感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第50話(シーズン2 第22話)「心霊現象で追いつめろ!」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第50話 心霊現象で追いつめろ! The Killing (シーズン2・第22話)

 

あらすじ

殺人請負集団を組織する男の犯罪を立証するため、シナモン(バーバラ・ベイン)とローラン(マーティン・ランドー)が被害者の1人を幽霊として蘇らせる。


殺人請負人を組織するゴードンは、決して自らは手を汚さず、死体も処分させ証拠も残さないため、殺人を立件することも出来ない…。IMFは彼の犯罪を立証するため、シナモン(バーバラ・ベイン)とフェルプス(ピーター・グレイブス)が夫婦となり、ゴードンに夫殺しを持ちかける。断ったゴードンを殺害に巻き込むと、大勢の協力者の力を借り心霊現象を演出、ゴードンを追い込んでいく…。

※DVD版のタイトルは「スリラー作戦」。


【今回の指令】
 バート・ゴードンという男は、殺人請負組織のボスであり、金のためであればどんな相手でも殺害させている。しかしゴードンが直接手を下すわけではないので、司法がゴードンに手を出すことができないでいる。IMFはゴードンが殺人に関与していることを立証し、組織の活動を封じなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:名前なしの男性一名(送風機の操作担当)


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 IMFは、フェルプスとシナモンが夫婦、ローランがフェルプスの兄、という設定で、ゴードン宅の近所に引っ越し、パーティーにゴードンを招待する。その間に、バーニーとウィリーはゴードン宅に侵入し、様々な仕掛けを仕込む。

 フェルプスはゴードンの前で、アル中気味で夫婦仲が破たんしている夫の演技をする。食事の最中、食器が突然揺れだし、ローランはゴードンに、自分たちには幼いころに死んだ弟がいて、その霊が時々騒ぎを起こす、と説明する。フェルプスとローランが退席した後、シナモンはゴードンに対して、あなたの正体を知っているので、邪魔な夫を殺してくれと頼むが、ゴードンは邪険に突き放す。

 翌日、シナモンはゴードン宅に駆け込み、昨晩の様子を夫に見られていたと訴える。さらにそこにフェルプスが現れ、ゴードンに浮気の相手だと言って掴みかかるが、ゴードンの部下カーニーにナイフで刺される。実はフェルプスの服は防弾防刃で血のりが出る特別仕様だが、ゴードンたちはフェルプスが死んだと思い込む。カーニーは焼却炉にフェルプスの「死体」を放り込み火をつけるが、フェルプスは別の扉からすぐに脱出する。

 夜。シナモンが取り乱してゴードン宅に現れ、死んだはずの夫が戻ってきたという。さらにローランも現れ、この家に弟(フェルプス)がいるのを感じる、とダメ押しする。IMFチームは停電を起こしたり、送風機で嵐を演出したり、あらかじめ屋敷に仕込んでいた仕掛けでポルターガイストを演出したりして、ゴードンたちに心霊現象を信じ込ませる。さらにカーニーが一人になったところを襲って気絶させ、フェルプスの服を着せる。

 フェルプスは隠しマイクで、ゴードンに、自分を殺した人間に復讐してやる、と呼びかける。直後、ゴードンの前にフェルプスの服を着た男が見えたので、ゴードンはライフルで発砲する。しかししばらくすると、「フェルプス」の顔が溶け、その下からカーニーの顔が現れる。フェルプスは警察を呼び、自分たちは設備を持って車で撤収するシーンで〆。


監督: リー・H・カッツィン
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は〇。

 IMFチームが心霊現象を演出してターゲットを追い詰めるという愉快系のエピソード。途中まではかなり退屈だったが、オチが面白かったので、評価としてはまずまずというところだった。


 本作の脚本担当のウッドフィールド&バルターのコンビは、過去にも「ニセの大地震」や「ニセの核戦争」でターゲットを騙す話を書いており、この手の突拍子もない系の作戦は十八番という感じだが、今回は途中まではあまり盛り上がらない。

 IMFチームが巨大送風機を家の近くに運び込み、強風を吹かせると同時に稲光を演出する発光装置と録音を組み合わせて大嵐が来ているように見せかけたり、家のあちこちに仕掛けた装置でポルターガイストや空中に浮かぶフェルプスの顔など恐怖現象を起こしてみせるなど、シチュエーションとしては面白いのだが、話は淡々としており、ストーリー自体の面白さにはつながっていない。そしてゴードンたちは、IMFチームが一生懸命起こしているオカルト現象に遭遇しても不審がるだけで、そのような状況が延々と続くだけなので、今一つ展開にのめり込めないままラス前まで行ってしまう。

 しかし、最後の最後、ゴードンが目の前に現れたフェルプスに向けてライフルを乱射すると、しばらくしてからその「フェルプス」の顔が溶けて、部下のカーニーの顔になってしまい、唖然とする。さらに、それを見計らってフェルプスが流れるように警察を呼び、次の瞬間いつものテーマソングが鳴り響きIMFが撤退を開始するとパトカーのサイレンが近づいてくる、という展開になった時点で、今回の作戦でのIMFの最終的な狙いが判明してつい笑ってしまった。

 つまり、IMFはゴードンの殺人の証拠が無いなら強引に殺人犯に仕立て上げてしまう、という方針だったわけで、IMFのやり口は結構えげつないが、ゴードンは殺人組織のボスだからこのくらいの事を仕掛けても特に後ろめたさは感じない結末であった。どうせ逮捕されれば、今回の一件はともかく、過去の殺人教唆などで余罪がいくらでも出て来るであろうから、IMFはそれを見越しての作戦だったのかもしれない。

 ところで、終盤にIMFチームが送風機を操作している場面で、全く見知らぬ男が一人現れて送風機の首振りを操作していた。あれはいったい誰だったのか、臨時の助っ人に応援に来てもらっていたのか、とか、ちょっと気になる場面ではあった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で建物に乗り付け、建物そばのタバコの自動販売機にコインを入れ、「EMPTY(売り切れ)」と書いてあるボタンを押すと、取り出し口にタバコの箱サイズの黒い四角い箱が落ちてくる。その箱は小型のオープンリール式テープレコーダーで、さらにそれに写真入り封筒が貼り付けてある。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。最後「なおこの録音は直ちに処分すること」といい、フェルプスがそばのドラム缶にレコーダーを放り込むと、ドラム缶の中から白煙が立ち上る。(※第36話(シーズン2の第8話)「ニセ札製造マシン」のシーンの使いまわし)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。最近強力に実施している対暗黒社会政策に関連してわかったことであるが、その男バート・ゴードンは、かつての殺人請負業とまったく同じ組織を持っている。ゴードンは、金のためとあれば何者であろうと正確無比にこれを抹殺し、犠牲者は常に行方不明ということになって、証拠も残らず死体も残らない。この殺人組織を操るのがゴードンであることは明瞭であるが、彼が直接手を下すわけではないので、我々はこれを押さえることができない。

 そこで君の使命だが、ゴードンが殺人者であることを立証し、殺しを封じることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は直ちに処分すること。成功を祈る。


シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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