【成年コミック】感想:成年コミック「丹(あか)」(幾花にいろ/2021年)

丹 (GOT COMICS)

http://www.amazon.co.jp/dp/4815606951
丹 (GOT COMICS) コミック アダルト, 2021/8/31 [アダルト]
幾花にいろ (著)
出版社:ジーオーティー (2021/8/31)
発売日:2021/8/31
コミック:200ページ

【※以下ネタバレ】
 

心恋し、彼女たちの丹(あか)の想い──


鮮烈な成年向けデビュー作、
口に出来ぬココロをカラダでぶつける人々を描く群像シリーズ『秘密』、
そしてカラーコミックを含む多彩な短編群。
互いに濡らし合い、痛いほど擦れ合う、肌と肌のコミュニケーション。
『comicアンスリウム』初登場から6年… 鬼才・幾花にいろの成年作品集、ついに登場!!

 

内容

 短編集。メインはコミックアンスリウムで2015年から2021年にかけて断続的に掲載された「秘密」シリーズ。

感想

 評価は△(絵は上手いけど)。


 エロ漫画と一般漫画を並行して描いている(※)漫画家のエロコミック。

 ※「楽園」(白泉社)辺りで描くのは十分解るけど、秋田書店ミステリーボニータで「国を蹴った男」という時代小説のコミック化まで手掛けていたのには仰天した。なんで?


 本書の内容は、いずれも「男女が付き合えば、当然肉体関係に発展するよね」といった観点でのお話で、仲良く会話をしているうちに服を脱いですることをしてしまう、という感じ。絵は上手いし、エロいシーンも多いのですが、読者を興奮させるために描いているとは思えず、エロ漫画としての実用性は皆無です。絵は上手いですが。


 本書のメインとなるのが「秘密」というタイトルの連作短編。群像劇で、まず男Aとその恋人Bがいて、さらにBの女友達やAの隣人の美人、等が登場し、それぞれの話で主役となる人物を次々と入れ替えながら世界観を広げつつストーリーが展開していきます。こういうつくりは面白いな、と思ったのでエロとしての実用性が無くても良いかなと思ったのですが……

 話が進み、ようやくAとBが結ばれたと思ったら、突然Bが別れ話を持ち出して「ハァ?」となり、ここから一体どうやって話を収拾するのかと思ったら、そのまま別れたままでおしまい、で、再度「ハァ?」に……、途中まで面白いと思っていた自分がバカみたいだ……

 作者も編集者もロクに話を考えずに話を進めていたようで、結局空中分解状態でした……


 ということで、全編において絵は上手いですが、結局のところ、どの話もストーリーは空虚です。読み終わっても心に残るものがない。まあ、そういう漫画家もいるということですね。

おまけ

 巻末のあとがきで「ぼく」と自称していますが、この作者、女性ですよね?
 
 

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