【SF小説】感想「玩具職人クリオ」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 614巻)(2020年4月2日発売)

玩具職人クリオ (宇宙英雄ローダン・シリーズ614)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150122768
玩具職人クリオ (宇宙英雄ローダン・シリーズ614) (日本語) 文庫 2020/4/2
アルント・エルマー (著), H・G・フランシス (著), 林 啓子 (翻訳)
文庫: 282ページ
出版社: 早川書房 (2020/4/2)
発売日: 2020/4/2

【※以下ネタバレ】
 

シャツェンの洞窟をムータン領へ向かうアトランたち。だが強まるグレイ作用の影響で、ついに仲間の一人が寝返ってしまった……!?


アトラン、ジェン・サリク、ハルト人ドモ・ソクラトは、ムータン領をめざしてシャツェンの洞窟を進んでいた。プシ・エネルゲである”つむじ風”ボンシンが、力の泉の助けでヴァイタル・エネルギー貯蔵庫をふたたび作動させたものの、ムータンのグレイ作用を一掃しなければ、シャツェンも完全には解放されないとわかったからだ。だが、洞窟を進むにつれてグレイ作用は顕著になっていき、ついに不測の事態が生じてしまう!

 

あらすじ

◇1227話 領主ムータンの反撃(アルント・エルマー)(訳者:林 啓子)

 アトラン、サリク、ドモ・ソクラトの三人はムータン領に潜入するが、ドモ・ソクラトがグレイ力に負けて裏切ってしまい、捕まったアトランとサリクは細胞活性装置を奪われグレイ生物と化してしまった。レトスたちは、シャツェンの保安係の協力を得られず、コルツブランチの住人の助けを借りてムータン領に侵攻した。ホルトの聖櫃は、レトスに深淵の地の地図を示すと姿を消した。ボンシンは、コルツブランチの力の泉を利用してムータン領のグレイ力を一掃し、アトランたちは正気に戻って細胞活性装置を奪還し、領主ムータンは逃亡した。しかし領主ムータンは、コルツブランチの「野生の力の泉」を利用したことはグレイの領主を手助けした、と言い残していた。(時期:不明。NGZ428年2月頃)

※初出キーワード=深淵法



◇1228話 玩具職人クリオ(H・G・フランシス)(訳者:林 啓子)

 アトランたちの目の前で、ムータン領の住民が消滅し、代わって全く別の場所にいた生物たちが転送されてきた。アトランたちは「野生の力の泉」を利用したことが「深淵法」に違反しており、そのためこの「種族放浪」が発生したことを知った。深淵の警察に相当する「駆除部隊」の「駆除者」たちは、転送された生物を、法の違反者として殺戮し始めた。「サイリン種族」の一人「クリオ」も種族放浪によってコルツブランチに転送されてしまい、やがて駆除者に襲われているアトランたちを助けた。クリオはサリクの細胞活性装置を見て、遥か過去の記憶を取り戻した。(時期:不明。NGZ428年2月頃)

※初出キーワード=サイリン種族、種族放浪、駆除部隊、駆除者、大駆除者


あとがきにかえて

 2020年2月29日時点での新型コロナウイルス蔓延による自粛と、イタリアの高校の校長が生徒に送ったメッセージの話。


感想

 前半エピソード … ムータン領をグレイ力から解放する一大作戦のエピソード。最初の方でホルトの聖櫃が深淵の地の地図を見せてくれるのですが、「深淵の地は直径一光年のディスク型」「スタルセンはディスクの端」「ヴァジェンダは円の中心」「最終目的地・光の地平はスタルセンと反対側の端」と説明され、延々と旅をしないと目的地につけないように実に上手く(?)配置されていてちょっと笑いました。

 アトランたちが細胞活性装置を取られて、これから細胞活性装置奪回エピソードが延々続くのかと心配していたら、ちゃんとエピソード内に取り戻せて一安心。


 後半エピソード … せっかくコルツブランチの住人と仲良くなったと思ったら、あっという間に種族放浪で転送されて消えてしまい唖然呆然。スタルセンのチュルチたちもそうでしたが、ちょっと地元の住人と親しくなったと思ったらすぐ縁を切っていくのでちょっとイラっとします。

 それにしても、種族放浪とか野生の力の泉とか、設定を次から次からひっきりなしに積み上げて来るので、頭の休まる時間がありません。
 
 
 

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