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●フーゴ・ハル先生の新作ゲームブック
TRPGやユーロゲームを扱う雑誌「ロール&ロール」のVol.170(2018/09/19発売)には、なんと業界のレジェンド「フーゴ・ハル」先生の新作ゲームブックが掲載されています! やったね!
Role&Roll Vol.170 | Role&Roll ロール&ロール
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●ゲームノベル
ブラマタリの供物 前日譚 仮面の訪問者
作/画■フーゴ・ハル好評発売中『クトゥルフ神話ブックゲーム ブラマタリの供物』の前日譚となる物語がゲームノベルで登場! クトゥルフ神話的体験を味わおう。
●まず「ブラマタリの供物」
このミニゲームブック、タイトルに「ブラマタリの供物 前日譚」と書いてあるので察しがつくと思いますが、先日(10/31)発売された新作ゲームブック「ブラマタリの供物」の外伝的作品となっております。
クトゥルフ神話ブックゲーム ブラマタリの供物 (Role & Roll Books)
- 作者: フーゴ・ハル
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2018/10/31
- メディア: 新書
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クトゥルフ神話ブックゲーム ブラマタリの供物 | Shinkigensha Web
http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1645-0/
シリーズ名:Role&Roll Books
著者:フーゴ・ハル
定価:本体1,800円(税別)
新書 272ページ
ISBN 978-4-7753-1645-0
発行年月日:2018年10月31日
アフリカの奥地でうごめくクトゥルフ神話の影!
秘境探検の興奮と神話的恐怖があなたを待つ!!クトゥルフ神話の世界を一人で遊べるブックゲームが登場!!
あなたの選択によって物語は変化し、主人公の運命も大きく左右される。
資料を参照しながら手記を読み進めていくような独特のゲーム展開で、クトゥルフ神話を体験しよう!1928年。アメリカの経済を支配する大富豪ロックフェラー一族のひとり、若きネルソン青年がアフリカの奥地で行方不明となった。
あなたは、ロックフェラーに指名されたニューヨーク市警察の刑事トーマス・F・マロウンとなり、秘境アフリカへ旅立ち、ネルソンを捜索することになる。
ナイル河の源流とされる巨大なヴィクトリア湖、人を拒む鬱蒼としたジャングル。そして見え隠れするクトゥルフ神話の痕跡――秘境探検と神話的恐怖を体験できるブックゲームだ!
んん、ごしごし(ト書き:目をこする)。ブックゲーム? ゲームブックではなくて? 何故そこを変えたのかよく解りませんが、何にせよ、どう見てもこれはゲームブックの紹介ですよね? クトゥルフのゲームブックかぁ。そそるわ。
●そして本題「仮面の訪問者」
さて、今回のお題の「仮面の訪問者」の方ですが、こんな感じのお話です。
『あなたはプロの泥棒だ。ある日、あなたは怪しげな中国人から、大金持ちのロックフェラー家の屋敷に忍び込み、あるものを盗んでくる依頼を受けた。あなたは都合よく屋敷で開かれた仮面パーティーに紛れて首尾よく屋敷に忍び込んだが……』
読者はこの泥棒となり、屋敷の中をうろつきまわって目当ての物を盗み出すことを目指します。ちゃんと屋敷の見取り図も用意されており、マッピングの必要はありません。
ところでこの作品、ミニサイズながら、面白い特徴が二つあります。
まず一つ目は「パラグラフの書き方」。普通のゲームブックの場合、パラグラフの書き方はこんな感じです。
1.俺は玄関ホールに立っている。北と東にドアがある。西の壁には絵がかけられている
北に行くなら→15へ
西に行くなら→38へ
絵を調べるなら→6へ
ところがこの「仮面の訪問者」の場合は、ちょっと違います。こんな感じです。
↓
1.俺は玄関ホールに立っている。北(15)と東(38)にドアがある。西の壁には絵(6)がかけられている
そして読者は、北へ行きたければ15のパラグラフを読み、東に行きたければ38を読み、絵を調べたければ6を読む、といった具合で、おなじみの「○○するなら→◇番へ」というあの指示の文章がありません。私としては、最初は面食らいましたし、やり方が解ってもついぞ慣れることが出来なかったのですが……
いちいち「◇番へ」と書かずに、問答無用で該当の番号に飛ばす仕組みは、ウェブサイトでハイパーリンクをクリックして次のページに飛ぶ、という事を連想させます。まあ、「火吹き山の魔法使い」からずいぶん経ちましたし、こういうやり方もありという事なのでしょう。
第二の特徴は「アクションポイント」。主人公はあらかじめ決められた「AP(アクションポイント)」を与えられており、一つ行動する(移動なり調べるなり)度にポイントを一つ消費する、という事になっています。つまり無駄なことをしていると、目的を達成できないうちにポイントを使い果たしてゲームオーバー、という訳です。
最初はかなりゲーム的な縛りだと思ったのですが、途中で「屋敷内が慌ただしくなって余裕が出来たのでポイントを増やす」云々という記述を見つけて、その途端腑に落ちました。このポイントというのは「持ち時間」の事を現しているんですね。
主人公は泥棒ですから、屋敷の中で悠長に行動している訳にもいかず、最短の手順で効率的に行動する必要があり、それを有限の行動ポイントという形で表している訳です。「残り時間」と書かなかったのは今時(?)の読者に向けた配慮なのかな。
ということで、規模は小さいものの、それなりに楽しめた作品でした。さすがベテラン・フーゴ・ハル先生の作品だけはありますよ。こうなると「ブラマタリの供物」の方も買わざるを得ないか?