ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。
www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
他の回の内容・感想
本当の謎は、人間の闇
シーズン4スタートしました!
今年度はなんと、地上波・Eテレで毎週(火)夜10:45放送の、名作の数々のコンパクト29分版と同時期放送です!
背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」のスピンオフ!
栗山千明、中田譲治、志方あきこのダークなトライアングルに加え、伊藤海彦アナウンサーも参加!
名画の呪い!? フェルメール強奪事件 ~天才ギャングを破滅させた謎の女たち~ (2022年5月12日(木)放送)
内容
ダークサイドミステリー 名画の呪い?フェルメール強奪事件 ギャングVS謎の女
[BSプレミアム] 2022年05月12日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)
世にも数奇な大事件+妖しい怪運命?謎のギャング「将軍」に30億円の名画の呪いがふりかかった?空前の最強警察捜査にテロ組織の乱入、名画奪還をめぐる大混乱の決着は?
世界が衝撃!30億円のフェルメール世界的名画がわずか数分で盗まれた!犯人はアイルランド・ギャングのボス。あらゆる警報を突破する天才「将軍」と呼ばれる謎の男。しかし名画に描かれた女の呪いか?「将軍」の運命は激変する。世界各地の警察が名画奪還のため空から追跡!特殊部隊の襲撃!テロ組織が暗躍しマスコミは突撃取材で大混乱!暴かれる「将軍」の意外な正体とは?そして将軍対名画の女の決着は?世にも数奇な大事件。
今回のテーマは「フェルメール強奪事件」。
●フェルメールの名画、強奪さる
1986年5月21日。アイルランドの貴族バイト卿の屋敷に保管されていた名画18点・総額70億円相当が盗まれた。その内、7点は捨てられているのが発見されたが、持ち去られた絵の中には、巨匠フェルメールの作品「手紙を書く婦人と召使い」も含まれていた。
●将軍と呼ばれた男
絵画を盗んだのは、アイルランドのギャング組織のボスで「将軍(ジェネラル)」と呼ばれたマーティン・カーヒルとその部下たちだった。カーヒルは、貧しいスラムで生まれ育ち、やがて強盗・恐喝・誘拐など様々な凶悪犯罪に手を染めた。
1983年7月にはカーヒル一味は貴金属工場を襲撃している。早朝、支配人が出勤して警備を解除した瞬間を狙って押し入り、貴金属を強奪してすぐに逃げ出したのだった。
カーヒルは権威やそういったものが大嫌いで、バイト卿が所有する絵画を国に寄付すると知り、彼らに赤恥を書かせるため絵画強奪を計画した。
バイト卿は屋敷を解放して無料で絵を公開していたため、カーヒルたちは屋敷を何度も訪れ警備状況を確認していた。そして5月21日深夜2時。カーヒル一味は屋敷に侵入すると、カーヒルはわざわざ警報装置に引っかかるように踊って見せた。
当然警報が鳴り響き、警察と管理人が飛んできたが、屋敷に何も異常が無かったため誤作動と判断した。しかし警報装置が鳴りやまなかったため、管理人は警報装置を切ってから帰ってしまった。そこにカーヒル一味が戻ってきて、悠々と屋敷に忍び込んだ。警報装置はあらかじめカーヒルの部下が鳴りやまない様に細工していたのである。
一味は絵画を盗み出すと、価値が低いと判断した7点は捨て、残りの11点を山の中に穴を掘って埋めた。絵画に詳しい者なら絶対に行わないようなずさんな隠し方だった。
●カーヒル一味対捜査機関
カーヒル一味の一人がフェルメールの売却を闇の仲介人に持ち掛けてきたが、その仲介人こそロンドン警視庁のおとり捜査官だった。ロンドン警視庁はFBIと連携して、1987年1月にカーヒル一味の一人に接触するものの、うっかりFBIのロゴ入りメモを渡してしまい、相手に気が付かれて逃げられてしまう。
半年後。今度はオランダ警察が、武器商人のルートからフェルメールの取引が行われるという情報を入手した。カーヒルたちは美術品を売買するための伝手が無く、犯罪組織な武器密売人などに手当たり次第に声をかけていたため、捜査機関に情報が筒抜けだったのである。1987年7月に取引が行われることになったものの、カーヒルが警察の存在に気が付き、この時も逃げられてしまった。
