NHK番組「世界を変える魔法! アルゴリズミ子研究所」(全3回)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)
■世界を変える魔法! アルゴリズミ子研究所 - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P3285/
NHK Eテレでの視聴です(放送日:2015年7月16日(木)、23日(木)、30日(木) の 23:30〜23:55)。
■番組概要
>話題の最新機器の意外な“しかけ”とは?コンピューター世界の女神、アルゴリズミ子(橋本環奈)が出す難問によゐこ有野晋哉が挑戦。解明に挑む。
2014年9月30日(火) 23:00〜23:45に放送した番組の続編。コンピューターを動かすための仕組み「アルゴリズム」を解説するバラエティ番組。
(※2014年版感想→ http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20141001/p1)
第1回 掃除ロボット編
■内容
「掃除ロボット編」
>スマホ、掃除ロボットにカーナビまで続々と登場する最新機器の意外な“しかけ”とは?そこには世界を動かす魔法=アルゴリズムの存在があった。開発者たちの「目からウロコの解決策」を見破れるか?コンピューター世界の女神、アルゴリズミ子(橋本環奈)が出題する難問に、よゐこ有野晋哉が挑戦。アルゴリズムの解明に挑む。子どもから大人まで一緒になって頭をひねり「考える力」が鍛えられるEテレ発、知的エンターテインメント
掃除ロボットを動かして部屋を綺麗に掃除させるための3つの命令を考える。それは「前に進む」→「ぶつかったら停止する」→「?」。さて3番目に入る命令は以下の内のどれでしょうか?
・雑巾がけする(=180度向きを変える)
・渦巻きで動く(=90度右折する)
・デタラメに方向転換する)
意外な事に答えは「デタラメに方向転換」。きっちり90度や180度曲がると、どうしても部屋の中で掃除しきれないところが出てくる。デタラメに動いていると、時間はかかるがちゃんと残さず掃除できる。こういう「決まった規則は無く、毎回違う事をする」アルゴリズムを「ランダムアルゴリズム」という。
掃除ロボットはどうやって「掃除が終わった」と解るのか? 答えは掃除時間。あらかじめ色々な家でテストして「これくらいの時間かければ掃除が終わる」という事をはじき出して決めてある。
ランダムとか無駄な事はせず、掃除ロボットにカメラをつけて「あそこにゴミがあるから掃除しにいく」というように動かす事はできないのか? 出来なくは無いがカメラの代金がプラスされ高価になる。家庭向けのお値段では無くなってしまう。
実は掃除ロボットは元々は「地雷探査ロボット」技術が元になっている。目に見えない地雷を探査するために、地雷をどうやって探すか、という技術から掃除ロボットのアルゴリズムが作られた。最初は地雷探査ロボットは周囲の状況を調べて判断して動く、というものだったが、ブルックスという人はもっとシンプルに「ぶつかったら方向転換」とかだけで動くロボットを作り、それの方がよほど上手く動いたという。正確さより場当たりで行動したほうが良かったのである。
ランダムアルゴリズムとは要するにくじ引きで何が出るか解らないような感じ。それが以下のようなところで使われている。
1)コンピューターRPGのモンスターの出現頻度。1歩進めば出るか、10歩歩いてようやく出るか、はランダムに決められている。
2)ネジの検査。作ったネジ総てを調べるのでは無く、ランダムにサンプルを選び出して検査している。
3)オバマ大統領の選挙。公式WEBサイトの画面を24種類も作ってランダムに表示させ、人気の有る物を探ったという。
■感想
バラエティ風味の科学番組。《天使過ぎるアイドル》橋本環奈と、お笑い芸人の有野晋哉のコンビで、アルゴリズムについて教えてくれます。
しかし作りがすごい。2014年放送分を見ているのが前提というか「承前」というか、もう「アルゴリズムとは何?」という説明をすっ飛ばし、いきなり核心に入っていってます。まあ今回から見た人が置いてきぼりということも有りませんが、2014年版が親切丁寧に「アルゴリズムって?」みたいなところから入ったのと比べるとね。
とはいえ、短いながらに掃除ロボットの行動原理、そのご先祖の事、ランダムアルゴリズムとはなんぞや、が説明されて、面白いいい番組でした。