【SF小説】感想「カルフェシュからの指令」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 635巻)(2021年2月17日発売)

カルフェシュからの指令 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-635 宇宙英雄ローダン・シリーズ 635)

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カルフェシュからの指令 (ハヤカワ文庫 SF ロ 1-635 宇宙英雄ローダン・シリーズ 635) 文庫 2021/2/17
デトレフ・G・ヴィンター (著), アルント・エルマー (著), 若松 宣子 (翻訳)
出版社 : 早川書房 (2021/2/17)
発売日 : 2021/2/17
文庫 : 282ページ

【※以下ネタバレ】
 

フロストルービンへ向かう《ソル》船内に突然あらわれたコスモクラートの使者カルフェシュは、この船に深淵へ向かう指令を与える


クロノフォシル・テラが活性化したのち、無限アルマダはトリイクル9の帰還準備に向けて銀河系を出発した。その護衛船として“ソル”も同行している。そんな“ソル”船内にある日突然、ソルゴル人のカルフェシュがあらわれた。かれの話では、通常宇宙と深淵をつなぐ深淵穴のポジションを、トリイクル9の土台部分となる創造の山に移動させる必要があるらしい。その任務を、ソラナーたちに引き受けてほしいというのだが!?

 

あらすじ

◇1269話 カルフェシュからの指令(デトレフ・G・ヴィンター)(訳者: 若松 宣子)

 NGZ429年3月。《ソル》は無限アルマダに同行し、かつてトリイクル9が存在した宙域を目指していたが、船内に現れたカルフェシュは乗員に、目標宙域に先行し「深淵穴」を「創造の山」の上へと移動させるように指示する。《ソル》は深淵穴に到着すると、待ち受けていた混沌の勢力の艦隊の妨害を突破し、コスモクラートの機器の力で任務を達成した。その後、カルフェシュは《ソル》乗員に、危機に陥った種族や個人を助けるという任務を授け、《ソル》は新たな任務を果たすため宇宙の彼方へと旅立った。(時期:NGZ429年3月~6月1日~)

※初出キーワード=プシ起爆装置、プシ受信機


◇1270話 深淵の地の危機(アルント・エルマー)(訳者: 若松 宣子)

 深淵の地。ニュートルムに到着した時空エンジニアたちは、領主判事たちの攻撃を退けると、深淵の地を無数の断片に分解し始めた。領主判事アトランは、15万のグレイ領主が、それぞれ拠点を中心とする直径30万キロの領域をバリアで包み、時空エンジニアの攻撃に対処するように指示する。最終的に深淵の地は15万の島々と化すが、時空エンジニアは島々にヴァイタル・エネルギーを照射し、グレイ生物たちはグレイ力から解放されていった。同じころ、無限アルマダが遂に目的地に到着した。(時期:~NGZ429年9月30日)

※初出キーワード=無し


あとがきにかえて

 帯状疱疹が出来た話、と映画「薬の神じゃない!」の話。


感想

 前半エピソード … 原タイトル:EIN AUFTRAG FUR DIE SOL(意訳:《ソル》への指令)

 作者は久々登場のヴィンターですが、この話を最後にローダン・シリーズから卒業したとのこと。このエピソードは「《ソル》の出発前」と「《ソル》による深淵穴への作業話」と「その後の話」、という三つの異なる時期の話が説明も無いままランダムに展開されるので、読んでいて混乱することしきりでした。なぜこういう無駄に凝ったことをするのか。

 ヴィンターの持ちキャラ、カプセル光線族の濃淡グリーンがまたまた登場したのはウケましたが(まだ《ソル》に乗っていたのか……)、ヴィンター同様に《ソル》での仕事を卒業して仲間のところに戻っていったのがちょっと印象的。そして、《ソル》もまたシリーズを一旦卒業してしまいました……、次に《ソル》に会えるのは、一体いつになるのやら……


 後半エピソード … 原タイトル:DER RETTUNGSPLAN (意訳:救済計画)

 長らくご無沙汰だった深淵の地のお話。1250話では時空エンジニアたちがアトランやサリクに詳細に計画を伝えたような描写がありましたが、この話ではアトランたちは時空エンジニアのやりたいことを全く理解しておらず、即興で対処しているのにちょっと苦笑い。なんだかんだ有ったものの、深淵の地はばらばらになりつつも、通常宇宙に戻れるようです。良かった良かった。
 
 
 

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