感想:ウォーゲーム雑誌「Game Journal(ゲームジャーナル) No.54」『アレクサンドロスの遺産』(2015年3月1日発売)

ゲームジャーナル54号 アレクサンドロスの遺産

 発売日:2015年3月1日(3,6,9,12月の1日発売)

ゲームジャーナル公式サイト
http://www.gamejournal.net/

■今号のページ
http://www.gamejournal.net/item_list/gj_054/index.html


■付録ゲーム

アレクサンドロスの遺産(ゲームデザイン:越田一郎)

アレクサンドロスの遺産」は、先年惜しまれながら他界された越田一郎氏の作品で、1983年に旧アドテクノスからゲームブックシリーズの第二弾として出版された、アレクサンダー大王死後の後継者(ディアドコイ)の戦いを描いた、戦略レベルの古代戦マルチプレーウォーゲームです。

あなたは、偉大なアレクサンダー大王の後継者となって、ヘレニズム世界に覇をとなえることができるでしょうか?

 初期アドテクノスのSGB(シミュレーションゲームブック)シリーズの復刻、というか改定新版。



□特集:アレクサンドロスの遺産

 ヒストリカルノート、松田大秀氏のリプレイ漫画、デザイナーズノート、ディベロップノート、など。ヒストリカルノートはアドテクノス版の「本」をそのまま復刻したのか、故・越田一郎氏の手による歴史解説がなんと合計21ページ! こんな長いヒストリカルノートを今まで読んだことがありません。

 ティベロップ担当のふ〜ら〜中村氏によれば、今回の出版にあたり、元ゲームで上手く機能していなかった部分を手直ししたり、新規の戦闘ルールを追加したり、などを行なったそうで、「復刻」ではなく「第二版」というゲームとなっているようです。このあたりは吉と出るか凶と出るか……(「ヒトラー帝国の興亡」とか「ドイツ装甲師団長2」とか、復活時の手直しは色々と言われることが多いようですし……)


 それにしても日本のウォーゲーム黎明期(と言ってもいいはず)の1983年に、こんな超ドマイナーなテーマのゲーム(それでいて難易度は5段階(5が最高)の4)を叩きつけていたとは、今更ながらアドテクノスのマニアックさには震撼させられます。



□その他

[連載]陸海相克・大東亜戦争(近藤友樹)

 連載2回目。GJで鋭意開発中の太平洋戦争キャンペーンゲーム「大東亜戦争」(2015年8月15日発売予定)の発売前レポート。このゲームのマップは陸地がポイント・トゥ・ポイント方式なのですが、中国大陸にポイントが多すぎてもうなにがなんだか訳がわからない的有様に……、素直に大きめのヘックスを敷き詰めれば良いのでは?と思った。



[連載]絶版ゲーム再生Project RENEWAL(錦大帝)

 今回のお題は「バンダイ ifシリーズ 機動戦士ガンダム」(バンダイ)。ツクダゲームの一連のガンダム物の影で忘れられていますが、バンダイガンダムゲームを出していたのです……、というか今回初めて知りましたわ。そりゃまあ、ヤマトゲームとかキャプテンハーロックゲームとかを出していたなら、ガンダムゲームも有って当然ですわなぁ。それにしてもこの企画、「今に蘇ってほしいゲーム」を回顧する企画だと思っていたのですが、これはネタというか冗談ぽい感じ。



[連載]B級SFゲーム分科会出張所(いしだたかし)

 お題は「アフター・ザ・ホロコースト」(SPI)。北アメリカで、核戦争後の荒廃した世界を復興させるマルチ。なんとなく「未来少年コナン」を連想しました。シムシティ的にコンピューター相手に一人で淡々とプレイするならともかく、四人も集まって延々と「互いに争うでもなく、ひたすら自分の国を復興させていくゲーム」が娯楽として成立したのだろうか、と思った……、さすがSPI。


□次号予告

 No.55(2015年6月1日発売予定)の特集/付録ゲームは「関東制圧 (戦国群雄伝シリーズ2作目)」。コピーに「早くも登場!」と書かれていますが、本当に早いよ! 一作目「信玄上洛」がついたのが52号(2014年9月1日発売)ですよ? 二作目は一年半くらい空けるものと思っていたのに……、このテンポで付けられたら、GJは戦国ゲームの合間に何か別のジャンルを発売する的な戦国まみれ的な雑誌になってしまふ……