感想:映画「トランスフォーマー」(2007年)


 本日6/20(土)に地上波放送した映画。


■あらすじ

 SFロボットアクション映画。

 中東にあるアメリカ軍基地が、ヘリコプターに偽装した謎の敵の襲撃を受け壊滅した。未知の敵は、軍のコンピューターに侵入し、何かの機密を入手しようとしていた。一方、アメリカの平凡な学生サムは、念願の車を手に入れるが、その車が勝手に動いて人の形に変形するシーンを目撃し・・・


■感想

 40代くらいのアニメオタクならば懐かしくて仕方ない「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」の実写映画です。

 さて、評価ですが、ズバリ「特殊撮影=100点」「ストーリー=5点」(どちらも100点満点で)。

 作品の売りである「各種機械から人型ロボットへの変形」はとにかく凄いの一言で、乗用車やトラック、戦車や戦闘機が、それこそ「グジャグジャグジャ」という感じで、妙に歪みながら、最終的にごちゃごちゃした人の形に変化していくシーンは、ホントよくもここまでやったもんだ、と感心しました。また、変形した後のロボットの質感もたいしたものだと思います。

 しかし、このCG技術を過剰に誇示したかったのか、変形したロボットたちが、とにかくクルクルクルクル回りながら、ジャンプしたり弾を回避したり取っ組み合いをしたりするので、正直画面上で何が起こっているのか、ひじょーに見辛かったです(なんか見ていて酔いそうでした)。もう少し抑えたバトルシーンにしてくれればよかったのに、と思いますね。

 お話の方はもうサッパリ・・・、序盤いきなり軍事基地がヘリコプター型トランスフォーマーに蹂躙されたり、軍が必死で謎の信号を解明しようとする展開は良いのですが・・・、サムとその周りの話が・・・

 主人公サムは「えなりかずき」似(に思えた)のしまりの無い顔で、ずうずうしくて卑屈で口先だけでそれで性欲は人並みという共感のしようも無いキャラ。サム側のストーリーは、サムが分不相応にもクラスの高嶺の花的美女ヒロインと仲良くなろうとしてあがいていると、車が勝手に動いてこりゃ困った、的な話が長々と続きます。サムの性欲まるだしの安い青春ドラマや、なかなか正体を現さないバンブルビー(サムの車が変形するロボット)、青春物お約束のジャイアンみたいな鼻持ちならないマッチョクラスメートのご登場、等、もう見ていてイライラ。

 中盤以降で、サムの持つあるアイテムを正義と悪のトランスフォーマーたちが狙っている事が判明します。「平凡なサムが全地球的に重要なアイテムをたまたま持っている」という設定ですが、アイテムの設定がこじつけ臭い。また「友達の犯罪歴を消しておいてよね」などと言い放つ主人公の身勝手ぶりもなんとなくムッと来ました。

 後半はようやく主要キャラが集結し、正義と悪のトランスフォーマーたちの一大決戦になりますが、サムがもうただの通りすがり的なキャラなのに、無理やり主役的なプッシュを受けている姿に納得できない物が・・・(あと、権力を振り回して嫌味を言うセクター7の職員もイヤすぎ)。

 この様にサムに感情移入できなかった事もありますが、その他キャラの展開も合わせて考えてみて、ストーリーがイマイチ整理しきれていないという印象を持ちました(正直サムの話とか、情報分析係がFBIに捕まる話とか、いらないんじゃない?)。おかげで、終盤の最終決戦は、クライマックスのはずが、「よくわかんないけど、人間とトランスフォーマーたちが撃ち合いしているよ」という感じで、(前述の意味なく回転しまくるロボットたちの動きなどで)見ていてひたすら疲れただけでした。結末も意味が良く解らんし(何故キューブを胸に突っ込んだら死ぬの? サムは何故メガトロンにもその攻撃が効くと解っていたの? etc)

 個人的な感覚ですが、「エイリアンの攻撃による世界的な危機」というハリウッド風侵略映画風味と、「平凡なボクのところに宇宙からスーパーロボットが来てくれたよ! ボクは地球の平和を守るために頑張るぜ!」的日本ロボットアニメのテイストをくっつけようとして見事に破綻しているように思えました。「悪玉トランスフォーマー VS 人間&善玉トランスフォーマー」という構図なら、軍関係の人間を主役にしてサクサク進めた方が面白かったと思いますけどね。サムなんぞ、「善玉トランスフォーマーの誰かと心を通わせた」とか「彼を外すとコンボイたちがすねる」とか、そういう重要な役どころじゃないんだもん。

 メガトロンの「”また”失敗したな、スタースクリーム」という台詞だけはウケましたが、じゃあ「ひー、お許しください、メガトロンさまぁ」とかいう台詞で切り返して欲しかった。

 2作目が作られるくらいですから凄い作品だと思っていましたが、この程度かぁ。「トランスフォーマー」ファンとしては言語道断レベルですし、ただのSFバトルもの好きという立場からしても、整理しきれていない長いだけのシナリオには×を付けますね。

 結局トランスフォームシーンが売りだけのCG映画でした。