感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第106話(シーズン5 第2話)「薬物汚染を食い止めろ!」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第106話 薬物汚染を食い止めろ! Flip Side (シーズン5 第2話)

 

あらすじ

新たにIMFに加入した女スパイ、ダナ(レスリー・アン・ウォーレン)。映画スターの娘に扮して麻薬製造者とそのディーラーたちを魅了し、罠にかける。


新たにIMFに加入した女スパイ、ダナ(レスリー・アン・ウォーレン)。映画スターの娘に扮して、麻薬製造者とそのディーラーたちを魅了し、罠にかける。一方バーニー(グレッグ・モリス)は、危険薬物の流通ルートを追う。

※DVD版のタイトルは「狂気のルート」。


【今回の指令】
 アメリカ太平洋岸では、メル・ブラッケン(Mel Bracken)という男が違法薬物の販売を一手に取り仕切っている。ブラッケンは国外の業者マクシミリアン(Diego Maximillian)から薬を調達しており、そのマクシミリアンはアメリカ国内の製薬会社C・W・キャメロン(C.W. Cameron)から薬を合法的に輸入して、ブラッケンに送っている。IMFはこの三者の犯罪を暴き、薬品ルートを粉砕しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ・ロスアンゼルス/メキシコ


【作戦】
 フェルプスデンバーの犯罪組織の代理人を装い、ブラッケンに大口の麻薬買い付け話を持ち掛ける。

 ダナとパリスはメキシコに向かい、ダナはマクシミリアンの旧知の映画スターの娘を装い接近する。そしてマクシミリアンと商談をしに来たキャメロンに近づき、次にロサンゼルスに行くので向こうで会いたいと声をかける。

 バーニーはメキシコに送られるキャメロンの薬に発信器をつけて尾行し、マクシミリアンがメキシコで薬をピーナッツ用の缶に詰め込んでアメリカに送り返していることを突き止める。そして薬を積んだトラックをジャックしてしまう。

 ダナはロスアンゼルスでキャメロンとこっそり逢引するが、薬を大量に飲んだ挙句急死した演技をする。そこにダナの相棒役のパリスが現れ、警察に電話するというので、キャメロンは大慌てでばれないように死体をどこかに捨ててくれと頼む。

 やがてバーニーがマクシミリアンの部下役で薬を積んだトラックを運転してブラッケンの元に到着するが、荷物は本当にただのピーナッツで薬は全く積んでいなかった。ブラッケンは激怒するが、フェルプスはブラッケンに、6時間以内に前金を返すか薬を用意しないと殺すと脅す。

 ブラッケンは慌ててマクシミリアンを探すが、マクシミリアンはとっくにメキシコで逮捕されていて捕まらない。ブラッケンはダナがマクシミリアンの知り合いだと思い出し、連れて来ようとして、その過程でロスアンゼルスに来ていたキャメロンと出会う。

 ブラッケンはキャメロンに直接自分のところに薬を送るように交渉し、なんとか6時間以内に薬を手に入れて、フェルプスに渡す。しかしその現場はバーニーがカメラで撮影しており、さらにそこに警察が踏み込んできてブラッケンもキャメロンも逮捕される。


監督: ジョン・リュウェリン・モクシー
脚本: ジャクソン・ギリス


感想

 評価は○。

 まあ楽しめないことは無かったが、随分中身の薄いぼんやりしたシナリオで、過去のシーズンのような緻密な作戦という物はすっかり影をひそめてしまい、レベル低下が甚だしいという感じだった。

 今回の話は、基本設定がイマイチ理解できないのだが、フェルプスたちの台詞を聞いていると、どうも当時のアメリカは麻薬を生産することや国外へ輸出することは合法だったらしい。今回のエピソードの三悪人は、それを利用して、一旦麻薬をメキシコに合法的に輸出し、メキシコからこっそりアメリカに送り返してアメリカ国内で売りさばく、という悪事を実施していたようである。

 しかしこんなちんけな犯罪は麻薬Gメンにでも任せておくべきで、IMFがわざわざ出動する話でもないと思うのだが……

 今回は、ダナがマクシミリアンの昔の恋人で映画女優だった人物の娘という設定で登場するが、マクシミリアンは素通りして、マクシミリアンの仕事相手のキャメロンに接近する。ということで、なにか無駄に遠回りだというか、最初からキャメロンにアプローチした方が効率的に思え、どうもダナのキャラ設定の意味に疑問を感じざるを得ない。

 作戦自体もあまり深みは無く、そもそもバーニーが作戦中にフェルプスに「こういう案はどうだい、ジム?」とか提案し、フェルプスもそれを聞いて「それはいいアイデアだ」とか言っていて、結構行き当たりばったりのノリでミッションをこなしているようだった。昔の、隅から隅まできっちり計画して行動していたIMFはどこへ行ってしまったのかと嘆きたくなった。

 結局、まあ悪くはなかったが、このシーズンのエピソードは、かつての「スパイ大作戦」のノリとは程遠い様である。

 このエピソードのサブタイトルの原題「Flip Side」とは「レコードの裏面」という意味だそうだが、今回の話とどういう関係が有るのか全く理解できない。


 ちなみに今回、テープの指令は「このテープは自動的に消滅する」とも言わず、また「直ちに破棄してくれたまえ」とも指示しない。これは番組始まって以来初のことであり、このままフェルプスがテープを持って帰っても問題ないという事になり、謎の上司としてはとんだ手抜かりというところであろう。もっとも、フェルプスはいつもの癖なのかきちんとテープを燃やしてしまうので、大事に至らなくて何よりであった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが屋外公会堂の前で、何かの入れ物(大きな皿的な何か)の中に隠されていた袋を取り出し、中から大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「成功を祈る」と言ってそのまま終わってしまい、フェルプスはテープを近くの焚火の中に放り込んで処分する。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。現在わが合衆国では、危険な薬品のために毎年何千の、それも主に若い命が奪われている。これら危険な薬品を太平洋岸で一手にさばいているのが、そのメル・ブラッケンで、彼はその薬の供給を国外の業者マクシミリアンからあおいでおり、マクシミリアンはその薬をわが国の薬品メーカーC・W・キャメロンから合法的に輸入している。

 そこで君の使命だが、この薬品ルートを粉砕するとともに、それを動かしている以上三人を白日の下にさらけ出すことにある。成功を祈る。
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com