ゴミ:「ペリー・ローダン」とは

 よくよく考えると自分のサイトに「ローダンって何」という基本事項が抜けていたので、まとめました。週末にはサイトも更新しようっと。

 「ペリー・ローダン」とはSF小説「宇宙英雄ローダン・シリーズ」の主人公のことです。ローダン・シリーズは、ドイツで1961年に週刊ペースでスタートしたSF小説シリーズですが、実は未だに連載は続いており(2007年12月時点)、既に2400話を超えているのに、それでも全く終る気配も見せないまま大好評連載中! という驚くべき長寿シリーズです。おそらく「SF」というジャンルに限れば、世界最長の連載小説だと思われます。

 さて、その内容は・・・

 『1971年6月、アメリカ人宇宙飛行士「ペリー・ローダン」の指揮する月ロケットが人類初の月面着陸に成功した。ところが、月面には地球人より数万年進んだ文明を持つ異星人「アルコン人」の宇宙船が不時着していた。ローダンはアルコン人との出会いにより「テラナー(地球人)」という概念に目覚め、以後、アメリカ人ではなく、一人のテラナーとして、地球を一つにまとめようと戦いを開始する。

 その後、ローダンは大冒険の末、伝説の「永遠の生命の星」を発見して、歳を取らない「相対的不死者」となり、テラナーが宇宙で巨大な勢力に成長していく中で、信頼する仲間達に助けられながら、指導者として人々を率いてゆく・・・』


 というのが「序盤」の展開です(もっともこの部分だけでゆうに50話分は有ります)。この後、物語はローダン個人の冒険ストーリーから段々と「人類国家一大興亡史」へと変化してゆき、舞台は銀河系を飛びだして別の島宇宙へと拡大し、無数の種族との遭遇や戦いが描かれ、と果てしなくスケールを拡大してゆきます。殆どあらゆるSFの要素を取り入れたストーリー、千年以上に渡る人類国家の興亡史、巨大星間帝国同士の対決、無数の島宇宙を股にかけた大冒険、等、様々な要素が読者をひきつけてやまないのでしょう。
 このような巨大な物語の週刊連載は、勿論一人が執筆できる速度でも量でもなく、複数の作家による「作家チーム」によってリレー形式で執筆されています。チームはおそよ4〜6人で構成され、まずチームリーダーの「プロット作家」が大まかな粗筋を考え、続いてチームの作家たちがそれぞれの担当部分を膨らませて一つの物語に仕上げる、というスタイルで書かれています。

 45年以上の歴史でチームに参加した作家数はのべ20人を超えているそうですが、特に取り上げるべきはシリーズの基礎を固めた「K・H(カール・ヘルベルト)・シェール」と「クラーク・ダールトン」の二人です。二人は1961年に出版社から「50回くらい連載できるSFシリーズ」を企画するように言われ、色々考えた末にローダン・シリーズの基本設定を作り上げました。さらにシェールは初代プロット作家に就任し、記念すべき第一話の執筆も担当しました。そして、この二人が整えた設定を土台に、多くの作家がチームに参加し、50話程度で終るはずだった物語は、45年を超えて続く一大シリーズとなり現在にいたっているのです。


 ローダン・シリーズの日本語版は、1971年に早川書房のハヤカワ文庫SFで発行がスタートしました。ドイツ版の2話を一冊にまとめる形で発売され、最初から年4〜6冊というハイペースで発売されていましたが、いつしか年10冊(2月と6月以外の月)発売が定着し、さらに2004年からは読者長年の悲願だった年12冊(毎月発売)体制となりました。発行巻数は2007年11月時点で340巻に到達しており、本国版同様大人気で継続中です。


 日本語版の翻訳は、当初はドイツ文学の翻訳で有名な「松谷健二」氏が担当されました。氏は1990年代に入るまでたった一人でこの膨大なシリーズを翻訳しつづけ、独自の味わいの後書き(正確には「あとがきにかえて」)は、ローダンシリーズとは全く無関係の内容にも関わらずファンに親しまれました。しかし松谷先生は1998年にお亡くなりになり、以後、日本語版の翻訳もドイツの本家シリーズ同様、複数の翻訳者によるチーム体制へと移行しています。