感想:人形劇「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」第13話(最終回)「鮮血の恋歌」:人気冒険活劇の続編は期待通りの大傑作

Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2 オリジナルサウンドトラック

Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2 http://www.thunderboltfantasy.com/season2/
放送 BS11。全13話。

【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 

第13話(最終回) 『最終話 鮮血の恋歌』 (2018年12月24日(月)深夜放送)

 

あらすじ

 嘯狂狷(ショウキョウケン)(新垣樽助)は、殤不患(ショウフカン)(諏訪部順一)の攻撃を逃れて命からがら逃走していたが、その途中、魔剣・七殺天凌(ナナサツテンリョウ)(悠木碧)を携えた男(=婁震戒(ロウシンカイ)(石田彰))と出会う。

 嘯狂狷は婁震戒に対して、殤不患は七殺天凌を狙う悪党で、また自分は殤不患に酷い目に会わされた上、後を追われているので、利害が一致するといい、殤不患を倒してくれたら礼をすると頼み込む。しかし婁震戒は嘯狂狷に対して剣を抜く。


 同じ頃、殤不患、浪巫謠(ロウフヨウ)(西川貴教)、凜雪鴉(リンセツア)(鳥海浩輔)は、逃走した嘯狂狷を追っていたが、やがて三人は嘯狂狷の死体を発見する。しかもその側には婁震戒から殤不患に向けた「魔脊山[ませきざん]で待つ」との挑戦状が残されていた。

 殤不患は婁震戒の待つ魔脊山に赴き戦いを始めるが、魅了の魔力を発する七殺天凌を直視できず、防戦一方となってしまう。そこに凜雪鴉が現れ加勢するものの、婁震戒は達人二人を相手にしてもなお圧倒的な力を見せて二人を全く寄せ付けなかった。

 追い込まれた殤不患は、用意していた最後の秘策として、凜雪鴉に魔剣・喪月之夜(モヅキノヨ)を持たせてそれで自分を斬らせ、自分の体を凜雪鴉の操る傀儡にさせる。傀儡となった殤不患は、もはや魅了の魔力に影響されず、達人・殤不患をやはり達人の凜雪鴉が操るため、その動きは魔剣を持つ婁震戒と互角となる。

 七殺天凌はこのまではらちが明かないと見て、婁震戒に喪月之夜を振るう凜雪鴉を仕留めるように命じる。ところが婁震戒が凜雪鴉に切りかかると、凜雪鴉は喪月之夜を隠れていた浪巫謠に渡し、浪巫謠は殤不患の心臓を一突きして傀儡状態から解放した。そして殤不患は隙のできた婁震戒を斬って七殺天凌を手放させ、すぐに七殺天凌の封印を開始した。しかし婁震戒は、封印されつつある七殺天凌に飛びつき、共にどこかに消えていった。

 殤不患は魔剣目録を預けていた捲殘雲(ケンサンウン)(鈴村健一)のところに行き、封印した七殺天凌を目録に収納しようとするが、その時になって初めて封印したのは婁震戒の腕で、七殺天凌は取り逃がしたと解る。しかし殤不患たちは、七殺天凌は婁震戒と共に深い谷底に転落しただろうから、婁震戒はもはや生きてはおらず、七殺天凌も人知れず朽ち果てていくだけだろうと考え、とりあえず納得する。

 そのあと、丹翡(タンヒ)(中原麻衣)が殤不患に頼みごとが有ると言い、仙鎮城[せんちんじょう]の城主だった伯陽侯(ハクヨウコウ)(拝真之介)に引き合わせる。伯陽侯は殤不患に対し、自分が仙鎮城から持ち出してきた貴重な神誨魔械[しんかいまかい]三振りを、護印師[ごいんし]が安全に管理できるようになるまで魔剣目録で保管してほしいと頼み込み、殤不患は不承不承了承する。

 最後。西幽では蠍瓔珞(カツエイラク)の主・禍世螟蝗(カセイメイコウ)(速水奨)が、蠍瓔珞が任務を果たせなかったことに苛立っていた。そこに魔族・刑亥(ケイガイ)(大原さやか)が現れ、禍世螟蝗に対し魔界と手を結ばないかと持ち掛ける。(ひとまず終幕)

感想

 うぁぁぁぁ、超面白かったぁぁぁぁ!!

