【ウォーゲーム】感想:雑誌「ゲームジャーナル No.65」『特集:愛と憎しみの幕末維新/薔薇戦争』

ゲームジャーナル65号 幕末維新始末/薔薇戦争

ゲームジャーナル公式サイト http://www.gamejournal.net/
発売日:2017年12月1日(3,6,9,12月の1日発売)

【※以下ネタバレ】

1.付録ゲーム

 今回は二個入り。

薔薇戦争ゲームデザイン:池田やすたか)

薔薇戦争
http://www.gamejournal.net/item_list/gj_065
「信長包囲戦」「シン・関ヶ原」等の名作を輩出した鬼才、池田やすたか氏デザイン。太平記システムで「ばら戦争」を再現。
あなたはランカスター対ヨークの骨肉の対決を制し、王冠をその手に抱くことができるか?

 内戦テーマならこのシステム、の、お馴染み「太平記システム」で中世イングランドの内戦をゲーム化。ルールブックも4ページとシンプルでハード的には取っつきやすそうです。

 問題(?)は、ほとんどの日本人にはこの時代の歴史にも人物にも全くなじみがなく、「ヨーク公」とか「ヘンリー6世」とか言われても誰が誰やら、という事なのですが(ヘンリーとエドワードが何人もいるし)……

 しかし大丈夫! シェークスピアの「ヘンリー6世」が原作の漫画「薔薇王の葬列」(菅野文)を読めば全部解決します! 現時点でヘンリーが死んでヨーク朝が成立する辺りまで描かれているので、通して読めばばら戦争ももう理解したも同然です。まあ、この漫画を読んだ後は、ありとあらゆるキャラが物凄い美形に刷り込まれてしまうのが難点と言えば難点か?
 

薔薇王の葬列(8)(プリンセス・コミックス)

薔薇王の葬列(8)(プリンセス・コミックス)

 

 ところで過去の薔薇戦争のゲームというと、アバロンヒルの「バラ戦争」しか思い浮かばなかったのですが……

バラ戦争 (King Maker) | 中古 | シミュレーションゲーム | 通販ショップの駿河
https://www.suruga-ya.jp/product/detail/607016149001
アバロンヒル・シミュレーション・ウォーゲームは、歴史上の戦いをゲーム・ボード上に再現したものです。
ゲームプレイヤーの冷静な判断と戦略が勝利の鍵になります。
『Ring Maker -バラ戦争-』は1450年から1490年までイギリス国内での散発的な内戦をシミュレートしたゲームです。
プレイヤーは軍事的・政治的・外交手腕を駆使し、自分の勢力を得るために貴族を表している駒でプレイします。

 
 
 サイフォンもアプリ版で出していたのをコロッと忘れていました。

薔薇戦争-Wars of The Roses-|サイフォン&コマンドが放つ「こまあぷ」シリーズ
http://si-phon.jp/koma/006/
ゲームは、15世紀後半の中世イングランドを舞台にしており、スコットランド南部からフランス北岸までをマップに収めています。このマップの中で、30年以上続いたイングランド最大の内乱「薔薇戦争」を表現しています。

 
 考えてみるとアプリで、このマイナーテーマのゲームを先に作っていたサイフォンてホントに凄いな。



●幕末維新始末(ゲームデザイン:箱庭幕末倶楽部)
 

http://www.gamejournal.net/item_list/gj_065
幕末維新始末
大政奉還の前夜から戊辰戦争に至る幕末の争乱を描く。
あなたは日本の夜明けを迎えることができるか!?

