感想:映画「宇宙戦争」(2005年)


 4/10(金)に地上波放送された映画。


■あらすじ

 SF小説の先駆者「H・G・ウェルズ」の「宇宙戦争」の21世紀風の映画化。原題「War Of The Worlds」。

 ある日突然世界中で地中から巨大な三本足の機械「トライポッド」が出現し、殺戮を開始した。トライポッドに人間の兵器は全く通用せず、人間は成すすべもなく虐殺されていく。



■感想

 スピルバーグ大監督とトム・クルーズの豪華チームによる「SF侵略パニック大作」・・・、と思ってみたら肩透かしを食らう事請け合いの内容です。これ、基本的にSF映画では有りません。全く別のジャンルの映画です。


 お話は、大まかに言って

1)トム君演ずるダメな父親が、子供と打ち解けようと痛いコミュニケーションを繰り返すが成果無し。

2)宇宙人が攻めてきたので子供と共に必死で逃げる

3)苦労を乗り越えてみたら、トム君は子供と打ち解けていました

 という「トム君と家族の絆の再生物語」が主題です。宇宙人の侵略はその為の刺身のツマのような物で、メインテーマでは有りません。「宇宙人の侵略」を「大地震」「大火災」「飛行機の不時着」「豪華客船の転覆」「気象の大変動」等の、とにかく親子で苦労するようなタイプのテーマに置き換えても、映画のストーリーは問題なく成立するでしょう。わざわざ「宇宙戦争」を原作にする必要ナッシング。


 私は映画を見ながら「なぜトム君のこんな痛々しい物語を見せられないといけないの? もっと宇宙人の侵略をガンガン見せてくれ!」と画面の前でじれっ放しでした。で、結局オチが「家族の絆が取り戻せてよかったね(トム君と家族の笑顔)」なのですから、もうやってられませんわ。


 トライポッドの特撮は凄いものがありましたが、21世紀の映画でも「侵略者は地球の〇〇〇のためにXXしてしまいました」っていくらなんでもそりゃ無いだろうと思います。19世紀の小説ならそれで十分でしたが、あんな高度なメカを使う連中が宇宙服も使わないなんておかしいでしょう。原作をいじるならそこも今風に変えて欲しかったですね。

 という事でこの映画に送る言葉は「トホホ」ではないかと思います。