 前回の結末で(殤不患サイドから見て)「嘯狂狷は行方不明、婁震戒・七殺天凌も行方不明」という五里霧中状態に突入してしまい、ここから30分でどう話をまとめるのかと気をもんでいたら、冒頭にあっさり嘯狂狷と婁震戒が出会って、そこに殤不患たちが通りかかったら……、という流れでサクッと解決。なんとシンプルなやり方。

 そして、魔剣・七殺天凌をどうやって封じるのか、という秘策の内容が、今まで散々威力を見せられていた喪月之夜を利用することだった、という答えには「これがラストに向けての伏線だったのか!」と見ていて震えるほど感激しました。話の構成要素に無駄な物が何一つなく、出てくる全てが話を組み立てるために必要な物だった、という細部まで練り上げられた話作りには心底感嘆しましたね。

 最後の最後に清純ヒロイン・丹翡(タンヒ)たんが再登場。ラストに潤いがあってよかった。そして予想通り、旦那の捲殘雲を思いっきり尻に敷いていた(笑)

 一番最後の、悪の秘密基地で悪の幹部たちが密談していて、「蠍瓔珞が負けたか……」「所詮、奴は四天王の中で一番の小物」「奴など四天王の面汚しよ」みたいな王道台詞を延々喋っていたのには笑いましたが(笑)、最後に(第1期ラストで死んだと思っていた)刑亥(ケイガイ)が現れて、『話はまだまだこれからだ!』みたいなオチになったのには、もう大笑いました。いやー、虚淵玄先生、商売が上手過ぎますよ!! コレを見せられたら、もう制作決定済みの第三期に期待するしか無いじゃん!?

 という事で大満足のラストでした。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 

総括

 評価は◎(最高!)。

 2016年7月~9月に放送された人形劇の二年ぶりの続編。前作はあまりの面白さにもう夢中になって、最終回では大絶賛したのですが、続編も期待に違わぬ超面白い作品でした。


 玄鬼宗の一件からしばらく後の事。殤不患(ショウフカン)(諏訪部順一)は、三十六振りの魔剣を収納した巻物「魔剣目録」を安全に保管する場所を求め、護印師の砦「仙鎮城」[せんちんじょう]を訪れる。しかし、西幽からは目録を狙う追手・蠍瓔珞(カツエイラク)(高垣彩陽)が東離に乗りこんでおり、殤不患の側に迫っていた……


 ということで、主役コンビの殤不患(ショウフカン)と凜雪鴉(リンセツア)以外はキャラを一新、舞台も別の場所に移しての別の物語が展開されました。前作では、この両人とも真の姿を視聴者にも隠しており、その秘密が明かされる過程が物語の大きなドラマとなっていたので、既に二人の正体がばれている状態から始まる二期は盛り上がりに欠けるかなとも思ったのですが……

 とんでもなかった。シナリオの虚淵玄先生の実力を過小評価しすぎていました。毎回毎回めちゃくちゃ面白い物語が展開され、続きが待ち遠しいのなんの。

 しかも物語の構図が次から次へと目まぐるしく変化していき

1)開始時点の構図
「殤不患」 対 魔剣目録を狙う「蠍瓔珞」


2)蠍瓔珞が魔剣・七殺天凌(ナナサツテンリョウ)の魔力に屈してしまい
→「殤不患」 対 「七殺天凌(主)」&「蠍瓔珞(手下)」


3)蠍瓔珞が七殺天凌を手放すものの、今度は僧・諦空(テイクウ)/婁震戒(ロウシンカイ)の手に渡ってしまい
→「殤不患」 対 「七殺天凌(主)」&「婁震戒(従者)」


4)婁震戒が七殺天凌を振り回し始めて
→「殤不患」 対 「婁震戒(主)」&「七殺天凌(従)」


 とキャラクターたちの上下関係・敵対関係が次々と変化していき、毎回驚かされてばかりでした。いやはや、第一話終了後に「最終的には殤不患が蠍瓔珞を倒して盗まれた魔剣を取り戻すのだろうなぁ」とか思っていたあの頃が懐かしい……

