【映画】感想:映画「戦場」(1949年:アメリカ)

戦場 [DVD]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム 2020年7月22日(水)

【※以下ネタバレ】
 

1944年のベルギー戦線を舞台に、ドイツ軍の攻撃に耐えながら反攻する兵士たちを、名匠ウィリアム・A・ウェルマン監督が描く戦争ドラマ。アカデミー脚本、撮影賞受賞。


1944年12月。ドイツ軍のアルデンヌ攻勢が始まり、アメリカ軍第101空挺師団にベルギーへの出動命令が下る。第3小隊のホリーたちは、バストーニュの町で一夜を明かし、霧深い森に布陣する…。第2次大戦末期、劣勢のドイツ軍が反撃に転じたバルジの戦いで、包囲されながら陣地を死守する兵士たちを、名匠ウィリアム・A・ウェルマン監督が、さまざまなエピソードを織り交ぜて描く戦争ドラマ。アカデミー脚本、撮影賞受賞。

 

あらすじ

 第二次大戦末期の1944年12月。アメリカ陸軍第101空挺師団は、ドイツ軍の反撃に対応するためフランスからベルギーに移動し、第三小隊はバストーニュの町の近くの森に布陣した。

 降雪や霧といった悪天候の中、第三小隊はドイツ軍との果てしない戦いを続けるが、兵士たちは次々と戦死していった。兵士たちはバストーニュがドイツ軍に包囲されたと知り動揺するものの、ドイツ軍からの降伏勧告を無視し粘り強く戦い続ける。

 それでも弾薬などが底をつき、ついに退却を覚悟した時、奇跡的に天候が回復し、すぐさま空軍は輸送機で食料・弾薬・燃料を投下して兵士たちに届ける一方、地上のドイツ軍を次々と駆逐していった。

 そして戦いはアメリカ側の勝利に終わり、休息を与えられた第三小隊は後方へと行進していった。


感想

 評価は○。

 第二次大戦の最前線の陸軍兵士たちを描いた群像劇。派手な戦闘シーンやヒーロー物的な劇的なエピソードは無く、淡々と前線の兵士たちの戦いを描いた作品ですが、これが無性に面白かった。

 特定の主人公はおらず、「第三小隊」というグループの中の10人前後の兵士たちの戦いに焦点を当てた物語ですが、話には山も谷も無く、兵士たちがただ「移動する」「地面に穴を掘る」「敵の砲撃にさらされる」「ドイツ兵に遭遇して撃ちまくる」という日々を延々と繰り返すだけ。上官も、軍の上層部も登場せず、ひたすら最前線の兵士たちの目線で物語が進行します。

 兵士たちは、今自分たちが一体どこの国のどの辺りにいて、戦況はどうなっているのか、といったことは一切解らないまま、ただひたすら戦い続けるだけ。しかも戦友は劇的なエピソードも無いまま、くしの歯が欠けるように次々と戦死していきます。

 と、これだけだと、物凄く悲壮で辛い映画のように思えるのですが、実のところそういった感情を喚起する要素は無く、砲撃も戦闘も戦友の死も「兵士たちのきつい日常の中の一エピソード」として通り過ぎて行くだけですので、ある意味こちらも淡々と視聴できました。

 唯一、盛り上がると言うか派手なシーンは、ドイツ軍の降伏勧告の使者から「司令官に降伏を拒否された。理解できない」と言われると、兵士の一人が「バカ野郎」と言うシーン。これ、史実では第101空挺師団の指揮官がドイツ軍から降伏勧告に「Nuts!(バカ野郎)」と返事をしたのですが、映画では前線の兵士にその役目を割り振っています。

 最後は天候の回復とともに、空軍が山のように飛来し、ドイツ軍を蹴散らして一つの区切りがつき、休息をもらった(らしい)兵士たちが歌いながら後方に向けて行進していく、明るいシーンで終わります。それまでが見ていて辛い出来事ばっかりなので、最後はこちらも明るい気持ちになれました。

 今までに見てきた戦争映画とは一味違うタイプの作品で、妙に印象に残りました。派手な内容では無かったものの、後味はなかなかでした。 
 

戦場
[BSプレミアム]2020年7月22日(水) 午後1:00~午後3:00(120分)


【製作】
ドア・シャリー
【監督】
ウィリアム・A・ウェルマン
【原案・脚本】
ロバート・ピロッシュ
【撮影】
ポール・C・ヴォーゲル
【音楽】
レニー・ヘイトン
【出演】
ヴァン・ジョンソン、ジョン・ホディアク、リカルド・モンタルバン ほか


製作国:
アメリ
製作年:
1949
原題:
BATTLEGROUND
備考:
英語/字幕スーパー/白黒/スタンダード・サイズ

 
 

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