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感想:オカルト系番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」『File-16 世界はだまされている!?陰謀論の闇に迫る』


NHK幻解! 超常ファイル―ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー http://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 BSプレミアム

【※以下ネタバレ】


『File-16 世界はだまされている!?陰謀論の闇に迫る』 (2016年3月29日(火) 22:00〜23:00)。

http://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2016-01-09/10/9401/2357047/
「○○事件は実は××の陰謀だ!」世に飛び交う謎のウワサ。何がホントで何が違うの?9.11同時多発テロフリーメイソン陰謀論から私たちの世の中の見方を考えます。


9.11アメリカ同時多発テロは、政府の自作自演だった!?フリーメイソンは世界征服を狙ってる?こうした怪しげなウワサを、信じるか信じないかをお任せせず、きっちり答えます!「なぜ人は陰謀論を信じるのか?」▽ツインタワーは爆弾で破壊された?突入したのはミサイル?さまざまな“証拠映像”とともに語られるウワサの真偽は?▽古くから陰謀がささやかれるフリーメイソンとはどんな組織なのか?歴史からは意外な事実が!


【ゲスト】パトリック・ハ−ラン,辻隆太朗,【司会】栗山千明,【語り】中田譲治


(1)9.11陰謀論

 2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ。テロリストが旅客機4機をハイジャックし、2機は世界貿易センタービルに、一機はペンタゴンに、それぞれ突入、のこり一機はペンシルバニア州に墜落した。これ以降、アメリカは対テロ戦争に突入していった。

 しかし2015年、アメリカのテレビの調査によると、アメリカ国民の25パーセントは9.11は政府発表以外の真実が有ったと考えている。政府はテロリストの攻撃を自作自演し、その後の対テロ戦争の口実にしたのではないか、というのである。

 根拠のひとつが世界貿易センタービルの崩壊のし方。1号棟は旅客機が衝突した後、1時間40分も持ちこたえていたのに、その後いきなり崩れだすと垂直にひしゃげるように完全崩壊してしまった。こんなことは不自然すぎる。ビルの解体工事の際に行なわれる、巧妙に爆弾を仕掛けて爆破する「制御解体」という技術が使われたとしか考えられない。

 また旅客機がペンタゴンに突っ込んで壁に穴を空けたというが、幅が小さすぎる。壊れた幅は36.5メートル。斜めに突っ込んだ事を考えても幅27メートルの物体が突っ込んだ事になるが、飛行機の幅は38メートルもあり、計算が合わない。これは飛行機が突っ込んだのでは無く、ミサイル攻撃したのに間違いない。



 アメリカ国立標準技術研究所(NIST/ニスト)は2005年に世界貿易センタービル崩壊の報告書を発表した。その内容は、ビルは旅客機の衝突に当初は持ちこたえたものの、ジェット燃料による火災などで内部構造が崩壊し、ビルの上側が持ちこたえられなくなって崩れ落ち、その重量が下にかかってどんどん押しつぶされていった、と結論付けている。また制御解体の痕跡が無かった事にも触れられている。

 ペンタゴンの穴については、専門家は、ビルに穴を空けたのは飛行機の重量であり、それは胴体近くに集中している事、また衝突前に地面に触れて羽が破損していた可能性もあり、何も不審は無いとしている。なにより、当時近くにいた目撃者が飛行機が突っ込んだと証言しているし、ペンタゴンの職員が飛行機の乗客の遺体を確認しているのである。

 これらの報告者は数百人レベルの研究者が調べた結果をまとめ上げたものである。その全員がグルになってウソをついているとは考えづらい。さらにニストの報告書はサイトで公開されていて世界中どこから読むことが出来る。世界中の全ての研究者をだませるものだろうか。

 しかし陰謀論者は「報告書は政府の圧力ででっち上げられたウソ、だから読む必要は無い」「自分の目で見れば政府の報告がウソなのは一目でわかる」と取り合わない。




栗山千明とゲスト(パトリック・ハ−ラン,辻隆太朗)とのトーク

 陰謀論者は公式報告書を読まない。調査結果しか書いていないのでストーリーが無い。その点、陰謀論というのは「○○だから、こうなんだ」という、すんなり理解できるそれっぽいあらすじがあるので、「こっちの方が分かりやすい、真実だ」と飛びついてしまう。陰謀論者は政府の報告書はウソだと切り捨てるくせに、陰謀論のほうには簡単に飛びつくのか? 陰謀論も政府の報告と同様に頭から疑え!




(2)人は何故陰謀論に飛びつくのか?