 ラストバトルはそれまでにきっちり用意されていた伏線(喪月之夜は達人が使うと超兵器になる)を見事に生かしての感激の内容でしたし、婁震戒が自分が口にしていた通り七殺天凌に殉じるという結末もお見事。そして何より「次の戦いが既に始まっている」的なワクワクのオチがまた爆笑するくらい良かったし。


 という事で「2」は、大傑作だった第一期に勝るとも劣らない痛快冒険活劇で大満足でありました。多分2021年あたりに放送されるだろう第三期も滅茶苦茶楽しみですよ。

災いを招く危険な秘宝「魔剣目録」を携えて、流浪の旅を続ける剣士、殤不患。
生国、西幽を離れて東離の地に落ち延びたことで一時の安息を得た彼だったが、その消息が仇敵「禍世螟蝗」に知られたことで、再び身辺に危険が迫る。
遙かな西幽より続々と送り込まれる異能、異形の刺客たち。
そんな殤不患の窮地に、紅蓮の装束に身を包んだ謎の吟遊詩人が現れる────



台湾で「知らない人間はいない」と言われるほど、子供から大人まで楽しまれてきた人形演劇『布袋劇(ほていげき)』。

その映像にほれ込んだニトロプラス虚淵玄”が原案・脚本・総監修を担当、台湾布袋劇で随一の知名度とクオリティを誇る制作会社“霹靂國際多媒體股份有限公司(略称:霹靂社)”との奇跡のコラボレーションによる、完全新作の日台合同映像企画。

TVシリーズ一期『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』の放送から2年、2018年10月1日(月)に放送開始となるTVシリーズ二期は、2017年12月2日(土)に劇場上映された『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』で登場した新キャラクター達の他にも登場人物が加わり、ニトロプラス虚淵玄” 完全書き下ろしのストーリーが展開。安息を得たかに見えた東離で、魔劍をめぐる新たな戦いが幕をあける。

キャラクターデザインはTVシリーズ一期に続き、ニトロプラスが率いるデザイナー陣(新たに“なまにくATK”が参加)が担当。同じく人形の造形アドバイザーとして、フィギュアメーカーの“グッドスマイルカンパニー”が参加。

劇伴も引き続き、ドラマ・アニメ・映画の劇伴を中心に手がけ、アーティストへの楽曲提供も数多く行っている“澤野弘之”が制作。

主題歌は本作TVシリーズ二期『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』で浪巫謠役としてキャラクターボイスも担当する”西川貴教”が歌唱。

OP「His/Story」とED「Roll The Dice」の両曲が”西川貴教”による新曲である。

日本や台湾のみならず、アジア圏で評判を得た本シリーズは、コミカライズなどメディアミックスも多数展開している。

スタッフについて
原作 Thunderbolt Fantasy Project
原案・脚本・総監修 虚淵玄ニトロプラス
操演・撮影 霹靂國際多媒體股份有限公司
キャラクターデザイン ニトロプラス(三杜 シノヴ/源 覚/なまにくATK
武器デザイン 霹靂國際多媒體股份有限公司
造形アドバイザー グッドスマイルカンパニー
音楽 澤野弘之 和田貴史
音響監督 岩浪美和
制作 Thunderbolt Fantasy Project



キャストについて
凜雪鴉(リンセツア) 鳥海浩輔
殤不患(ショウフカン) 諏訪部順一
浪巫謠(ロウフヨウ) 西川貴教
聆牙(リョウガ) 小西克幸
蠍瓔珞(カツエイラク高垣彩陽
嘯狂狷(ショウキョウケン)新垣樽助
妖姫・七殺天凌(ヨウキ・ナナサツテンリョウ)悠木碧
諦空(テイクウ)/婁震戒(ロウシンカイ) 石田彰
禍世螟蝗(カセイメイコウ) 速水奨
伯陽侯(ハクヨウコウ) 拝真之介



主題歌について
オープニングテーマ:西川貴教「His/Story」(読み:ヒストリー)
作詞:藤林聖子 作曲・編曲:澤野弘之

エンディングテーマ:西川貴教「Roll The Dice」
作詞:藤林聖子 作曲・編曲:澤野弘之

 
 
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