 来年2018年の大河ドラマが幕末維新物「西郷どん」ということで、便乗企画で維新物が登場。どうも調べてみると、2008年にGJに持ち込まれていたゲームをこのほど予備役から呼び戻して投入した模様です。
 
perry-r.hatenablog.com

【ウォーゲーム】GJ65号付録予定の戊辰戦争ゲーム「幕末維新始末」は、つまりこれだった
http://perry-r.hatenablog.com/entry/2017/10/03/213459

 
 ルールブックが8ページだし、難易度は5段階で3だし、と想定していたより難しそうなのにたじろいでいますが、カードドリブンとかマルチとかではないゲームなので、ちと頑張ってソロプレイしてみたいところです。


2.雑誌内容

●特集「特集:愛と憎しみの幕末維新/薔薇戦争

 前半は「愛と憎しみの薔薇戦争」。上田洋一氏のヒストリカルノート、松田大秀氏のリプレイ漫画、を掲載。漫画の中のヘンリー6世は「北斗の拳」のトキ/アミバに激似で、正気の時は聡明な顔立ちなのですが、錯乱するとアミバみたいに目の周りが真っ黒になって、「オレはルパ~ン6世~」とか言い出すのにクソ笑いました(笑) あとヨーク公リチャードはサウザーそっくりです(笑)

 後半は「愛と憎しみの幕末・戊辰戦争」。再度上田洋一氏のヒストリカルノート、プレイヤーズノート、デザイナーズノート、を掲載。意外なことに、デザイナー氏は翔企画の「SS明治維新」を高く評価していて、それに触発されて自分なりの明治維新ゲームを作ってみたと語っています。

 ちなみに「SS明治維新」は、有名な「bqsfgame」さんによれば、

明治維新をソロプレイする2 - bqsfgameの日記
http://d.hatena.ne.jp/bqsfgame/20150517
さすがにこれはどうかと言う気がします。テストプレイ段階では指摘は出なかったのでしょうか?

と高い評価ではないので、ちょっと意外な感じがしました。



●[連載]絶版ゲーム再生Project RENEWAL(錦大帝)

 今回のお題はアドテクノスの「RED SUN BLACK CROSS」。アドテクノス最大のヒット作ではないかと思っている「第二次大戦に勝利したドイツと日本がぶつかる」という仮想戦記系ゲームです。日独の10万トン級戦艦とか実戦配備されている震電とか、夢が広がりまくりのユニットに笑みがこぼれます(笑)

 ちなみに、雑誌の別の場所でもういちどこのタイトルが出て来るのですが、やはり示し合わせての事なのでしょうかね(まあ偶然という事も無かろうけど)。



ゲームジャーナルニュース

 特報として、なんと「RED SUN BLACK CROSS 2」制作開始のお知らせが! 前作の基本デザイン担当だった(多分)高梨俊一先生がデザイナーで、前作の設定面は引き継ぎつつも、システムはバンダイ社の「第二次世界大戦」をベースに作り直してプレイしやすいゲームにするとのこと。

 まあ、完成は2~3年後ということで、まだ構想段階というか何も手を付けていないレベルだと思われますが、「大日本帝国の興亡」みたいに構想だけぶち上げて結局未発表ということにならないないように祈りたいと思います。また、やはり「第二次世界大戦」システムでコマンドマガジンの付録だった「第三帝国の興亡」は、ドイツが強すぎてゲームにならない、みたいな評価もありましたので、そのあたりも十分にテストしておいてほしいところです(偉そう)。



●[連載]Mrことくの過激にレポートするぜ!

 今回のお題はユーロゲーム「テラフォーミング・マーズ」(アークライト)。
 
テラフォーミング・マーズ 完全日本語版
 
 SFゲームですが、ノリはカタンとか農場とかを開拓しているのと一緒みたいです。そらそうよ、ユーロゲームなのだからSPIのSFゲームみたいにSFガジェット満載のゲームのわけが無いのだ。


3.次号予告

 No.66(2018年3月1日発売予定)の特集/付録ゲームは「秀吉怒涛の天下統一!」。ゲーム名はもう少しどうにかならないのかという気がしますが、既に「秀吉」「天下統一」といった辺りは使い古されているので、組み合わせ的にこんなタイトルにするしかないのでしょう……

 内容は、秀吉側と反秀吉側が戦う二人用のカードドリブンもの。まあ「信長最大の危機」とかと同じノリで、秀吉が周囲を包囲する敵に潰されるか、はたまたそれを食い破って勝利するか、というタイプだと思います。
 
 

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ゲームジャーナル内容・感想まとめ

  
薔薇王の葬列(8)(プリンセス・コミックス)