感想:アニメ「ヘヴィーオブジェクト」第2話:中身スッカスカ(笑)の似非戦記アニメ

 秋アニメ「ヘヴィーオブジェクト」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてあります。ネタバレにご注意ください)


ヘヴィーオブジェクト (電撃文庫)

ヘヴィーオブジェクト (電撃文庫)


 BS11での視聴です。


第2話 ガリバーを縛る雑兵たち アラスカ極寒環境雪上戦ⅠI

■あらすじ

 クウェンサー側「正統王国」側のオブジェクト「ベイビーマグナム」は、敵「信心組織」のオブジェクト「ウォーターストライダー」に完敗し破壊された。しかもウォーターストライダーは、戦場の不文律を無視し、生身の兵士の虐殺を始める。クウェンサー、ヘイヴィア、ミリンダの三人は、生身で敵オブジェクトを破壊することを決意する。

脚本 吉野弘幸


■感想

●話の内容が薄すぎる

 1,2話を見たのですが、あまりに内容が無さ過ぎて失笑レベル。本当に呆れるくらいに無。結局30分×2の時間をかけて描かれたことは、「味方のオブジェクトが敗北→ならば生身でも敵オブジェクトを破壊してやる」というそれだけでした。薄味にも程があります。


 またキャラクター描写の無さも致命的なレベルに達しています。2話かけても、「クウェンサー=主人公気質」「ヘイヴィア=相棒」「ミリンダパイロット」という、物語上の記号以上のものはまるで描かれていません。


 今までに描かれたキャラクター性がほぼゼロなので、今回のラストでクウェンサーが「この三人でオブジェクトを倒してやるぜ!」と決意するシーンも、視聴者サイドには何一つ響かないんですよね。今後への期待も興奮も無く、白けた感覚のみ。スタッフの使うプロット一覧に「2話:ラスト:三人が敵オブジェクトへの攻撃を決意する」と書いてあるのが透けて見えるようです。


 このアニメの話の盛り上がりの無さは誰の責任なのでしょうか? 脚本の吉野弘幸先生? それとも鎌池和馬先生の原作の時点でもう手遅れ? どっちにしてもペケはペケですが。



●オブジェクトの一騎打ちの無理さ

 また、話がつまらない、という話以前の問題として、「戦争がオブジェクトの一騎打ちだけになっている世界」という設定が綻びだらけで、全く話になりません。


 1話目冒頭で、オブジェクトは核爆発にも耐えられる無敵兵器と描写されていましたが、今回ベイビーマグナムは敵のプラズマ砲で装甲をぶち抜かれて破壊されました。つまりもうオブジェクトは不壊の究極兵器ではないわけですよ。


 すると、普通の頭の有る兵器開発者なら、こう考えます。オブジェクトを一機建造する代わりに、例えば、「プラズマ砲を一門だけ積み込み、防御は捨てる代わりに速度は通常オブジェクトより遥かに上回る」という、高速移動砲台とでもいう物を複数作ろうと。


 その結果どうなるか? その砲台が複数で一斉に攻撃すればオブジェクト一機と火力は同等で、機動性は上、損害もオブジェクト単位ではなく、砲台単位なので遥かに安く付くはず。防御を捨てるというと非現実的のように聞こえますが、現代の艦船は基本的にそうなっています。太平洋戦争頃までは、装甲を分厚くすれば敵の砲弾は防げましたが、大戦後のミサイルの発達で、分厚い鎧で身を守るという事が非現実的になったのです。そこで開き直って今は艦船の装甲というものはペラペラで、代わりにミサイルが当たらないようにする、という方向に進んでいます。


 という事を考えてみれば、両軍が、大枚はたいて巨大なオブジェクトを作り、西部の決闘よろしくオブジェクトを一機ずつ出して正面から一騎打ちさせる必要は有りません。作品世界の設定は無理筋なのです。


●つまり

 という事を考えてしまったら、もうこのアニメを真面目に見る気が無くなりました。『多少の設定のアラがあっても話の面白さで強引に押し通す』というアニメなら良かったのですが、話もつまらないしなぁ……、


■TVアニメ『ヘヴィーオブジェクト』公式サイト
http://heavyobject.net/