※以下、7月8日放送のドラマ「謎解きLIVE EPISODE2.5 CATSと蘇ったモリアーティ」のネタバレがあります。
NHK 謎解きLIVE 『CATSと蘇ったモリアーティ』 http://www.nhk.or.jp/nazo/
放送 NHK BSプレミアム。
「謎解きLIVE」という視聴者参加推理ドラマがありました……
さる7月8日(土)にNHK BSプレミアムで視聴者参加型推理番組「謎解きLIVE」シリーズの第六弾「EPISODE2.5 CATSと蘇ったモリアーティ」が放送されたのですが、個人的はこれが外れでひどくガッカリしました。
内容が、今までのような王道の推理ドラマではなく、話の進行が変則的でどうにものめりこめなかったんですよね。探偵たちが劇団の主宰する推理イベントに招待されて、と思ったら気が付くと小部屋に監禁されていて、謎の人工知能にデスゲームみたいなものに参加させられて、用意された動画を一々再生して事件の様子を把握していって、事件の真相を言い当てないと殺すと脅されて、とかいう展開がもうまだるっこしくて仕方なかったのです。
さらに途中で「実は今まで証拠として見せていた映像は全て左右逆でした」という事実が解るのも、ドンデン返しのつもりかもしれませんが「なんじゃそりゃ」感覚炸裂だったし、とにかくいちいち小賢しい感が強くて。
実はこの回の原作は、本職の推理作家ではなく、ゲームクリエイターのイシイジロウ氏だったから、氏が個性を出し過ぎてそうなったんだろうなぁと、イライラしつつ理由は見当がついていたのですが……
イシイジロウ氏激白
【インタビュー】『428』イシイジロウの、TVドラマをゲームに変える新挑戦。「謎解きLIVE」最新回の本格ミステリ史における文脈とは?【今週土曜:NHK19時】
http://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/170705
イシイ氏:
でも一言で言うと、僕はこれまでのシリーズが「謎解きゲーム風のドラマ」だったのに対して、「ドラマ風の謎解きゲーム」に変えてみたんです。この枠組みの中で「ゲーム性」を実現するようなやり方があると思って、そのアイディアを神部さんに話したんですよ。まあ「ゲーム性とは何か」というのは難しい話だし、結局は映像メディアでなので、双方向性と言っても、限られた範囲でしか実現していないです。でも、デジタルゲームだって、僕は基本的には映像メディアだと思っています。その中で「ゲームらしさ」の感覚を生み出すノウハウはあって、僕は今回の番組にそれをどんどん投入しています。
はい、だろうと思った。ゲームだったら、ああいう展開もありだと思うんですよ、というかもろにAVGだと思った。ゲームだったら、プレイする側が理解できるまでいくらでもじっくり時間をかけられるから、いくら複雑にしても良いんですよ。
でも映像メディアでああいうやり方は無いと思うのですよねえ。さっきも言いましたが、話の展開が時間をさかのぼったり進んだりとかバタバタしすぎて、見ていて集中力無くしそうでした。また公式サイトに動画を用意したので、それを再生して推理しろ、とかいうのも、ゲームならともかく、時間制限のあるドラマでは無理がありすぎたし。今までのように、さくさくドラマを進めて、映像の隅にこっそり手がかりが用意されていて、それらをつなぎ合わせて推理したら真相にたどり着ける、みたいな手法の方がスマート。
まあ、ああいうやり方を気に入る人もいるかもしれませんけど、私、「ブブキ・ブランキ」の仕事ぷりといい、今回の「謎解きLIVE」のやり方と言い、もうイシイジロウという人の、少なくとも映像メディアの仕事は信用しないことにしました……