【SF小説】感想「深淵の独居者」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 620巻)(2020年7月2日発売)

深淵の独居者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ620)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122873
深淵の独居者 (宇宙英雄ローダン・シリーズ620) (日本語) 文庫 2020/7/2
アルント・エルマー (著), ペーター・グリーゼ (著), 嶋田 洋一 (翻訳)
文庫: 262ページ
出版社: 早川書房 (2020/7/2)
発売日: 2020/7/2

【※以下ネタバレ】
 

ジャシェムの長老"深淵の独居者"は、グレイの領主の意識体の手先となっていた。アトランたちを罠にかけようとするのだが……!?


かつてコスモクラートの命でトリイクル9の再建に当たっていた時空エンジニアは、功名心から独力でトリイクル9の代用品をつくろうとしだした。これをジャシェム種族が冒涜とみなしたことから、両者の根深い対立ははじまったのだった。深淵の騎士が時空エンジニアの協力者だと知って、アトランたちに反発するジャシェムは、種族の長老"深淵の独居者"に助言をもらいにいく。だが、その独居者にはある異変が起きていた!

 

あらすじ

◇1239話 深淵の独居者(アルント・エルマー)(訳者:嶋田 洋一)

 サリクとボンシンは、ホルトの聖櫃から、グレイの領主の意識がジャシェム帝国の要地「ニュートルム」に侵入し、深淵の独居者を支配していることを知らされる。任務に失敗したグレイの領主は、罰として深淵に吸収されるが、その意識は消滅しないままニュートルムに入り込んでいた。しかしボンシンの活躍で、深淵の独居者たち中心的なジャシェムを支配していたグレイ領主の意識は深淵に送り返され、アトランたちはジャシェムと和解した。(時期:不明。NGZ428年7月頃)

※初出キーワード=なし



◇1240話 テクノトリウム攻防戦(ペーター・グリーゼ)(訳者:嶋田 洋一)

 グレイの領主「領主ムータン」は、「上級領主」たちからジャシェム帝国への侵攻を命じられていたが、帝国の周囲の「壁」を突破できずにいた。しかしある日突然壁に亀裂が生じたため、部下たちの軍勢を帝国内に突入させた。ところが、正気に戻った深淵の独居者が壁を修復したため、グレイの軍勢は壊滅し、領主ムータンもアトランたちに捕えられた。領主ムータンはヴァイタル・エネルギーによって時空エンジニアの姿に戻り、アトランたちに、現在時空エンジニアが進めている計画は破滅をもたらすので阻止するように依頼して死んだ。(時期:不明。NGZ428年7月頃)

※初出キーワード=上級領主


あとがきにかえて

・COVID-19による緊急事態宣言が解除されたので、吹き矢の活動を再開した話。
・大学の翻訳の授業もオンラインになったという話。


感想

 前半エピソード … 色々有った末にようやく深淵の騎士たちとジャシェムが和解する話。領主ムータンに処刑された「ゲリオクラートの最長老」と「助修士長」が再登場してきたのにはびっくり。それと、深淵の独居者の独白パートが何を言っているのかさっぱり理解できませんでした。多分、徐々にグレイ領主の意識に浸透されてきた、という描写だと思うのですが、読み返しても訳が分からん……


 後半エピソード … 久々登場の「領主ムータン」の苦労話。「ゲリオクラートの最長老」と「助修士長」をあっさり処刑して深淵送りにした彼も、さらに上位の「上級領主たち」には逆らえない、という世知辛い現実が描写されます。最後はヴァイタル・エネルギーで浄化(?)されて元の時空エンジニアに戻り「時空エンジニアのしていることを止めてくれ(詳細不明)」と言い残して死んでしまうとか、いかにもの展開ではありました。

 
 

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