【ゲームブック】感想:ゲームブック「ロボット コマンドゥ」(スティーブ・ジャクソン(米)/1987年)【クリア】

ロボット コマンドゥ‾ファイティング・ファンタジー (22)

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ロボット コマンドゥ ファイティング・ファンタジー (22) 文庫 1987/10/1
S. ジャクソン (著), 安田 均 (著), スティーブ・ジャクソン (著)
出版社:社会思想社 (1987/10/1)
発売日:1987/10/1
文庫:258ページ

★★【以下ネタバレ】★★
 

遥かかなたの惑星で、ロボットを使いどうもうな恐竜を飼いならしている君は、残虐な敵国カロシアンの侵略に、どう立ち向うべきだろう?故国の人々を、カロシアンの侵略から守れるのは、君一人しかいないのだ!サイコロ二つと鉛筆、消しゴムさえあれば、冒険の旅に出ることができる。どの道をたどり、どんな怪物と戦うか、それを決めるのは、君自身だ!

 

概要

 「ファイティング・ファンタジー(FF)・シリーズ」22作目。SF巨大ロボット物。作者はアメリカのゲームデザイナーのスティーブ・ジャクソン


あらすじ

 君はタロス国で巨大ロボットに搭乗し、獰猛な恐竜を飼いならす仕事に就いている。ある日タロス国の住人が突然みな眠り込んでしまい、直後敵国カロシアンの軍隊がタロスに侵攻してきた。カロシアンがタロスを征服するため「眠り病」のカプセルを国中に散布したに違いない。今タロスで目覚めているのは、何らかの理由で眠り病を免れた君だけだ。君はタロスの国民を救うため、たった一人でカロシアンの軍隊に立ち向かわなければならない!


ゲームシステムなど

 パラグラフ数は400。システムは、ファイティング・ファンタジー・シリーズ共通の「サイコロを振ってキャラクターの3つの能力(技術点・体力点・運点)を決定」、「必要に応じてサイコロで判定を行い、戦闘や運試しなどを行う」というもの。

 特別ルールとしてロボットに搭乗している場合の戦闘ルールが追加されている。


感想

 評価は○(手軽に楽しめる好作品)

 FFシリーズ22作目。テーマはなんとFFシリーズ初(にしておそらく最後)の「巨大ロボット物」という異色作です。プレイする前はイロモノぽいテーマのため、いささか内容に不安がありましたが、プレイしてみると手堅くまとめられた好作品で、なかなかの満足度でした。


 舞台となるのは巨大ロボットが当たり前に使われている異世界ですが、その一方で獰猛な恐竜たちが都市の外を徘徊しているという、SFとファンタジーをミックスしたような独特な世界観となっています。そんな世界で、主人公は祖国に侵攻してきた敵国の軍隊を撃退するため、たった一人で戦わなければなりません。これはなかなかに燃える導入部でした。


 ゲームの流れとしては、タロス国の各地にある都市へと移動し、アイテムや情報を手に入れたりロボットを乗り換えたりして準備を整えてからラストバトルに挑むことになります。この作品は基本的に「一方通行」や「二者択一」という制限が無いため、どの都市をどの順番で訪問するも自由ですし、さらに各都市での選択肢も基本的にすべて選ぶことができます。つまり一方通行型のゲームブックでお馴染みの「アイテムや情報の取り漏れ」が起きないので、常に心に余裕をもって安心してプレイすることができました。

 また隠しパラグラフが存在していて事前に情報を入手していないとジャンプできないという仕掛けも用意されており、ただ易しいだけではなく、ちょっと歯ごたえがあったのもうれしかったですね。


 巨大ロボット物という事で、当然途中で巨大ロボット同士のバトルも発生しますが、ルールは対人戦闘とほぼ同じの上、バトルの回数がそれほど多くなかったため、特に煩わしさを感じることもありませんでした。

 ちなみに、この作品に登場する巨大ロボは、オーソドックスな人型から始まって、飛行専用型、戦車型、ヘビ型、三本足型、カニ型、etcetcとバリエーションが実に豊かで楽しかったのですが、しかもとどめで「人型と飛行機型の両方に変形できるロボット」まで登場したのには笑いました(笑) 日本のアニメの影響はもの凄いな、と(笑)


 本作はマルチエンディングとなっており、色々な方法で祖国タロス国を救う事ができます。王道の「最強の敵との最終決戦」もあれば、裏技的な方法で効率的に勝利してしまうルートもあり、そちらに進んだ時には「こんなに簡単にクリアできて良いのか……?」と目を白黒させてしまいました(苦笑)


 このように、本作は基本的には楽しい作品ですが、少しだけ不満があるとすればストーリー面の弱さでしょう。前述のとおり本作は自由度が高く、タロス国内の都市をどんな順番で移動するのも制限なしのため、逆にストーリーの大きな流れというものが無く、ストーリーが終盤に向けて徐々に盛り上がっていく……、という様な作りになっていません。そのため、あちこちの都市を気ままにうろついたあと、唐突に最終決戦という感じになってしまい、ちょっとクライマックスの盛り上がりに欠けました。しかしそれは高い自由度の裏返しですので、一概に欠点とは言えないわけですが……


 という事で、本作は大傑作とまでは言えませんでしたが、それなりに面白いストーリーとそこそこに歯ごたえがある内容になっており、プレイして十分に満足できる内容でした。ゲームブックとしては十分合格点と言える一作だったと言えましょう。
 
 
 

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