同年8月には、ロンドン警視庁・オランダ警察・アイルランド警察・インターポールの四大捜査機関が合同でカーヒル一味におとり捜査を仕掛けた。おとり捜査官がカーヒルたちの所有する絵を確認したいといって絵の隠し場所まで案内させさせ、捜査側は飛行機で後を追い、地上からは警官隊が包囲する、という体制だった。
9月27日午後1時。おとり捜査官がダブリンのホテルで一味と接触、ダブリンから18キロ離れたキラーキー山中まで案内された。そこにカーヒルが現れ、さらに本物のフェルメールを確認した。しかし捜査官が突入の合図を出したにもかかわらず、地上の警官隊に無線が届かず、またしてもカーヒルたちは逃げおおせてしまった。
●カーヒル一味の没落
カーヒルは思ったように絵が売却できないため、絵の強奪に参加した部下たちに報酬が支払えず、部下から突き上げられていた。仕方なくカーヒルは金を稼ぐため、銀行強盗や誘拐を頻繁に繰り返すようになり、なんと週に一回のペースで犯行を行うようになった。
これに業を煮やしたのがアイルランド警察で、カーヒル一味を叩き潰すため、カーヒルとその幹部十人を24時間体制で監視し続けるという「タンゴ・スクワット作戦」を1987年12月から開始した。警官たちが家の周囲に張り付き、夜にはライトを浴びせかけて睡眠を妨害、外出すればその側にぴったり張り付いて見張り続ける、という強硬策である。この徹底的な監視のため、カーヒルたちはとてもではないが犯罪を行うどころではなくなった。
カーヒルは部下に動かないように命じたが、金に窮した部下たちは強盗を行っては逮捕されていき、ついにカーヒルの信頼する幹部たちは誰もいなくなってしまった。
さらにカーヒルに新たな敵が現れた。1988年2月には、マスコミが道を歩いていたカーヒルに突撃取材を敢行し、強引にインタビューしている。そしてマスコミは「将軍」という名の有名犯罪者を良いネタとして徹底的にとり上げた。カーヒルは抗議のため、外出時には覆面をかぶって出歩くようになった。
●フェルメール売却
1989年3月には、カーヒルはフェルメールの売却を、アイルランド独立を掲げるテロ組織「IRA」と、IRAと敵対する反独立組織「アルスター義勇軍」の両方に持ち掛けた。そしてアルスター義勇軍と売却がまとまりかけるが、その矢先に交渉相手が逮捕され、またしても売却は失敗した。
そしてカーヒルにも異変が起きていた。1990年1月、カーヒルが40歳の時、部下と強盗に入るものの、警報装置が作動していることに気が付かず、慌てて逃げ出す羽目に陥った。当時カーヒルは糖尿病が進んでおり、そのせいで注意散漫になっていた。カーヒルは部下に強盗を引退すると伝えたという。
1991年。ついにカーヒルはベルギー人のギャングにフェルメールの売却に成功した。ただし、代金はまず前金30万ポンド(約8000万円)だけを支払ってもらい、残りの50万ポンド(約1億円)は、ギャングたちが絵の買い手を見つけたら支払う、という契約だった。しかし、1993年9月にギャングたちは逮捕されてしまい、フェルメールは捜査機関に回収された。結局カーヒルは、30億円とも言われた絵を盗みながら約8000万円しか手に出来なかった。
●カーヒルの最期
カーヒルは糖尿病が悪化し、強盗を引退して麻薬ビジネスに手を染めていた。1994年8月13日午後三時、車に乗ろうとしたカーヒルは何者かに銃で五発撃たれ死亡した。死亡時45歳。のちにIRAが犯行声明を出し「カーヒルがアルスター義勇軍と関わっていたので殺さざるを得なかった」と主張した。
●その後の「手紙を書く婦人と召使い」
回収された「手紙を書く婦人と召使い」は、ダブリンにあるアイルランド国立美術館に飾られており、入場料無料で干渉することができる。
感想
これは面白いネタを見つけてきたな、という感じの回でした。タイタニックとかジェヴォ―ダンの獣とかなんとかなら他のメディアでも見たことがある話ですが、今回のネタは一から十まで初耳でした。名画を盗んだ犯罪者一味が没落していく様が「すべて実話」というのがなんとも数奇な感じ。「世にも不思議な物語」とかなんとかそういうジャンルのネタですね。なかなか面白かったです。