてスクラップ同然にされるだけ(笑) 最後に埋立地に突入するアクションがあり、ここで活躍するのかと思ったら、その活躍も途中で映像をぶち切って、残骸だけがようやく目的に辿りつくシーンに一気に飛んでしまうという……、もはやロボットを描く気が無いのが明白だった(笑)

 野明も遊馬もイングラムも出番が無くて、大半の時間を、自衛隊のアレコレや後藤と怪しいおっさんの薄暗い会話だけに割いているとか、もうこれのどこがパトレイバーなのか……


 あと、話が暗いのに合わせて、キャラクターデザインもアニメ調をやめてリアルタッチというかにしていて、正直見ていて気持ち悪く、最後まで馴染めなかった。さらにさらに、南雲隊長が以前妻子ある男性(柘植)と不倫関係にあって、そのせいでエリート街道から左遷されて場末の二課に来た、とかひどい設定が追加されて、正直ゲンナリ……


 もうこれ「機動警察パトレイバー」では無くて、押井守がその設定を乗っ取って、自分がやりたいオリジナルアニメを作ったと言っても過言じゃありません(断言)


 こういうジャンルって表現が解らないんですが、謀略系(?)ミリタリー(?)サスペンス(?)としてならそこそこ面白い気もしますが、これを「パトレイバーの映画です」って差し出してくるの、詐欺に近いんじゃないですかね……? 1993年に映画館に行ったリアルタイムの観客たちはどう評価したのか知りたいです。
 
 

https://www.twellv.co.jp/program/anime/sunday-animation/archive-sunday-animation/sunday-animation-046/
2021年10月31日放送 機動警察パトレイバー2 the Movie


【出演者】
冨永みーな
古川登志夫
大林隆之介
榊原良子
池水通洋
二又一成
郷里大輔
千葉繁
阪脩
西村智道
仲木隆司
立木文彦
安達忍
小島敏彦
大森章督
竹中直人
根津甚八


【スタッフ】
監督:押井守
演出:西久保利彦
プロデューサー:鵜之沢伸、濱渡剛、石川光久
エグゼクティブプロデューサー: 山科誠、植村徹
原作:ヘッドギア
脚本:伊藤和典
撮影監督:高橋明
美術監督小倉宏昌
編集:掛須秀一
音楽:川井憲次
音楽プロデューサー:浦田東公、 大島満、大竹茂
キャラクターデザイン:高田明美ゆうきまさみ
メカニックデザイン出渕裕河森正治カトキハジメ
メカニックデザイン協力:佐山善則、伊東守、藤島康介
演出助手:千葉大
音楽ディレクター:松根文、国分浩弥
音響監督:浅梨なおこ
作画監督黄瀬和哉
色彩設計遊佐久美子
録音監督:浅梨なおこ

 

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