【※以下ネタバレ】
前回第2回の内容
perry-r.hatenablog.com
第3回 『第3集 借金に潰される!?』 (2018年10月14日(日)放送)
内容
マネー・ワールド~資本主義の未来~第3集 借金に潰される!?
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2018-10-14&ch=21&eid=08772&f=46
爆笑問題とお届けする経済エンターテインメント。今回は史上最大となった世界の「借金」に切り込む。借金漬けの私たちはどうすれば救われるのか?新たな取り組みから考える
爆笑問題と共にお届けする経済エンターテインメント。今回は史上最大となった世界の「借金」に切り込む。アメリカでは学生ローンの総額が約170兆円に達し、返済滞納者は690万人に上る。多重債務者が380万人を数える韓国では、一定の条件の下で政府が個人の借金を肩代わりするという驚くべき政策に踏み切った。資本主義を揺るがす借金漬けの世界。私たちはどうすれば救われるのか?各地で始まった新たな取り組みから考える
●世界は借金まみれ
現在世界の借金の総額は164兆ドル(=1京8500兆円)。世界が生み出したGDP(富や価値の合計)が76兆ドルなので、借金は倍以上ある。1980年代まではGDPと借金の額はほぼイコールだったが、今は借金がはるかに多い。
借金は悪というわけではない。例えば農家が生産量を増やしたい場合、銀行から借金して苗木を購入して植える。すると収穫が増え、利益も増え、そのお金で借金を返すこともできる。それを繰り返すことで世の中の富はどんどん増大する。つまり借金は経済成長のエネルギーと見なすことができる。
ただし、借金が成長のエネルギーとなり得るのは、投資が利益を生む場合に限る。今は利益を生まない投資が多すぎる。
●個人の借金の増大
アメリカではここ15年で学生ローンの借金総額は7倍に増え、逆に29歳以下の消費は下がり続けている。ローンの返済に追われて消費をする余裕がないのである。個人の借金が多すぎる国家は不況に陥ることが明らかになっている。
韓国では多重債務者が人口の一割の380万人もおり、失業率は10パーセントと高い。ムン・ジェイン大統領は借金を抱えている人間を救済するため、10年以上借金を返せない人間の借金を棒引きする政策を始めた。個人の資産状況を調べ、全額から90パーセント借金を免除する。これにより消費を促そうとしている。
韓国はアジア通貨危機の後、消費を増やすため国民にクレジットカードローンの使用を勧めたが、そのために国民は借金まみれになってしまったのである。
●何故借金は増えたのか
各国の中央銀行は経済を活性化するため、通貨をどんどん発行し、それが借金として個人や企業に貸し出され、そのお金が本来なら経済の成長に使われる。例えば高度経済成長時代の日本はまさしくその典型だった。
政府が発行できる通貨の総額は、その国が保有する金の裏付けが必要だった。ところが1971年のニクソンショックで、政府は保有する金の裏付けを越えてどんどん通貨を発行するようになった。そして2008年のリーマンショックで冷え込んだ経済を活性化するため、さらに通貨を発行した。しかし経済は狙い程成長せず、あまった通貨が企業や個人に貸し付けられて借金となっている。
過去の事例では、通貨を増やせば経済は成長した。しかし今はそうなっていない。既に物がいきわたって、みんな買いたいものが無くなっているから。
●政府も企業も借金だらけ
プエルトリコでは政府が借金に苦しんでいる。リーマンショックで観光客が減ったため、海外の金融機関から政府予算の8倍の700億ドルを借りたが、景気が良くならず返済できていない。そのため小学校などの公的機関を閉鎖する羽目になっている。ギリシャでは2009年に借金のため、年金カットや公務員の解雇などを実行し、大混乱を招いた。それは他の国、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどにも波及した。
企業も借金に苦しんでいる。中国では企業の借金の総額は2000兆円もある。
資本主義は借金をして前年より経済成長することが前提となっているが、成長を永遠に続けることなど不可能であり、資本主義は行き詰まりを見せている。
この借金まみれ状態を打開する方法はあるのか。先進国では望み薄。先進国では既に物もサービスも溢れており、客が新しく買いたいものが無いので、物が売れない。
●身の丈に合った資本主義
資本主義の新たな枠組みも模索されている。
マレーシアのマハティール首相は、身の丈に合った借金を提唱し、そのために「イスラム金融」を国策として推し進めている。イスラム金融では、銀行は融資先にお金を貸しても利子を取らない。また借した企業がうまくいかない場合は、一緒に解決策を考える。そして企業が儲けを出したら、その中から手数料として一部を受け取る、というシステム。銀行が融資先の利益を最優先に考えることで、結果的に銀行の利益につながる。
同様に身の丈資本主義の例でクラウドファンディングがある。これはアイデアはあるがお金がない人に対し、他の人々が少しずつお金を出し合って支援し、お金を受け取った人が商品やサービスを実用化して社会に還元する、というもの。
感想
一昔前に描かれた「世界の危機」は、核戦争とか、隕石の衝突とか、未知の伝染病の蔓延とか、そういうやつでしたが、まさか「資本主義というシステムそのものが機能不全となって世界が危機に陥るかも……」なんて予想もしませんでしたよ。
こんな壮大な危機に対して対処する方法が有るのでしょうか。1970年代頃の「ノストラダムスの大予言」みたいに、未来に漠然とした不安を抱え続けたまま人生を生き続けなければならない様です……
ところで韓国ムン・ジェイン政権の借金棒引き政策なんて初耳でしたね。借金が減った人は「ラッキー、早速焼肉を食べに行くぜ(ニッコリ)」とか言っていましたが、こんな徳政令とかやらかしたら、今後は金融機関はお金を貸してくれなくなるんじゃないんですか? 韓国政府はそこまで考えてやっているんですかね?
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20181014
マネー・ワールド~資本主義の未来~第3集 借金に潰される!?2018年10月14日(日)
午後9時00分~9時49分
爆笑問題と共にお届けする経済エンターテインメント。第3集はかつてないほど膨らんだ世界の「借金」に切り込む。各国で発行され、金融機関を通じて個人・企業・国家に貸し出された通貨は空前の規模に達し、IMF(国際通貨基金)によれば世界の借金の総額は164兆ドルに上る。日本円にすると約1京8500兆円だ。資本主義の歴史上、大きな危機が迫っているとIMFは警告を発した。
アメリカでは、学生ローンの総額は1兆5000億ドル(約170兆円)に達し、奨学金の返済が滞っている人は、史上最多の690万人に上る。多重債務者が380万人、成人の人口の1割ほどに及ぶ韓国では、政府が一定の条件のもとで個人の借金を肩代わり(減額・帳消し)するという驚くべき政策に踏み切った。背景には、借金の苦しむ人びとを「市場に戻す」、つまり生産し消費する存在に戻す目的がある。
そもそも資本主義において借金は、事業を開始したり拡大したりするために欠かせない、いわば「成長のエネルギー」とされてきた。ところが現在は、経済成長よりも借金が膨らむスピードが早過ぎて、むしろ経済活動の「足かせ」となっている状況だと指摘されている。個人だけでなく、企業も政府も巨大な借金に苦しんでいる。プエルトリコでは、政府が借金によって財政破綻に追い込まれ、医療や教育などの行政サービスが停止状態に陥った。さらに、借り手を求める金融機関のマネーがアジア各地に流れ込み、高い金利に苦しむ人びとが現れる事態も生まれている。
「借金漬け」となった私たちはどうすれば救われるのか? 世界で始まった新たな取り組みから考える。
参考
第1回の内容
perry-r.hatenablog.com
第2回の内容
perry-r.hatenablog.com