感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第165話(シーズン7 第16話)「私を愛した暗殺者」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第165話 私を愛した暗殺者 The Question (シーズン7 第16話)

 

あらすじ

連邦情報局に逮捕された敵国の殺し屋が、亡命の意思を表明。しかし入国の目的を一切語ろうとしないため、亡命を装ったスパイの疑いがかかり、フェルプス(ピーター・グレイブス)たちに真意を突き止めるよう指令が下る。

※DVD版のタイトルは「暗殺目標変更!」。
 
 
【今回の指令】
 先日、連邦情報局FIS(エフアイエス)は、敵側の暗殺者ニコラス・バーシー(Nicholas Varsi)を捕えた。ところがパーシーは亡命の意思を表明しつつ、入国目的については語ろうとしていない。FISは敵国の諜報工作に汚染されている疑いが有り、信頼することはできない。IMFは、パーシーをFISから奪い、彼が本当に亡命する気か、またはスパイ活動を行うつもりなのか、真意を突き止めなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:アンドレ


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。FISが空港に現れたパーシーを捕まえるが、パーシーは亡命したいという。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 パーシーはFISの拠点でネルソンという男に厳しく尋問されている。IMFは警官のふりをしてFISの建物に潜入し、小型爆弾で騒ぎを起こした後、それに紛れて眠らせたパーシーを運び出す。

 目覚めたパーシーにフェルプスは、自分はパーシーが所属する諜報組織KGNのアメリカでの責任者だと名乗り、パーシーが組織を裏切って本当に亡命する気なのか調べるという。そしてIMFメンバーのアンドレアを連れてきて、この女はFISのスパイなので殺せと言ってパーシーに銃を渡す。パーシーはすぐに引き金を引くが弾が入っていないのでアンドレアは助かる。フェルプスはパーシーを信用したと言って、車に発信器を付けてから自由にする。

 パーシーは暗殺の仕事が有るが、万一の人質としてアンドレアを連れていくといい、そのまま立ち去る。フェルプスたちは発信器の電波を頼りに尾行するが、パーシーは途中で発信器を見つけて破壊してしまい、フェルプスたちはパーシーを見失ってしまう。パーシーは狙撃のために用意された部屋に入ると、パーシーも顔は知らない上司のケマー大佐を呼び出す。

 アンドレアは隙を見て電話で仲間の自動車電話に連絡し、居場所を伝える。一方、パーシーの部屋にFISのネルソンが現れるが、ネルソンこそ実はケマー大佐だった。パーシーはケマーに銃を突き付け、ケマーを当局に差し出して亡命するつもりだというが、それを見越していたケマーが銃に細工をしていたため撃てず、逆に撃たれてしまう。

 ケマーは自分で暗殺を実行してから、さらにパーシーたちも殺して、暗殺者を殺したことにするという。しかし実行前にフェルプスたちが駆け付け、ケマーは捕まる。最後パーシーは救急車で運ばれることになり、アンドレアの名前を知りたがるが、アンドレアはそれは言えないという。


監督: レスリー・H・マーティンソン
脚本: ステファン・カンデル


感想

 評価は△。

 普段のエピソードとは展開が異なり、IMFが目的達成のために緻密に作戦を遂行していくのではなく、暗殺者の真意を探るため出たとこ勝負の作戦を実施する異色編で、正直全く面白くもなんともなかった。

 今回のエピソードは、序盤にIMFがFISの拠点に入り込み、パーシーを連れ出すまでそこそこは面白い。警官のふりをしたフェルプスとウィリーが怪しい人影を見たとか言いながら建物に入り、調べるふりをしてあちこちに爆弾を仕掛けて大混乱を引き起こし、そのどさくさに紛れてパーシーを眠らせてしまう。そしてウィリーは二階の窓からこっそり逃げ出す一方、眠ったパーシーにウイリーのマスクをかぶせ、ウィリーが怪我をしたので救急車を呼んだと言って、そのまま見事に運び出してしまうのである。この辺りの段取りはなかなかに楽しい物が有った。

 ところが、以後の展開はさっぱりで、フェルプスたちがパーシーと同じ組織のメンバーのふりをして、亡命する気なのか違うのか白状させようとするが、さっぱりらちが明かない。グダグダの展開の後、IMFは一旦パーシーを自由にして様子を見ようとするが、パーシーは発信器を見つけて破壊してしまい、フェルプスたちはあっさりとパーシーを見失ってしまう。

 この局面で、打つ手の無くなったフェルプスたちは「お手上げだ」だの「亡命してくれることを祈るよ」だの気弱なセリフを連発しており、普段の有能なIMFの活躍ぶりを知っていると、あまりの落差に驚かされる。

 物語は、最終的にアンドレアの機転や、ネルソンが実は敵のスパイだった、とかいう展開を盛り込んでなんとか幕を下ろすが、結局ちっともスパイ大作戦らしさが無いシナリオであった。いつもはIMFが様々な計略でターゲットの人物を騙して振り回していくのに、今回は逆にIMFがパーシーに振り回されて右往左往するのみで、ファンが求めているような痛快さが全くないエピソードで、満足度は極めて低かった。

 まあ単なるスパイアクションドラマならばそれなりに評価できる内容かもしれなかったが、「スパイ大作戦」という番組のシナリオとしては、あまりにも期待外れだった。シナリオライターは、スパイ大作戦のなんたるかが今一つつかめていなかったのかもしれない。

 本エピソードでもケイシー役のリンダ・デイ・ジョージは産休で不在だが、今回もメンバーがその辺りをフォローするシーンが有り、フェルプスが今回の作戦中にパーシーを信用させるために暗号名を言うが、それは現在ヨーロッパにいるケイシーが調べた物、という説明台詞が有った。

 今回のサブタイトルの原題「The Question」は「質問、疑問、問題点」といった意味が有るが、今回は「疑問」の意味で、パーシーが真意が謎である、といった意味合いだと思われる。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがビルの屋上に行き、脚立に登ってテレビアンテナを修理している男に合言葉を言うと、相手はそのまま立ち去る。フェルプスは脚立に残されていた工具箱から大きめの封筒を取り出し、同時に箱の中のオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れる。そしてテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。このほどわが国で捕まった暗殺のベテラン・ニコラス・バーシーは、亡命の意思を表明してはいるが、入国の目的については口を閉ざして語ろうとしない。一方、彼を捕らえたFIS(エフアイエス)、つまり連邦情報局は、敵の諜報工作に侵されている形跡があり、信頼できない。

 そこで君の使命だが、密かにFISの手からニコラス・バーシーの身柄を奪い、果たして彼は亡命したいのか、それとも亡命を装ってスパイ活動をするつもりなのか、その真意を突き止めることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com