【ウォーゲーム】感想:雑誌「ゲームジャーナル No.64 特集:シン・関ヶ原」

ゲームジャーナル64号 シン・関ヶ原

ゲームジャーナル公式サイト http://www.gamejournal.net/
発売日:2017年9月1日(3,6,9,12月の1日発売)

【※以下ネタバレ】

1.付録ゲーム

シン・関ヶ原ゲームデザイン:池田やすたか)
http://www.gamejournal.net/item_list/gj_064
「信長包囲戦」「本能寺への道」の鬼才、池田やすたか氏、久々の新作。
関ヶ原の合戦ドミニオンライクなデッキ構築システムで再現。
各プレーヤーは策略カードや各大名の参戦カードを購入し味方を増やし、策略を練る。
秀吉没後の天下の覇権を握るのは、家康率いる東軍か?それとも三成を中心とする西軍か?
全ては貴方の采配と冷徹な策略にかかっている。

 テーマは日本ウォーゲーム界の永遠の定番「関ヶ原」で、スケールは戦略級、システムはカードドリブン、というわりとオーソドックスな感じのもの。ただし、「デッキ構築型カードゲーム」の要素もあり(※)、自分が使用できるカードを自分で購入して育てていく必要があります。

 カードには購入のために必要なポイントが定められており、そのポイントを稼ぐためには得点源のエリアを支配する必要があり、得点源を支配する→カードを増やす→得点源を支配する、というサイクルを回す必要があります。

 「カード構築+ウォーゲーム」と言えば「数エーカーの雪」が有名ですが、

数エーカーの雪 日本語説明書付
数エーカーの雪 Mayfair Games

 こちらはルールが4ページとシンプルに仕上がっています。まあ、このシステム、別に関ヶ原でなくても、マルチのファンタジー系国取りゲームとかにでも使えるんじゃないか、みたいな印象も有りますね。

 それにしても、このゲーム名……(笑) 明らかに「シン・ゴジラ」のパクリですが、こういうタイトルを「内輪向けの開発コードネーム」ではなく、堂々と製品名にしてしまうのがGJらしいというか……(苦笑)


※デッキ構築云々は以下のサイトが解りやすいです。

浅く潜れ! -ボードゲーム&趣味のブログ- デッキ構築型ゲームについて
http://asakumogure.blog23.fc2.com/blog-entry-414.html

 

2.雑誌内容

●特集「シン・関ヶ原

 上田洋一氏のヒストリカルノート、松田大秀氏のリプレイ漫画、プレイヤーズノート、など。いつも通りの内容。



●フランスから来た凄い奴 天下統一

 フランスの会社Hexasim社の日本の戦国時代ゲーム3in1「天下統一」のレビュー。「関ヶ原の戦い長久手の戦い・山崎の戦い」の3つのゲーム入りで、漢字は完璧に正確、ゲームの出来も秀逸、と、海外の会社が作った日本史物としては信じられないクオリティとのこと。

 アバロンヒル製の怪しげな日本テーマゲームをさんざん見てきただけに、時代は変わったという感を強くします。



●デザイン討論 スケールの否定はSLGを滅ぼす!

 その昔発売された、ゲームジャーナル32号の付録「関ヶ原大作戦」(デザインは呼拉中村氏)は、ヘクスゲームなのに、場所によってヘクスが表す長さが違い、そのデザイン手法を巡って当時賛否両論だったとのこと。そこで、こういう手法は有りか無しかで大激論。

 否定派はスケールをないがしろにするようなゲームはもはやシミュレーションとは言えず、そんなゲームを作るデザイナーは志が低い、こんなゲームはウォーゲームを滅ぼす! と真向否定。逆に賛成派の中村氏たちは、そういう凝り固まった発想にとどまっているほうが、ウォーゲームを滅ぼす!と大反論。

 まあ、この手の討論は極端なことを言って盛り上げる方が面白いので、読者受けを狙って派手なことを言い合っている感は有りますが、どう考えます?

 ちなみにこの企画で一番ウケたのは、松田大秀氏の二コマ漫画
1コマ目(誰かがいきなり入ってきて)「話は聞かせてもらった! ウォーゲームは滅亡する!!」
2コマ目(男たちの顔のアップで)「な……、なんだってー!?」
 です(笑)



●GAME GUIDE

 アウクスプルク同盟戦争がテーマの「Nine Years: War of The Grand Alliance 1688-1697」(Compass Games)が紹介されていますが、マップもシステムも一緒の「NO PEACE WITHOUT SPAIN」の拡張キットで売ればよかったのでは? と評価が辛辣です。まあ私もマップを一目見て「使い回しじゃん」と思いましたもんねぇ。



●[連載]Mrことくの過激にレポートするぜ!

 今回のお題は台湾のゲーム「台北大空襲」。太平洋戦争末期1945年5月の台北を舞台に、それぞれがある家族の一員となり、互いにポイントを獲得しあっていくという協力型ゲーム。「ゾンビ物」でよくあるシチュエーションの戦争中もの、と言えますが、設定が重い……



●[連載]B級SFゲーム分科会出張所(いしだたかし)

 今回のお題は「アメーバウォーズ」(AH:アバロンヒル)。銀河帝国テーマの古典マルチゲームです。アメーバといえば、その昔タクテクスに載っていたバカみたいな「とあるクラブがアメーバで盛り上がった話」を思い出します……、あれはホントに笑わせてもらいました(笑)


3.次号予告

 No.65(2017年12月1日発売予定)の特集/付録ゲームは2 in 1で
戊辰戦争テーマ「幕末維新始末」
・中世薔薇戦争テーマ「バラ戦争」

とまさかのラインナップ。戊辰戦争テーマは同人GJ53号以来ですし、ばら戦争はもちろん初。後者は最近地味に少女漫画「薔薇王の葬列」で盛り上がっているし、私の心の中ではタイムリーです。
 
 

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薔薇王の葬列(8)(プリンセス・コミックス)