 人間は物事を判断する際、客観的に行なっていると思っているが、実は直感・感性に基づいておこなっている。つまり「バイアス」がかかっている。その一つが「志向性バイアス」。複数の原因が考えられる出来事に接すると、それらは偶然だとは考えず、誰かが何らかの意図を持って起こした、という風に考えてしまいがち。そのために陰謀論をそれらしいと受け入れてしまう。




(3)フリーメイソン

 フリーメイソンとは世界規模の秘密結社である。世界統一政府の樹立を目論んでおり、フランス革命アメリカ独立戦争ロシア革命などの歴史的な事件には必ずフリーメイソンが関わっていた。トレードマークは「コンパスと直角定規」だが、アメリカの首都ワシントンD.C.の道路をつなぐとこのマークが現われる。また一ドル紙幣には「三角形の中に目」という模様が有るが、これはフリーメイソンを意味する。つまりフリーメイソンはアメリカの政治や経済を牛耳っているのだ!! さらにあの坂本竜馬フリーメイソンだった。なぜなら、竜馬と付き合いのあったトーマス・グラバーの家の門にはフリーメイソンの「コンパスと直角定規」のマークがあるからだ。つまり日本の明治維新もまたフリーメイソンの陰謀だった!! 信じるか信じないかはあなた次第…… 



 と投げっぱなしにすることなく調べてみました。フリーメイソンは正確には「フリーメイソンリー」という名前で、フラタニティー(友愛結社)と呼ばれるボランティア活動をする組織である。各地にある拠点はロッジと呼ばれ、メンバーは定期的にロッジに集まり、儀式・食事会・討論・慈善活動などを行なっている。

 では何故フリーメイソンが怪しげな結社扱いされているのか? その歴史を見てみる。その起源はスコットランドの石工(メーソン)の組合だといわれており、彼らは仕事の技術を守るため暗号を駆使していたといわれている。その流れがイングランドに伝わり、ある種の暗号や儀式を受け入れるなら、身分や思想などは一切問わない、という自由な会として1700年代前半に新生フリーメイソンが誕生した。当時はカソリックプロテスタント宗教戦争など血なまぐさいことが多く、そういうしがらみから自由にやろう、というフリーメイソンの考えは大ヒットしてヨーロッパ中に広まった。しかし設定した儀式が「何か怪しげ」と見られる理由にもなった。

 それ以降も、「フリーメイソンは悪魔を崇拝している」「裏切り者は死の制裁を課す」というデマ本が次々と登場、すぐに否定されても悪いイメージは抜けなかった。そして決定打が20世紀初頭に現われた有名な偽書「シオン賢者の議定書(通称プロトコル)」である。この本はユダヤ人がフリーメイソンを使って世界支配を企んでいる、という内容で、偽書だとばれているのにそれでも世界中で大ヒットしてしまった。あまつさえヒトラープロトコルを根拠にユダヤ人を大虐殺したのである。



 ここでフリーメイソンの陰謀説を検証してみる。「ワシントンD.C.の道路はフリーメイソンのマーク説」は、そもそも道路は繋がっておらずマークになっていないし、それ以前の話で「何故わざわざ道路に自分たちのマークを書くの?」という話である。また一ドル札の「三角形に目」も、キリスト教の三位一体を表す記号として古くから使われており、別にフリーメイソンのマークでもなんでもない。グラバー邸のマークは元々別の外国人の家にあったものを運んできただけだし、英語の出来なかった竜馬がフリーメイソンに入っても意味が無い。

 フリーメイソンは統一された組織では無く、世界各地のロッジでそれぞれ独自の方針で活動している。どこかに本部があるわけではない。以前アメリカで国内のロッジをまとめるという話があったが上手く行かなかったという。アメリカですらまとめられない組織が、世界征服なんかできるのか? と考えれば、そもそも世界統一云々という陰謀論の方が無理があると分かる。




栗山千明とゲスト(パトリック・ハ−ラン,辻隆太朗)とのトーク#2

 千円札をすかしてみると、野口英世の目が富士山の絵の中に重なる。これは「三角形の中に目」、つまり日本の経済はフリーメイソンに牛耳られているんだよ! と主張すれば、これがいかに馬鹿馬鹿しいかわかってもらえるはず。大体、陰謀をたくらむなら、何故人前にマークをさらすの? そんなことをしても何の意味も無い。と考えれば、フリーメイソン陰謀説がいかに無理がある話かという事である。

 陰謀説信者は、世の中に起きる事は偶然とかはありえず、全て意味があってつながっていると考えている。そしてそんな意味のある世界がこんなに悪いのは誰かの陰謀なんだよ! という考えになってしまう。陰謀説は「悪いのはユダヤ人。俺たちは正義」と安直に敵味方を分け、相手を弾圧する。多様性を許さない。そんなのは危険ですね。


感想

 さすがに9.11の話題は茶化しは無しで真面目に構成。ビルが崩れる画像で、文字で「これから崩れます」とあらかじめ警告したりするのは、視聴者からの苦情対策なのかな、とちょっと複雑な気分に。

 後半のフリーメイソン編は「秘密結社なんかじゃないですから」と徹底的に説明。以前にテレビ東京の番組でフリーメイソンの日本総本部に乗り込む話がありましたが http://irorio.jp/natsukirio/20140527/138332/ 、あれの強化版という感じで、陰謀説を完全否定、ボランティアなどを行なう組織だと繰り返し説明しています。ためになったね。


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出演者 栗山千明 (くりやまちあき)

テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”

語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fate/Zero』(言峰綺礼)、『劇場版 空の境界』(荒耶宗蓮)など

http://www4.nhk.or.jp/darkside/26/