感想:NHK番組「頭がしびれるテレビ」スペシャル「名曲は数学で出来ている!?」(2013年2月15日(金)放送)


 NHK番組「頭がしびれるテレビ」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■頭がしびれるテレビ|NHK
http://www.nhk.or.jp/program/shibireru/

 NHK 総合での視聴です。(放送日:2013年2月15日(金) 22:00〜22:43)。


■概要

ギリシア語で"数学の"という意味の小さなギャラリー"(マティマティコン)"がこの番組の舞台。無類の数学マニアのオーナーを頼って、毎回、相談が持ち込まれる・・・・ 数学の不思議さ、美しさを知らずに人生を過ごすなんてもったいない! この番組を見れば、あなたも数学の世界をもっと知りたくなること間違いなし。頭がしびれるような知的刺激をお届けします!
ギャラリーオーナー・タニハラ(谷原章介) アートディーラー・ユミコ(釈由美子

 2012年4月〜5月に全8話放送された30分物の数学紹介バラエティ番組のスペシャル版。2012年12月26日に放送予定でしたが、特番で延期になり、ようやく今回放送の運びとなりました。


名曲は数学で出来ている!?


■内容

>身近な題材を選び、数学を駆使してそこに潜む深遠な真理を探っていく知的エンターテインメント。今回の題材は「音楽」。歴史上、音楽と数学は密接に関係してきた。そもそもドレミの「音階」は、古代ギリシャの数学者ピタゴラスが発見したものだった。ビートルズなど古今東西の名曲を数学的に検証してみると、さまざまな数学的な美しさが潜んでいた。斬新な映像とドラマ仕立ての楽しい演出で数学と音楽の不思議な関係を解き明かす。


>生活の中の身近な題材を選び、数学を駆使してそこに潜む深遠な真理を探っていく「頭がしびれるテレビ」。今回の題材は音楽です。
>歴史上、音楽と数学は極めて密接に関係してきました。そもそもドレミの「音階」は、古代ギリシアの数学者ピタゴラスが作り出したものです。バッハ、ビートルズ、日本の民謡など古今東西の名曲を数学的に検証してみると、そこには、さまざまな数学的な美しさが潜んでいます。
>今回は、谷原章介扮する数学マニアのギャラリーオーナーのもとを、「曲が作れなくなった」と、作曲家が訪ねるドラマ形式で進んでいきます。「数学で解決できないことなどない」と豪語する谷原オーナーは、数学を駆使して作曲家の悩みを解決できるのでしょうか。


>今回のゲストは小堺一機さんと福田彩乃さん


▽名曲に隠された音の秘密!
・ペンタトニック・スケール。五つの音で構成された音階。これを使った曲はヒットする。世界各地で色々な組み合わせがある。
・日本人が好きなのは七つの音階から「ファ」と「シ」を抜いた「ドレミソラ」音階。「ヨナ抜き音階」ともいう。安定感を感じる。「唱歌」もペンタトニック・スケール。
・ペンタトニック・スケールを見つけたのは2500年前のピタゴラス
・自然の音の中から「調和を取れた音」とそうでない音の違いを分析した。
・ある弦をはじいたときの音と、その弦の半分の長さの弦をはじいた時の音は、高さは違うが同じ音。これは一オクターブ違う音ということ。ピタゴラスは世界で始めて音階を見つけた。
・色々調べた末、「ド・レ・ミ・ソ・ラ」という音を見つけた。これがペンタトニック・スケールの始まり。
ピタゴラスは最終的に12の音階を見つけた。「ピタゴラス音律」という。ピアノの鍵盤の白と黒の計が12なのはここに由来する。



ドレミは数学が生み出した!
・ドとかレとかの音は周波数(ヘルツ)であらわせる
・二つの音を同時に鳴らす和音。ド+ドとか。二つの音の周波数の比率が単純、つまり最小公倍数が少ないほど調和して聞こえる。



▽音楽は昔、数学だった!
・音楽は昔は娯楽でなく哲学や科学に近かった。
・最上位「ムジカ・ムンダーナ」人に聞こえない宇宙の秩序。「ムジカ・フマーナ」これの調律が狂うと人の心身がおかしくなる。「ムジカ・インストルゥルメンタリス」実際に聞く、一番低い階層。
・昔は音楽は「天文学・数論・幾何学・音楽」という四大理系科目の一つだった。世界をつかさどる法則を見つける学問扱い。



▽五線譜は、x軸とy軸のグラフである
・中世。グレゴリオ聖歌は色々改良されていったが、やがて9世紀頃、元のメロディーに音の高さの違うもう一つのメロディーが追加された。楽譜は縦軸が音の高低、横軸が時間を表すグラフと同じものになった。
・これが五線譜の始まり。五線譜の登場で「複雑な音楽を設計する」ことが可能になった。



ビートルズは数学だ!?
ビートルズの「ハードデイズナイト」のイントロ。ギターの音しか聞こえないが、数学的に分析してみて、ギター・ピアノ・ベースなどの音の集合体だと解明された
ビートルズの曲には数学が使われている。最小公倍数。四拍子の曲で、ジョージ・ハリスンだけ三拍子で演奏する。最小公倍数の12個目で一致する。そのとき快感が生まれる。



▽数学で作曲!
・数学甲子園に参加した学生に、数学で作曲に挑んでもらう。円周率を使うとか、統計でバッハのクセを分析してバッハ風の曲を作るとか、
・あらかじめアルゴリズムをコンピューターに入れておいて、人の意思抜きで作曲する「アルゴリズム作曲法」というものがある。
初音ミクも数学が作った音楽といえる。フーリエ変換という数学を使っているから。



■感想

 昨年春に放送していた数学バラエティがスペシャル版で復活!! 本放送は「数学ネタ」と「IT技術ネタ」が入り混じっていて純粋な数学番組ではなかったのですが、とにかくNHKしか作りそうに無い「数学を解りやすく解説する」という内容が好きだったので、単発とはいえ復活は嬉しい限り。

 しかも、今回はものすごい密度。ピタゴラスからビートルズから初音ミクからてんこ盛り。大満足の回でした。半年に一回くらいでいいから作り続けてくれないものですかねぇ。


★蛇足

 谷原章介氏の声が変だった…、撮影時に風邪を引いていた? あと小堺一機が髪が真っ白ですごい爺さんになっている…