【SF小説】感想「大気工場の反乱」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 619巻)(2020年6月18日発売)

大気工場の反乱 (宇宙英雄ローダン・シリーズ619)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122857
大気工場の反乱 (宇宙英雄ローダン・シリーズ619) (日本語) 文庫 2020/6/18
H・G・エーヴェルス (著), アルント・エルマー (著), シドラ 房子 (翻訳)
文庫: 270ページ
出版社: 早川書房 (2020/6/18)
発売日: 2020/6/18

【※以下ネタバレ】
 

アトランたちは深淵のサイバーランド領で、"深淵の技術者"の協力を得ることに。しかし突然、外部への次元トンネルが出現した!


ヴァジェンダをめざしたアトラン一行だったが、途中で強制的な力が働いたため、深淵の技術者ジャシェムの帝国、サイバーランドにやってきた。ジャシェムはなんらかの理由で時空エンジニアと対立しているらしい。その真相もわからないまま、アトランはジャシェムのカグラマス・ヴロトとともに突如あらわれた次元トンネルを通過して、ヴロトの同僚が制御する"大気工場"におもむくことになる。そこは崩壊の危機にあった!

 

あらすじ

◇1237話 大気工場の反乱(H・G・エーヴェルス)(訳者:シドラ 房子)

 アトランたちを追って来た駆除部隊5000名は、深淵の騎士に忠誠を誓った。同じころ、ジャシェムが深淵の地の重力・大気などの環境をコントロールする施設の一つ「大気工場」では、ロボット「サイバネティクス」や、機械部品「サイバーモジュール」が反乱を起こし、ジャシェムを攻撃し始めた。さらにジャシェム帝国を守る「壁」が破られ、グレイ力が帝国に侵入してきた。(時期:不明。NGZ428年7月頃)

※初出キーワード=ニュートルム、テクノトリウム、巨峰イオタ



◇1238話 サイバーランド中枢部(アルント・エルマー)(訳者:シドラ 房子)

 過去。ホルトの聖櫃は、時空エンジニアに深淵の地を偵察し情報を集めるように指示されて送り出されたが、やがて深淵の地はグレイ力に次々と支配されていき、時空エンジニアのいる「光の地平」への道は閉ざされ帰還できなくなってしまう。

 アトランたちは、過去に時空エンジニアがトリイクル9を再構築を試みた際、既存のモラルコードをコピーすることを止め、自分たちによる独自の物を作ろうとしたため、ジャシェムが決別したことを知る。ジャシェム帝国の中心「テクノトリウム」では、ジャシェムたちがグレイ力の侵入にパニックに陥り、長老格の「深淵の独居者」に助けを求るが、深淵の独居者は、事態は全ては時空エンジニアの陰謀で、深淵の騎士を使って帝国にグレイ力を侵入させ、ジャシェムたちを光の地平に戻ってこさせようとしている、と告げる。激怒したジャシェムたちはアトランたちを捕まえるが、サリクとボンシンだけはホルトの聖櫃と共に脱出した。(時期:不明。NGZ428年7月頃)

※初出キーワード=深淵の独居者


あとがきにかえて

 スイスでもコロナウイルスの流行で大騒ぎになっている、という話。


感想

 前半エピソード … 前回に続きエーヴェルス作ですが、相変わらず独自キャラ「ジャト=ジャト」が登場し、そして何をしているのかよく解らないので、困惑しきりのエピソード。大まかなあらすじは「メカの反乱&グレイ力の侵入」なのですが、話が読みにくくてその大筋を追うのに苦労しました。

 ところで唐突に「ジャト=ジャト」は「巨峰イオタ」と関係がある云々とアトランが言い出して訳が分からないのですが、調べてみると、371巻「にせ《マルコ・ボーロ》」収録の前半「741話 にせ《マルコ・ボーロ》」にでてきた単語の様です。作者は当然エーヴェルス。何故唐突に今ここでこの話を持ち出す気になったのか……(謎)



 後半エピソード … ジャシェムの長老はとっくにグレイ力にやられていました、という話とホルトの聖櫃誕生秘話。深淵の地との連絡が途絶したのは、グレイ力のせいではなく、時空エンジニア自身の仕業だった、というかなりひどい真相も明らかになります。アトランの付帯脳も「深淵には、騎士ではなく精神科医を送り込めばよかった」云々と辛口コメントを残していますが、全くその通りというか。
 
 
 

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