【SF小説】感想「ネガ・プシの虹」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 618巻)(2020年6月4日発売)

ネガ・プシの虹 (宇宙英雄ローダン・シリーズ618)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122849
ネガ・プシの虹 (宇宙英雄ローダン・シリーズ618) (日本語) 文庫 2020/6/4
クラーク・ダールトン (著), H・G・エーヴェルス (著), 渡辺 広佐 (翻訳)
文庫: 288ページ
出版社: 早川書房 (2020/6/4)
発売日: 2020/6/4

【※以下ネタバレ】
 

エルンスト・エラートはヴィールス製宇宙船を受けとり、時間塔の修道士の最後のひとりの"石の夜間灯"とエデン2に向かうが……


地球ではヴィールスインペリウムとコンタクトできる"ヴィールス柱"に多くの住民が集まっていた。タウレクやヴィシュナとともに地球に向かったエルンスト・エラートもヴィールス柱のなかに入ったきり、出てこなくなる。それから十日、テラニアのハンザ司令部前の広場に立つヴィールス柱が変化しはじめた。しだいに色が変わり、透明になっていく。そこからエラートがふたたび姿を見せたのち、驚くようなことが起きた!

 

あらすじ

◇1235話 ネガ・プシの虹(クラーク・ダールトン)(訳者:渡辺 広佐)

 ヴィールスインペリウムと一体化していたエルンスト・エラートは、“それ”から惑星エデンIIのクロノフォシル化の準備を行うという使命を与えられ、ヴィールス修道士「石の夜間灯」と共に、ヴィールス宇宙船《渡り鳥》で旅立った。旅の途中、エラートたちは「惑星クラップ」で、混沌の勢力でプシオンを食い荒らす「ネガ・プシ」と遭遇し、石の夜間灯の犠牲でネガ・プシを消滅させた。エラートは謎の存在から感謝を伝えるため招待したいというメッセージを受け取るが、一旦その場を離れエデンIIへ向かった。エデンIIに到着したエラートは、“それ”と共に任務を終えるが、“それ”からクラップの謎の存在と会う様に指示され、再度旅立った。(時期:不明。NGZ428年12月頃)

※初出キーワード=ヴィールス船、惑星クラップ、ネガ・プシ、プシカー、クラッパー、レルムーン人



◇1236話 ジャシェムの帝国(H・G・エーヴェルス)(訳者:渡辺 広佐)

 深淵の地。アトランたちはヴァジェンダ目指してヴァイタル・エネルギー流で移動していたが、技術者種族ジャシェムの妨害で「ジャシェム帝国」に出現してしまう。ジャシェムはアトランたちに興味を持っており、攻撃を仕掛けてその能力を観察しようとするが、一行にサイリン人がいることに気が付き和解した。(時期:不明。NGZ428年7月頃)

※初出キーワード=ジャシェム帝国、サイバーランド、テクノトール、マイクロモジュール、サイバネティクス、サイバーモジュール


あとがきにかえて

 人生には三つの坂がある(上り坂、下り坂、まさか)→新型コロナウイルスの大流行で「まさか」の世界になってしまった、という話。


感想

 前半エピソード … 久々登場のダールトンによるエラート冒険談。途中エラートが本筋と関係なく未知銀河で唐突にテフローダーの末裔と遭遇し、そのまま何も無く立ち去る、という展開を読んで、「昔のローダンはこういう脇道にそれる展開がいっぱいあったよなぁ」と懐かしくなりました。ダールトンらしさ全開と言うかそういう味わい。

 ラストで、エラートは“それ”から謎の存在に会いに行くように指示されますが、これもどう考えても本筋と関係なさそうだし、タウレクはエラートは長く帰ってこない、とか言っているし、このままエラートもアラスカ同様物語から退場しそうです……


 後半エピソード … 再び深淵の地が舞台となったエピソード。今まではダークファンタジーみたいな展開が多かったのですが、今回からは一転して「サイバーランド」が舞台で「サイバーモジュール」「サイバネティクス」だらけだという、これはこれでローダンらしくない用語だらけに……、未だにローダン世界というと「スイッチを入れても画面が写るのに時間がかかる」みたいな感覚なので、「サイバー」とか言われると「ええ?」という違和感あります(笑)

 エーヴェルスがまた独自キャラ「ジャト=ジャト」を登場させていますが、行動原理がさっぱりわかりません。とか色々あり、内容的には正直イマイチの話でした。
 
 
 

600巻~650巻(「クロノフォシル」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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